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転生先は宇宙船の中でした  作者: 光晴さん
緑の星の戦争

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第54話 緑の星に降り立ったらしい




「忌々しい天空要塞ですわね……」


お城の私室の窓から見える天空要塞は、私にとって憎き存在だ。

いつか必ず地に落としてやりたい。


だが、その天空要塞のおかげであるものを見つけることができた。

それは、いつも一定の速度で同じ方向に飛んでいく物体がある事が分かったのだ。


昼夜問わず、誰が動かしているのか全く分からなかったが、それは一定の速度でいつも同じ方向に飛んでいた。

まるで、私たちを監視しているかのように……。


だからこそ、グリーマンに調べるように命令したのだが、何も分からなかったようだ。

結論も、古代文明の遺産とか言い出しているし。


だが、私の記憶が確かなら、幼き時の空にあれはなかったはずだ。

ならば、ここ最近飛ばされたものだろう。


「私は気づいたのだ、アレが天空要塞より上を飛んでいるとな……」


もしかすれば、アレを手にすることができれば天空要塞をどうにかできるかもしれぬ。

何としても、私はあれの正体を、そして、アレを飛ばしているものが誰なのか知りたいのだ!



「空を見上げるたびにあのような天空要塞など、見たくもないわ!」




▽    ▽




宇宙歴4262年5月16日、今日もお城の無駄に長い廊下を歩きながらグレーマンは考え事をしていた。

女王陛下から、例の件、どうにかならないのかと催促がうるさいのだ。


グレーマンも一生懸命やっているのだが、過去の文献にも他の種族の文献にも古代遺跡の文献にも載っていなかった。


となれば、部下たちが結論付けた古代帝国の遺産とは言えなくなったということだ。


昔ならそれで片が付いたのだが、今回は天空要塞をどうにかできるかもしれないとなれば女王陛下も力が入るというものだろう。

貴族連中は、足を引っ張ってばかりだがな……。



考えれば考えるほど、とっかかりがない問題だと分かるばかり。

なにせ、調べたいものは天空要塞よりもはるか上空。

私たちでは、たどりつくことすら困難な状況だ。まして、関連する者たちを調べろなどと、まるで雲をつかむような話だ……。


今日も先ほど、女王陛下から催促され気分は下がるばかりだ。


何とかできない自分が、情けない……。



「クレーマン様!どこにいらしていたんですか、捜したんですよ?」

「おお、申し訳ない。陛下にまだかまだかと急かされていてな……」

「それは、お疲れ様です」


私の執務室に入ると、部下の一人が焦ったように攻めてくる。

おそらく、ここのところみな必死に陛下の期待に答えようと必死なのだろう。

寝ていないものも多い。


私の大臣執務室は、他の大臣と比べ大きく広く造ってある。

それは部下を多く従えているからだ。何せ、国の情報機関だからな。


今、この国で何が起きているのかを素早く知るため。そして、陛下にその情報を上げるため日夜頑張って収集しているのだ。


「それで、私を探していたとのことだが?」


自分の机に備えつけられている皆とは違う少し大きな椅子に私が腰かけると、先ほどから話している部下がとんでもない情報をもたらした。


「グレーマン様、昨日の深夜、バルテナ村の南の草原に光が落ちたとの情報がもたらされました」

「村の南の草原に落ちたのですか?」


「いえ、それが見た物の話では地面と激突するかしないかの辺りで止まり、何ごともなかったかのように地面に降り立ったそうです」

「……では、隕石ではないのですね?」


「はい、現在調査チームを送り込んで調べてもらっていますがよろしかったでしょうか?」

「完璧な対処の仕方ですよ、あなたの行動は正しいです」

「ありがとうございます!」



おかしな光の出現、起こるはずのことが起こらなかった……。

もう少し情報がほしいですね。

しかし、もしかしたら女王陛下に満足いく情報を上げることができるかもしれないな。


頼むぞ、あの村の南で何があったのか……。




▽    ▽




宇宙歴4262年5月20日、この日、ようやく調査チームの馬車がバルテナ村に到着した。

調査チームのリーダーことブルトン男爵は、狭い馬車から降りるとすぐに村へ知らせを走らせた。


「ふぃ~、ようやく到着したわい……」


一息ついていると、馬車の中から女性が二人降りてくる。

どちらも、騎士のような鎧を着ていたが剣を帯刀しておらず、その代わりに大きな機関銃クラスの魔導銃を肩から下げていた。


「閣下、この村が例の情報の発信源?」

「ああ、そのようじゃのう。後で村のものにも聞かねばならんが……」


「それじゃあ、あの南にある草原に降り立ったってところかな……」

「降り立ったかどうかまだわからんぞ?」


「まあいいや、先に調査、始めてしまいますね~」

「待て待て、村の許可が先だろうに……」

「そんなもの待っていたら、何かが飛ばされてしまいますよ」


馬車から降りてきた女性の一人は、せっかちな性格なのだろう。

男爵の忠告を無視して、南の草原に馬車の中の人を何人か連れて行ってしまった。



「まったく、しょうがないのう……。

あのせっかちな所が治らんと、嫁の貰い手がないぞ?」

「男爵様……」


その時、村に使いに出していたものと村の人間が何人かついてこちらに歩いてきた。

どうやら、村に知らせることができたようだな……。




「では、5日前の深夜、村のあなたの家から見えた、ということですな?」

「はい、結構大きな光だったんで……」


「と言うことは、かなり眩しかった?」

「いえ、特に眩しいと感じはしませんでしたよ。ただ……」

「ただ?」


「光が消えた後、人が何人かいたような気がします」

「光が消えた後って、見に行ったんですか?」


村人は頷いて、さらに答える。


「この辺りは魔物が少ないんで……。それに、気になったものですから……」


草原で消えた光る物体は、いつの間にか消えていて、後には何人かの人々?

その人々も、いつの間にかいなくなっていたと?


「ニッキー、似顔絵を頼む。この人からよく聞いて書いてみてくれ」

「了解しました」


何人かの人々の誰でもいいから、覚えてくれているといいが……。








第54話を読んでくれてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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