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転生先は宇宙船の中でした  作者: 光晴さん
続・青い星の拠点

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第70話 オークション1日目 終了




奴隷オークションの会場から退出するとき、若い冒険者の男が声をかけてきた。


僕に話があるようで、場所を移動し近くの酒場の一角に座る。

周りの酔っぱらいたちの声が少しうるさいが、話ができないわけじゃない。


寧ろ、大事な話を盗み聞きされる心配もないだろう。


「あの、その、は、初めまして。俺はクレスといいます」

「はい、初めまして、僕はレオンといいます」

『儂は、アルというよろしくのう』


このクレスという若者は、何か言い出せないことでもあるのかなかなかしゃべらなかった。


あと、酒場で注文しないのも不自然なので、エールと軽い食事を頼んでみた。

無論、子供の僕には水ということになるが……。

そして、注文した品が届いても若者は喋れなかった……。


「……あの、何かご用があったのでは?」

「え、ええ、あの、その……」


どうも、クレスの様子を見ていると言いたいのに言えないようなことみたいだな。



「す、すみません、実はお願いがあって声をかけさせていただきました」

「……お願いですか?」

「はい、今日、あなた方が買われた奴隷を譲っていただけませんか?」


「えっと、それはどうゆうことですか?」


クレスは、少しビクビクしながら訳を教えてくれた。

そんなに、僕たちが怖いのか疑問に思ったが、訳を聞いて純粋に何とかしたかったのだということが分かった。


それなら、どうするべきかは至極簡単なことだ。


「クレスさん、僕たちが何故、奴隷を購入したか分かりますか?」

「い、いえ、大量に購入されているのは、会場でわかりましたが……」


「僕はある島に、町を作っているんです。いろいろやって、あと足りないのは人手なんですよ。それで、大量に奴隷を購入しているというわけです」

「でも、それなら移住者を募れば問題ないのでは?」


「クレスさん、僕はある島といいました」

「あ、移動手段、ですか?」

「移住者の方は、自分で船を用意してまでは来てくれませんよね?

しかも、どこにあるかもわからないような島に」


こちらで船を用意するって手もあるけど、それだと移動日数が問題になる。

食料や水を用意してまで、移住者を求めているわけではないしね。


では、僕からの提案を聞いてもらうかな……。


「クレスさん、一緒に行きませんか?僕の島の町へ」

「え……」

「僕が購入した奴隷の中に、クレスさんが大切にしたい人たちがいることは分かりました。

それなら、その人たちと一緒に僕の島の町に来ればいい話だと思いますよ」


「お、おれでも、冒険者の俺でも、出来ることがあるんですか?」

「勿論、出来たばかりの町ですから、仕事はいくらでも」

『そうじゃのう、島には魔物もおるしのう』


冒険者なら、魔物を討伐するだけでも大助かりだ。

今はクレアやソフィアが指導した者たちが担当しているようだけど、人手は多い方がいいよね。


「よろしくお願いします。俺も連れて行ってください……」


こうして、島に連れて行く人数がまた増えた。




▽    ▽




「くそっ!今日のオークションは何だ!」


港町カルローにある高級宿の一室で、オークション参加者の一人の貴族が荒れていた。

彼は、今日のオークションの最後の女を狙っていたが、競り負け逃してしまった男だ。


「アーブ様、お怒りをお沈めください。2日目、3日目を考えて引いたのですから、あれは競り負けた訳ではありません」

「しかし、私の気は治まらないぞ!あのローズを私の自由にできる日が来たかと思えば………」


「お気持ちは分かりますが、本命は明日からのオークションに出てくるでしょう。

それに、今日ローズを落札した者も、資金が足りるかどうか……。

ですから、明日からが勝負です」


男は、少しの間考え込むと、気を落ちつかせ気持ちを切り替える。


「……私の狙っている女は、必ず出品されるのだな?」

「はい、奴隷商の話では、必ず出品されると……」


男は笑みを浮かべる。

まるで、この世界のすべての宝を手にしたように……。


「フフフ、待っていろ。この私がお前を手に入れて、その体を弄んでやる!

私との婚約を破棄した罪は、思い知らせてやらねばなるまい……」


自分の主である貴族の男が見せる、醜い嫉妬の顔。

ここまで男を醜くする相手とは……。




▽    ▽




「ふぅ~、一日目が終わったねアル」

『今日みたいな、大量買いを明日も続けるのか?』


「勿論続けるよ、資金は十分にあるからね。

ただ、オークションが終わってからが問題かもしれないな……」


今日、会場を出るとき何人かの人に睨まれたんだよね。

二階席にいた僕たちは、一階席からは見えないから貴族連中からは目をつけられなかったけど、二階席の人達からは目をつけられたみたいだ。


だから、オークションが終わって奴隷を引き渡されてからが問題だろうな。


もしかしたら、僕たちを襲って奴隷を横取りしようとか……。

無いとは言えない人たちがいるみたいなんだよね……。


あと、貴族の中にも何か画策している人がいるみたいだし。


明日からの奴隷オークションも、慎重に購入奴隷は選ばないといけないな。








第70話を読んでくれてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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