表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生先は宇宙船の中でした  作者: 光晴さん
続・青い星の拠点

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/181

第65話 船の謎と出港




港に停泊中の船の甲板の上で、椅子に腰かけて何かを待っている男がいる。

彼の名前はコルツ、少し初老にさしかかった男だ。


コルツの側にある机の上には、黒い直方体のものがあった。

この黒い物体は、長距離の相手と話ができる現代の携帯電話のような魔道具だ。

無論魔道具なので魔石で動くのだが、必要な魔力が膨大すぎて受信以外できなかった。


その黒い魔道具の側で待っているということは、コルツは連絡を待っていたのだ。


しかも、この島にたどり着いたときからである。



コルツたちがこの島に迷い込んで10日が過ぎたが、いっこうに魔道具は反応しなかった。

コルツの予想では、そろそろ向こうから連絡があるはずだと今日も甲板で待っている。


そこへ、町で買い物を終えた男2人が船に乗り込んできた。


「は~、今日も女がいなかった……」

「しょうがねぇよ、この島に来たばかりの時に声かけすぎたんだからよぉ」

「チッ、こっちは溜まる一方だ」


「早くこの島から出て、目的地に行きたいな……」


男2人は荷物を船の中にしまいに入り、しばらくして男が1人で甲板に上がってきた。


「コルツ、連絡はまだなのかよ」

「ああ、まだのようだな」


「クソ、いつまで待たせるんだよ。

こっちは下の荷物にも手を出さずに我慢してんだからよぉ……」

「下の荷物には、食事は与えたのか?」

「ああ、相棒が今食事を与えているところだぜ」


――――ピピッ、ピピッ。


「来た!連絡が来たぞ!」

「おい、ホントかよ!」

「静かにしろ!聞こえないだろ!」


『……まない、やっと場所が決まった。

お前たちの今いる場所から、北へ7日行ったところにある港町『カルロー』だ。

荷物を死なせずに届けろよ?報酬は予定通りだ。

では、待っているからな………』


通信を聞いたコルツと男は笑みを浮かべて喜んでいる。

ようやく出発できる、この島を出ることができるのだ。


「よっし!すぐにまた町に行って食料を仕入れてくるぁ!」

「10日分だ、10日分仕入れてくるんだ!」

「おう!その代わり、町の代表のあの女への報告は任せたぞ、コルツ!」


「しょうがない。分かった、これから行ってくる」


男は再び船の中に入り、相棒を連れて戻ってくると船を降りて行った。

コルツもまた、船を降りてセーラのもとへ行く。


こうして、何かを積んでいるコルツたちの船は、10日ぶりに帆をはり港を出て行った。

何のために港にいたのか分からないままのセーラたちを置き去りにして……。




▽    ▽




10日ほど宇宙で過ごして再び拠点の町に戻ると、セーラさんが嬉しそうに報告してくれた。


何でも、港に停泊中だった船が8日ほど前に出港していったそうだ。

ただ、何故停泊していたのか、何故出港していったのかはさっぱり分からなかった。


只々、向こうの都合で停泊していて向こうの都合で出港していっただけ。

真相は闇の中である。


「ところで、レオン様。奴隷商へこれから行かれるのですか?」

「うん、この町の住民をもう少し増やしたいからね」

『だな、今のままだと人手不足が解消できねぇしよ』


「アルの言うとおりだよ。もう少し人を増やして、もっとこの町に活気をと思ってね」


「それならば、カルローという港町へ行かれるとよろしいかと」

「カルロー?」

「はい、私がまだ奴隷商にいた時、聞いた話なのですが……」


セーラさんの話では、カルローという港町にある奴隷商には家族奴隷が良く集まってくるそうだ。

何でも、他の土地では開拓が進んでいない場所もあり、人手として家族奴隷を船に乗せて現地に運んで売るのだとか。



「分かった、その港町に行って家族奴隷を購入してこよう」

「よろしくお願いします」


こうして、僕とアルの二人は港町『カルロー』へ行くことになった。

まあ、大勢で行く場所でもないしね……。




『それでレオン、今回も宝石類を売って金を作るのかの?』

「セーラさんたちを購入した時、余分に持っていた方がいいと学んだからね。

今回は前回の倍は、用意しておくつもりだよ」


アルは、歩きながら顎に手を当て髭を撫でる……。


『そうじゃな、今回は家族奴隷を多く購入するみたいじゃし、資金は多い方がええじゃろう』

「アルは、個人的に欲しい奴隷はいないの?」

『おらん。もし必要なときは、アンドロイドを選ぶじゃろうの……』


アル自身が、アンドロイドのようなものだしそうなるのかな?


「そういえば、父さんが新しいアンドロイドを雇うって連絡が来ていたな……」

『オーバス運輸も、今や右肩上がりみたいじゃからのう。人手が足りないんじゃろ』


「人間の社員も随時募集しているんだけどね~、なかなか来てくれないんだよね……」

『やはり、宇宙海賊が問題なのじゃろ?』

「そんな頻繁に、宇宙海賊に襲われるわけじゃないんだけどね……」



どうも運送業は、星から星への移動でよく宇宙海賊に襲われているイメージがあるようだ。

本当は、そんなに襲われることはない。


それに、本物の宇宙海賊は宇宙を航行している宇宙船より、未開拓の星を狙うんだ。

そして、未開拓惑星を宇宙海賊から買い取る業者も存在する。


未開拓惑星は、かなりのお金になるらしい。

それこそ、宝くじの一等に当たったような一攫千金なほどに。


「さて、カルローに向けて出発しようか」

『じゃな』


僕たちは、宇宙船『ガラハット』に乗り込むと港町カルローに向けて出発した。








第65話を読んでくれてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ