表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生先は宇宙船の中でした  作者: 光晴さん
続・青い星の拠点

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

82/181

第82話 コロニーから見る青い星




コロニー『楽園』の中にある医療施設には、アンドロイドのシンシアが待っていた。

僕が連絡して、シャロットの治療をお願いしたからだ。


『若、そちらが連絡のあった女性ですか?』

「うん、シャロットだよ。シンシア、よろしく頼むね」

『はい、お任せください。では、シャロットさん、私について来てください』


シャロットは、姉のジャスミンの腕に掴まって怖がっていたが、シンシアが笑顔で案内をすると、意を決したように後をついていった。


姉のジャスミンは、そんな妹の態度にオロオロしていたがジッと妹を見送っていた。


「大丈夫ですよ、妹さんは必ず治ると思いますから」

「……は、はい」







治療室に入ると、そこにはカプセル型ベッドが用意されている。

シンシアが、そのベッドの側にあるパネルを操作すると、蓋が開き中があらわに。


そこには何か怖そうなものや管やコードなどはなく、シンプルに人が横になれる場所があるだけだった。


『では、シャロットさん、裸になってこのベッドに横になってください』

「は、裸に、ですか?」


赤くというより青くなって驚くシャロット。

彼女は、極力自分の傷を見せないような服を着ていたが、ここにきて裸にならなければならないことに躊躇していたのだ。


『心配いりませんよシャロットさん、ここには私以外誰もいませんから』

「でも……」


今一つ信用が置けないみたいだ。

そこで、シンシアはある言葉をシャロットに言ってみた。


『シャロットさん、私のことが信用できないのなら私を信頼している若を信じてください。

そして、若を信用している姉のジャスミンさんを信じてください』

「……姉を?」


『姉のジャスミンさんは若のことを信じている。そして若は私のことを信じている。

どうです?信じてみる気になりませんか?』


少し考えたシャロットは、一回頷くと服を脱ぎ始めた。

どうやら、シンシアのことを信じてみる気になったようだ。



シャロットが、一糸まとわぬ姿になるとその体に刻まれた火傷と傷の後がよくわかる。

体の右半分の腰から上は、ほとんどの部分の火傷の跡が酷かった。

右足には、脛から太ももにかけて火傷の後があったし、左足にも同じように脛から太ももに火傷の跡があった。


おそらくこれは、逃げれないように火傷を負わされたのだろう。


シンシアは、彼女の火傷の後を見てアンドロイドなのに、少し殺意を覚えてしまうほどだった。


『では、こちらへ寝てください』


シャロットは、シンシアに促されるように治療カプセルに横になった。


『これから治療に入ります、でもシャロットさんは何も感じることはないと思います』

「えっと、それはどうして……」

『それは、眠ってしまわれますから……』


そう説明をしている間に、シンシアはパネルを操作しカプセルを閉じる。


シャロットが横になったカプセルの中で、シャロットが眠りに入ると、まずシャロットの身体が浮き上がる。

これはカプセルの中に、再生液を注入するためだ。


横になったままでは、ベッドと触れている部分に再生液に浸かることができない。

それをなくすため、患者の身体を浮かべているのだ。


そして、後は再生液につけて1時間待てば、シャロットの火傷や傷は治っているはずである。


『これで、次に目が覚めた時、シャロットさんの身体は元通りのはずです』







僕がトイレから帰ってくると、待合室にジャスミンの姿がなかった。


「ジャスミンさんは、どこに行ったの?」

『あの娘なら、外に出て行ったぞ?』


外の景色を見に行ったのかな?

ここはリング状のコロニーの中だから、宇宙から青い星が見えるんだよね……。


案の定、医療施設の外に出るとジャスミンが上空に見える青い星をボーっと見ていた。


「どうですか?自分の住んでいた星を見るのは」

「……あそこで、私たち姉妹は生活していたんですね……」


「ええ、そして、戦争をして負けて今ここにいるわけです」

「……虚しいです。父上も母上も、兄上も皆みんな死んでしまった……」


あの青い星の、どこかにある大陸のジャスミンのいた帝国は滅びました。

ジャスミンにとって、シャロットにとって家族は本当に優しい存在だったのかもしれない。


帝国の戦争は、皇帝の一存で決められたことではないそうで、辺境の領主が最初に戦争を仕掛けたそうだ。

帝国は、外交交渉で他国との関係を作りたかったようだが、その領主のおかげで一気に戦争へと転がっていったそうだ。


皇帝一族は、何とか戦争を早期に集結させ話し合いを求めたが、流れ過ぎた血のせいで修復不可能になってしまった。



戦争はどんなきっかけで始まるか分からない、そこには皇帝といえど、どうすることもできなかったようだ。


ジャスミンさんの青い星を見る横顔を見ていると、そんなことを思い出してしまった。

ここに来る途中の軌道エレベーターの中で聞かせてくれた、戦争の始まりを。


ジャスミンさんの横顔から、青い星へ視線を移動させるともう一つ思い出した。



オークション会場で、ジャスミンさんやシャロットさんへ怒りを向けていた人たちはどうなるのかと。

戦争に巻き込まれた人たち、無理やり戦うことになった人たち、そして、大切な人を亡くした人たちの悲しみはどこに向かうのかと。



僕はそんなことを思いながら、ジャスミンさんと一緒に青い星を見ていた。







第82話を読んでくれてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ