第77話 支払金
あれから30分ぐらいで会場は静かになり、職員が僕たちを呼びに来た。
奴隷たちを渡すために、会場の裏手に案内するためだ。
「では、私について来てください」
職員の案内で、会場の裏手に着くと既に取引が行われている。
馬車に購入した奴隷を乗せていたり、奴隷を歩かせて一緒に出て行ったりと様々だ。
僕たちを案内してくれた職員の人が、大きなテントのところに誘導してくる。
「お客様は、こちらのテントにお越し願えますか?」
「はい…」
案内されたテントの中に入ると、机を挟んだ向かい側に二人の職員の男性が待っていた。
案内してくれた職員の人はここでお役御免らしい。
「今回のオークションでの大量購入、誠にありがとうございます」
「あの、まずかったですか?大量購入は……」
「いえ、そんなことはございません。
オークションというものは、購入できる人が競り勝って購入するものです。
何人購入しようと、かまわないんですよ」
「よかった……」
「では、取引にうつらせてもらいますね。
まず、今回お客様が購入された奴隷ですが、受け渡しはいかがされますか?」
ん?ここで受け渡してもらえるんじゃないのかな?
そのことを聞いてみると、大量購入した場合は選択肢が増えるようだ。
確かに、普通は移動手段は用意してないから配達って手もあるんだよな。
でも、今回は今すぐの受け渡しでお願いしておいた。
「畏まりました、では準備しますのでお客様も移動手段の手配をお願いします」
「分かりました」
僕はそのままテントを出ると、十分な広さがある目の前に亜空間倉庫から馬車を出した。
今回、僕が用意した馬車は、大人数を運ぶことができる大型のもの。
また、大型の馬車を引く馬も普通の馬ではなくロボットの馬を用意した。
あと、御者もロボットにお願いした。
おそらくだが、あれだけ奴隷を大量購入した僕たちに襲撃がないとは言い切れない。
テンプレではあるが、妬んだ貴族の行動は同じなんだと思う。
何もない所から、大型馬車が二台出てくるところは周りにいた職員も足を止めて驚いていた。
どうやら、こういう魔法はないのだろうな……。
僕のは魔法じゃなくて、化学なんだけどね。
馬車を準備して少しすると、テントの中から僕を呼ぶ声が。
「お待たせしました、お客様が購入された奴隷がご用意できました」
テントの中に入ると、職員の男性二人の後ろにさらに女性職員が二人いる。
その後ろに何人か奴隷が連れてこられていた。
「それでは、落札されました購入代金をお支払いください。
金額が確認されましたら、順次奴隷をお客様がご用意した馬車へ乗せていきます」
「分かりました…」
そう僕が返事をして、机の上に袋に入った金貨を乗せていく。
袋の中には、金貨1000枚が入っているから何袋出せばよかったのかな?
そう思いながら計算して乗せていく。
その間、必要書類を用意しながら何かを書いている職員の男性。
袋の中のお金を確認する職員の男性二人。
家族奴隷から、順次許可が出たものから馬車へ乗せていく女性職員。
数が多いから、皆大変そうだ。特に書類作成の男性職員の人が……。
「はい、金額はこれで確認が取れました。こちらはお釣りとなります」
何袋出したか分からなくなったころ、そう言ってお金の入った袋を返してくれる。
どうやら、支払い終わったようだ。
「書類作成が少しまにあってないので、しばらくお待ちください」
一生懸命、書類を二人がかりで作成している。
馬車には、どうやら全員を乗り込ませたようだ。
女性職員が帰って来た。
「お客様、奴隷を全員、馬車へ乗り込ませておきました」
「ありがとうございます」
「後、お連れの方が、先に乗り込んでおくからと言伝がありました」
「はい、了解しました」
アル達が先に乗り込んで、見張り役をしてくれたのか……。
大量買いに妬んだ人たちの襲撃が、あるのかないのか……。
それから少しして、ようやく書類の準備ができた。
「お待たせしました、こちらがご用意した書類の控えになります。
後々必要になるかもしれませんから、大切に保管なさってください」
「ありがとう…」
僕は、束になった控えの種類を亜空間倉庫にしまうとテントを出ようとする。
すると、職員全員が僕に向かって最後の挨拶をしてくれた。
「このたびは奴隷のお買い上げありがとうございました、またのご利用をお待ちしております」
そう言われてテントを出ると、馬車の御者席に近づきロボットに命令する。
「町を出て海岸線沿いに進んで、大きな砂浜があるからそこまで行ってくれ」
ロボットは頷き、一台目が出発する。
僕は急いで二台目に乗り込むと、それを合図に二台目も出発する。
僕が乗り込んだ二台目の馬車には、主に貴族だった奴隷が乗り込んでいた。
何れもオークションで話題になった女性奴隷たち。
アルとクレアが一台目の馬車に乗り込み、二台目の馬車にはソフィアが乗り込んでいる。
それは、おそらくドラゴンのセレニティーがこっちに乗っているからだろう。
今も、二人で何やら話をしていた。
そうそう、シャロットとジャスミンの両名もこっちの馬車に乗っている。
お互いの肩を寄せ合って座っている。
他の女性奴隷も、俯いて座っているのがほとんどだな……。
一人機嫌悪そうに、座っている女性奴隷を発見した。
例の勇者様だ。
面白くなさそうに、乗り込んできた僕を見ていた。
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