第6話 両親と一時の別れ
両親と再会できたことで涙腺が緩み大泣きしてしまったが、落ち着いたところで時空乱流にのみこまれた後の話を父さんからしてくれた。
父さんの話では、僕たちがいなくなり再び出現するまで2ヶ月の時間が過ぎていた。
そう、今は宇宙歴4261年9月20日なのだ。
しかし、この経験で僕は時空乱流は『タイムスリップ』の力があるのだと確信した。
であれば、小説などに出ている別世界への移動もあるかもしれないな……。
それと、時空乱流にのまれ2か月間行方不明だったことで、惑星『ホーネ』への荷物の運搬ができなかったことを父親に謝ったのだが、怒られることはなかった。
それよりも、僕たちが無事だったことが大事だと真顔で言われた時は、なんだか恥ずかしかった。
『まあ本音を言えば、今回時空乱流という現象が原因だから全部保険で何とかなったんだよね』
……父さん、本音を言わなければカッコよかったのに……。
『それで、レオンはいつ頃戻ってこれそうなの?』
母さんが僕に会いたそうに聞いてくる。
でもここは2億光年離れた宙域、今から移動してワープを繰り返しても母さんと会えるのは1ヶ月ほど先になる。
それなら、僕のわがままを通させてもらおう。目の前にある青い星を調べてみたいのだ。
「母さん、ごめん。今いる場所は母さんのいるところから2億光年ほど離れているからすぐに会えないよ」
『そう、遠くまで飛ばされてしまったのね……』
モニターの前の母さんは肩を落として残念そうにしている。
そんな母さんの肩を抱き、父さんが笑顔で僕に言ってきた。
『レオンはあの場所でやり残したことがあるようだ、だろ?
俺たちには、それを教えてくれないのか?』
父さんから言われて、僕はとっさにロージーを見てしまった。
ロージーも僕を見ていて、ゆっくりと頷いた。
『若旦那、社長たちも巻き込んだ方がいろいろとやってもらえることがあるかと』
「やってもらえること?」
『はい』
僕はよく考えて、父さんたちを巻き込むことにした。
▽ ▽
『すごい偶然ねレオン、そんな星があるなんて……』
『確かにな、ここ100年の間に見つかった惑星もかなり離れた宙域にある事が多い。
……分かったレオン、中央には俺の方から管理申請しておこう。
それで、審査官たちと一緒に俺たちもそっちに向かうからよろしくな!』
父さんの提案に、母さんは目をキラキラさせて喜んでいた。
『そうね、そうよね! 会えないなら会いに行けばいいのよね!
……ハンナ!ハンナ!』
『はい、副社長、どうしましたか?』
『長期休暇はいつ頃取れそう? レオンに会いに行くんだから調整お願いできる?』
『お任せください副社長、1ヶ月以内に調整しておきましょう』
モニターの向こうで、母さんと母さんの秘書のアンドロイドのハンナが話を進めている。
父さんは苦笑いしていた。
「父さん、母さんが暴走しているけどいいの?」
『ん、まあ申請して受理されて審査官と一緒に出発するには2ヶ月ほどかかるから大丈夫だよ。それよりも、惑星『ホーネ』に運ぶはずだった荷物が役に立つかもしれないから使っていいぞ』
父さんは笑顔で、僕を見ている。
これが父親ってものだろうか……なんだか大きいな父さん………。
「ありがとう、あとで確認しておくよ」
こうして他に雑談を少しして通信を切ろうとすると、父さんと母さんがモニターの前にそろって映る。
『レオン、生きていてくれてありがとう』
『レオン、必ず会いに行くからね?』
2人がそう言うと通信が切れる。
僕はしばらくその場を動けなかった……。
▽ ▽
宇宙歴4261年9月21日、グッスリ寝て僕たちは行動を開始した。
「まずは、この星がどんな星なのかを調べよう。
ロージーと僕は父さんが言っていた貨物室にある荷を確認にいくよ」
『分かりました』
「エリーとアシュリーは仮眠室で休息を。
昨日寝ないで星のことを調べようと何かしていたでしょ?」
『若旦那には、ばれてましたか……』
『せっかく褒めてもらおうと頑張ったのに、残念……』
「勿論二人の頑張りは認めるけど、休むときは休まないと僕が困るからね。
今からちゃんと睡眠をとること、いいね?」
『分かりました』
『は~い』
まったく、父さんたちが来るまで2ヶ月以上あるんだからゆっくり調べればいいんだよ?
こういう時は焦らずじっくりことを構えないとね。
「シンシアとオリビアは、惑星の大気成分を調べて。
もし知的生命体がいるとすれば、地球の大気と似ているはずだからね」
『分かりました。アシュリーたちがやろうとしていたことが、役に立ちそうですからそれを使って調べてみます』
『後、地上の監視用衛星を何体か放って監視をしてみます』
「ん、よろしく。何か分かったら知らせてくれ、これからどうするか考えよう」
『了解しました』
こうして時空乱流の先にあった青い惑星を、僕たちは調べることになった。
オーバス運輸の仕事は、しばらく休みだ。
父さんの仕事は面白かったけど、今はもっと面白そうなことが目の前にある。
飛び付かないわけにはいかないだろう。
もし目の前の惑星に知的生命体がいた時、僕と友達になれる人がいるだろうか?
第6話を読んでくれてありがとうございます。
次回もよろしくお願いします。