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転生先は宇宙船の中でした  作者: 光晴さん
宇宙で生きる者たち

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第48話 攻撃重視




亜空間ゲートから出ると、通常宇宙を進んでいく。

ここからワープを何度か繰り返して、目的の惑星へと向かうわけね……。


偶然発見されたこの宙域は、今、ゴールドラッシュ時の某大国のようだ。

いろいろな探検家が、自分の宇宙船に乗って惑星を巡っているし、世間を騒がす発見も珍しくない。

さらに、知的生命体の発見も相次いでいるとか……。


私たちと同じ地球型の知的生命体を発見したニュースは、今やトップで取り上げられている。

私たち地球人が、まだ地球という惑星から巣立つ前に未確認飛行物体で世間が騒いでいたあの時代と同じような文明の地球型知的生命体との接触はどうするだの、連日大騒ぎだ。



「どうせ信じない人たちが半分は出てくるんだから、そっとしけおけばいいのに……」

「いえお嬢様、ここは先達者として導いてやることも必要では?」


私とケニーの間でも意見が食い違うのだから、世間の意見がまとまることはないのだろう。

何が正しくて何が間違っているかは、人それぞれ、立場それぞれで違ってくるしね。



「それにしても、この本。一体初版はいつ発行されたのよ……」

「ああ、お嬢様が読んでいた『移民船団の乙女 ジェニーの戦い』ですか。

確か、初版は宇宙歴前だったはずですよ?」


「宇宙歴前って4000年以上前なの?!」

「面白いお話は、繰り返し読まれることがありますからね。

それに、宇宙歴以前のお話には夢とか希望とかいろんなものがお話に籠められているように思えます……」


この宇宙船の図書頭脳、結構容量大きかったのね……。

宇宙歴以前の本まで記憶しているなんて、そうないものじゃないかな?



宇宙歴に入って、いろんな世界を見た人類は自分たちの歴史をどう残すかに苦労したそうだ。

紙媒体やデータとして残すとか、劣化はどうとか腐食はとか苦労している。


そこで発見されたのが、記憶脳媒体。

人工の脳みそを作りだし、そこに記憶させてしまおうというわけだ。

だが、これにはリスクが伴う。


それが忘れるという、人間の脳の機能だ。そこで作りだしたのが完全記憶人工脳。

これで、忘れることもなくジャンル別に記憶させ人類の歴史を後世に残すことに成功した。



倫理的にどうなのかとかありそうだけど、アンドロイドを作りだしている現在で脳みそを作って倫理も何もない。

それに、他の知的生命体や地球以外の生命が住める惑星を発見していくうちに、そんな倫理や信仰など吹き飛んだらしい。


現に今の世の中、私の前世よりも神の存在には寛容のようだ。


まあ、地球人以外の知的生命体からすれば神?何それ、美味しいの?といったところだからね……。




貸し切りに近いレクリエーションルームで、私とケニーは旅の暇つぶしとして星間ニュース番組を見て意見を交換していた。

それも見飽きると、さっき読んでいた本のことを考えていると宇宙船の外が騒がしくなってきたようだ。


――――――ビィー、ビィー、ビィー!

『緊急事態発生!緊急事態発生!乗組員以外は今いる場所から動かないでください!

繰り返します!乗組員以外は今いる場所から動かないでください!』



船内放送を聞いたケニーが、おもむろに立ち上がる!


「お嬢様!ここは脱出船のある所まで非難しなければなりません!」

「ケニー、放送ではその場を動かないように言っていたでしょ?」

「それは間違いです、ここは行動しなければ……」


「いいから座って次の指示を待ちましょう」

「……お嬢様……」


私たちが勝手な行動を取ったら危ないわよ。

それに、この船のどこに脱出用の船があるのか分からないし……。


「この宇宙船は大きいから、しばらくは持つわよ。それから脱出しても、間に合うわよ」

「……お嬢様、取り乱したりしないんですね」


ん~、取り乱して状況が変わるとも思えないしね……。

それに、こんな時は正義の味方なりヒーローなりが救助してくれるでしょうから……。


……ダメダメ、本の読み過ぎね。




▽    ▽




ショートワープで目的の巨大移民船を見つけたが、すでに宇宙海賊の宇宙船が一隻とりついていた。

おそらく、船内へ侵入したのだろう。


「とりついている宇宙海賊船以外は?」

『上に2隻、下に1隻の計3隻だけです』

「ならば、お披露目だ!出撃せよ『トリスタン』!」



僕とアシュリーが乗る宇宙船キャメロンの真下に、亜空間の口が開き、中から全長600メートルもある宇宙船当館が姿を現していった。

それは、宇宙戦艦というより筒形コロニーをさらに細くしたような形状で、7割がその形で占めている。


最後の3割で戦艦型宇宙船が付いているようだ。


『若……なんですか、あれ……不細工にもほどがありますよ?』

「あれでいいんだよ、エネルギーシールドとか防御関連は船体シールドのみの機体なんだから」

『……まさか「攻撃は最大の防御なり」って格言を体現してやるって言っていた?』


「そう、あれが僕の答えの攻撃重視型戦闘艦だ!」


――――マスター、めんどくさいから一気にいっていい?


『……若?』

「トリスタン、いいぞ!一気にいけ!」


僕がそう言うと、トリスタンの中央部のハッチが開き中からドラム缶のようなものが排出されていく。


そして排出されたドラム缶は、花を咲かせるように開きトリスタンの周りを縦横無尽に飛び始めた。


『若!あれはまさか、某有名作品の!!』

「さあ、著作権がどうなのかは知らないよ?4000年以上前の作品だし」

『若……でも確か著作権法は、改定に改定を繰り返していましたな……』


今どうなっているかは後で調べればいい!今はこっちが先だ!


トリスタンの前方部分からは例のクリスタルが出現し、そこからビームが照射!

すると、ドラム缶の咲いた花の部分に当たりビームの軌道を変えていく。


何個かのドラム缶に当たり、軌道を変えられまとめられ、最後は宇宙海賊の船に向かって照射された……。








第48話を読んでくれてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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