第50話 解決とその後
じりじりと迫る海賊たちに対して、僕は亜空間ドックからドワーフロボットを5体召喚する。
「な、何でここに!」
突然目の前にドワーフロボットが出現して、僕たちに迫ってきていた海賊が戸惑う。
このチャンスを生かすため、僕はドワーフロボットたちに海賊捕縛を命令し海賊たちを捕まえてもらった。
「こないで!」
目の前の海賊の対処をしていると、女の子とメイドさんに海賊が迫っていた。
しかも、こっちの顛末を見ていたのか海賊たちに焦りがある。
「おとなしくしやがれ!」
「は、放して!」
僕はすぐに女の子たちと揉めている海賊の足元へ『フラッシュ弾』を滑り込ませる。
この『フラッシュ弾』は少し強い光を出す爆弾だ。
目くらましに最適なものなので、亜空間ドックで何個か作ったことがあり今の今まで眠っていたものだ。
海賊たちの足元で、バンという爆発音とともに強い光が海賊たちの目をくらませる。
「な、何だこの光は!」
「頭、目が、目が見えねぇ!」
「……うう」
どうやら、女の子たちも光を見てしまったようだ。
目を押さえてその場に、二人ともうずくまっている。
僕はすぐにドワーフロボットたちに命令し、女の子の側にいる海賊たちを捕縛してもらった。
「アシュリー、女の子たちをお願い」
『分かりましたけど、あとでお話があります若』
「……」
何の打ち合わせも無しに、フラッシュ弾を使ったことに怒ってらっしゃるようだ。
でも、今は海賊のお頭たちを捕縛するのが先!
「く、どうやら後は俺たちだけか」
「お、お頭……」
そこへ、海賊たちが入ってきた出入り口からドワーフロボットたちが部屋に入ってくる。
その数は6体ほどだ。
他のドワーフロボットは、船内を見回っているのだろう。
「くそ!俺たちの負けだ!好きにしろ!」
「お頭……」
頭と呼ばれる男がその場に座り込み、ドワーフロボットが捕縛。
側にいた呆然とした手下も、ドワーフロボットによって捕縛され宇宙海賊騒動は決着した。
▽ ▽
「協力ありがとう、君のおかげで宇宙海賊を捕縛できた」
「いえ、僕は何もできませんでしたから……」
「そんなことはない、私たちの到着前に解決してくれたのだから」
僕は、海賊の一部を捕縛したことで中央政府直轄の惑星から来た『星間警邏隊』から褒められていた。
褒められるのは苦手だ、子供となった今はもっと苦手になっているみたいだ。
『星間警邏隊』とは、中央政府直轄の惑星に置かれる宇宙海賊撲滅に動くパトロール部隊のことだ。
戦力としては、簡易軍といったところで中央政府が持つ星間軍の力を落とした装備や戦力が与えられている。
主な相手は、宇宙海賊や犯罪者で地球でいえば警察のような組織となる。
この戦力でも、結構活躍目覚ましいので将来なりたい職業の上位にいる職業なのだ。
星間警邏隊が、海賊たちを連行して帰還していくと大型宇宙船は点検作業のため一時停止状態となる。
その間、トリスタンが船の護衛についていた。
まあ、大型宇宙船の船長に頼まれたからなんだけどね……。
そして僕は、海賊と戦った部屋にアシュリーと一緒にいる。
例の助けた女の子とメイドさんにお礼を言われてから、その女の子がジッと僕を見ているから動けないのだ……。
「……あの、お嬢様?」
『………』
10歳の女の子に6歳の男の子がじっと見られている……。
僕はどうすればいいのか、全く分からずに見られるままだった……。
「あなた名前は?」
「ぼ、僕はレオンです。さっき自己紹介しましたよ?」
「違うわ、地球での名前よ」
僕はその言葉に女の子を、シャロンを見返す。
すると、シャロンは僕の意図が分かったのか頷いて返したのだ。
「高坂隆、それが前の、地球に住んでいた時の名前だ」
「私は竹中麗華、それが前の名前………でも今の生きている時間には必要ない名前ね。
それで、どんな死に方を?」
「……事故死だよ、高速を車で走っていたらあおられてね、そのまま相手と接触して高速から下の県道へダイブ……」
「ああもういい、その先は聞きたくない。でも、私も事故死だから同じようなものかな……」
僕も思い出したくないから、聞かれないで助かった。
しかし、あの頃は自分で車の運転してたんだよな……今や自動運転が当たり前だしな……。
「それで、転生して私と同じく未来に来ちゃったと……」
「それも4000年以上も未来のね」
そう言うと、シャロンは少し考えてから右手を僕の前に出してきた。
「?」
「レオン、私と友達になりましょう」
「友達?」
「ええ、私が困っていたら相談ぐらい乗ってくれるような友達に」
相談程度ならいいかな?僕も惑星管理しているし……。
そう軽い気持ちで、シャロンの手を握ると握り返してくる。
「これで、私たちは友達ね」
「ええ、何かあれば相談ぐらい乗りますよ」
こうして、同じ転生者のシャロンと友達になった。
この後連絡先を交換して、少し雑談をして過ごすことに。
メイドのケニーさんも、シャロンが僕と友達になったことに少し安堵していた。
どうやら、立場が立場なので年の近い友達がなかなかできなかったそうだ。
これで、少し安心したとか後で言われたよ。
また、雑談の時にシャロンのこれから行く惑星についても聞いておいた。
が、何も分からないそうだ。
向こうで現状を聞いて対処するのが習わしだとか……。
守り人という家系は大変そうだ。
僕の管理する惑星のことも聞かれたね。
魔法が使える星だって言ったら、そんなに関心はなかった。
やっぱり、その惑星の生まれでないと魔法が使えないってことが知られているようだ。
僕の青い星以外にも、魔法が使える惑星は数えるほどだけどあるからね。
とりあえず、そんな意見交換や話をして宇宙船が動き出すまで過ごしていた。
第50話を読んでくれてありがとうございます。
次回もよろしくお願いします。




