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転生先は宇宙船の中でした  作者: 光晴さん
緑の星の戦争

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第61話 家族との再会




宇宙歴4262年6月3日、今日はルルとロロの宇宙船『クロウティア』に来ている。

この宇宙船があるのは天空要塞の北の端、空中に浮かんだ島の北側にある森の奥深く。

この場所に、飛べなくなった宇宙船はあった。


そして、この宇宙船の中で『魔導銃』の原型や『浮遊魔道具』などが生み出された。


ルルとロロに聞くと、宇宙船の推進部品が壊れて大気圏突破が出来なくなり、浮かんで移動すら困難になっていったとのこと。


そして、すべての原因は僕たちと同じく『時空乱流』に巻き込まれたからだそうだ。

時空乱流に巻き込まれ、こんな緑の星の地上に落とされた。

そこから何とか宇宙へ行こうにも、地上へ落された時に推進部が壊されたようで、この星から出られない。


仕方なく、安全な場所を探してこの島にたどり着いたそうだ。


最初は救難信号とか、親とかに連絡を何とか試みようとしたが、どれもつながらず、この星に来て10日でこの星で生きていくことを決意したらしい。


宇宙船の動力部は動いていたので、宇宙船を中心に生活し周りを調べて島民と接触。

後は、アリシア様が語った伝承の通りだという。


そんな話を、森の中を歩きながら教えてもらい案内してくれた。




「目の前の800年前の宇宙船を見ると、時間の流れというものを感じるね」

『確かにそうですね、若旦那。型が二世代ほど前のものみたいですね』

「それに、蔦に覆われているし……」


「宇宙船の周りも、生活感があふれていますね……」


僕たちがそれぞれ感想を言うと、後ろで顔を赤くしてルルとロロが恥ずかしがっている。


「うう~、そんなところは見なくていいから~」

「そうです、私たちのクロウティアを直してください!」


可愛そうなので、早々にからかうのをやめて彼女たちの宇宙船を僕の亜空間ドックに収納する。

そして修理修復の開始だ。


彼女たちは突然消えた宇宙船に驚いていたが、僕が説明するとホッとしてくれた。


「では、亜空間ドックで修理してくれるのね……」

「それで、どのくらいかかるのかな?」


「僕のドックなら10日もあれば修理修復可能ですよ」

「それなら、家族に会える日に間に合うわ」

「レオン君、何から何までありがとう!」


ルルとロロにお礼を言われて、お互いに握手をした。



その後、宇宙船があった付近を清掃した後、天空要塞の城に戻りアリシア様に挨拶をしてルルとロロを連れて、僕たちは宇宙に戻った。


僕の宇宙船で大気圏を突破した時、ルルとロロが再び目に涙を浮かべて宇宙から緑の星をじっと眺めていた。


後で眺めていた訳を聞くと、ルルとロロは時空乱流でいきなり緑の星の地上に落とされたそうで、宇宙から見たことはなかったそうだ。

初めて宇宙に出た人の気持ちが分かったとか、冗談を言っていたな……。



その後、緑の星を離れ青い星の衛星軌道上のコロニー『楽園』へ。

そしてルルとロロは、緑の星の側に青い星がある事も驚いていたが、その青い星の管理人を僕がしていることに、さらに驚いていた。


ルルとロロは、このままこのコロニー『楽園』で家族の到着を待つことに。


本当は緑の星で待ちたかったんだけど、情勢が情勢だけにそれは無理だったんだ。

アリシア様からも、止められていたし。


どうやら、天空要塞から情報を持ち出して地上のある国と繋がっていた人がいたんだとか。

魔導銃の時と同じように、他国に情報を盗まれたということかな?

それとも、映画であるようなスパイが?


それはともかく、ルルとロロの存在を知られてしまった可能性が高いとのことで宇宙に逃げることになったんだ。

そこで、会いたかった家族との再会も果たしてしまおうというわけだ。




宇宙歴4262年8月1日、先延ばしにされてきた亜空間ゲートの改装工事があり、ルルとロロの家族がこちらに来るまで2か月ほどかかったが、今日この日、青い星のコロニー『楽園』でルルとロロの家族は再会した。


ルル側には、両親と妹が再会を喜んでいた。

ロロ側は、両親だけのようだ。


ロロには何人かの妹や弟がいるそうだが、全員成人してそれぞれで働いているらしく、今日ここに来れなかったようだ。

後で、通話で話をしたりして再開するとのこと。


ルルの来れなかった兄や弟や他の妹とも、通話で連絡するそうだ。



僕はその再会の様子を見ていて、ホッとしていた。

僕もそうだったためか、家族と離れ離れなになることがどれだけ悲しい事か分かってしまう。


本当に、再会できてよかった。

でも、行方不明者リストにはまだまだ名前が載っていた。

そのリストの中には、さすがに死んでいるだろう、という年齢の人もいる。


それでも、家族にとっては探したいってことなんだろう。

生きていても死んでいても、とにかく居場所が分かれば安心できるから。


人が宇宙に出て、命が軽くなったと危惧していた人がいたけど、今、目の前で見ている再会の様子で命が軽くなっているとは僕には思えないな……。



そんな感動の再開に水を差す出来事が起きた。


『若、緑の星から緊急連絡です』


シンシアのメモを受け取り、そっと中をのぞいて驚いた。


―天空要塞墜落、生存者現在確認中―


僕はシンシアの顔を見た。

シンシアは頷いて僕に答えた。


緑の星で、再び戦争が始まろうとしているようだ……。








第61話を読んでくれてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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