第33話 対宇宙海賊
宇宙歴4261年12月12日、今日も青い星の管理にまい進中の僕のもとに警報が鳴り響く。
『8時の方向に所属不明の宇宙船6隻確認、こちらからの呼びかけに応答なし、宇宙海賊の可能性76パーセント!』
宇宙船『ハルマスティ』の艦長室でそれを聞いた僕は、すぐに部屋を出て目の前のブリッジに飛び込む。
「呼びかけに応答ない?」
通信席で座って作業をしているアンドロイド、アシュリーが僕に振り向き顔を横に振る。
『さっきから呼びかけているんだけど、応答なし』
「6隻の宇宙船の行き先は分かった?」
船や青い星の周りの動向などを見張っているオリビアが、僕の問いに答える。
『宇宙船6隻はそのままの速度を維持、まっすぐこのステーションを目指してる』
『間違いなく、目的場所はここ』
艦長席に座っていたシンシアが、僕にこれからどうするか聞く。
『若、どうします?宇宙海賊と断定して対処しますか?』
僕は少し考えると、アシュリーにやってほしいことをお願いする。
「アシュリー、向こうの船通しの通信を傍受できる?」
『ちょっと待ってください………できました、今流します』
《……ガガ……ピピ……》
《……んようならねぇ、これからは俺たちで動くんだ!》
《分かってるって……おっと、見えたぜ。獲物の宇宙ステーションが》
《へへへ……簡易ステーションって聞いてた割にはでけぇじゃねぇか?》
《よし、野郎ども!半月もよく我慢した!これからはお頭の命令なんてねぇ!宇宙海賊としての本能に忠実であれっ!》
《《《おおおぉぉ!!》》》
聞いていた全員が、ものすごい嫌悪感に襲われていた。
いつも冷静なロージーでさえ、顔に嫌悪感が浮かんでいるくらいだ。
『最悪な連中だな……』
「だが、これで相手は宇宙海賊だとはっきりした」
ついにこの時が来たか、宇宙艦隊『ブリュード』の初陣だ!
「ステーションはこのまま防衛体制へ、ブリュードを前面に出し討伐させる!『ブリュード』初陣だ、油断だけはするなよ!」
――――了解、頑張ってくるぜ!
その声に、ブリッジの全員が驚き僕の顔を一斉に見た。
『若旦那、ブリュードには心があるのですか?』
「あるよ、ブリュードは自立型宇宙艦隊だからね。自分で考えて戦うことができるよう設計している」
『……まさか、他の宇宙船も同じように?』
「ブリュード艦隊で、自分で考えて動けるのは中心艦のブリュードだけだよ。
あとは、ブリュードが操っている」
ロージーは僕にじりじりと近づきながら、まるで責めるように質問してくる。
何か、おかしかっただろうか?
『若旦那、まさか他の建造中の戦闘艦も同じような造りなのですか?』
「えっと、ロージー?近すぎるんだけど?」
『いいから答えてください、若・旦・那』
すでにロージーの顔が僕の目の前に迫っている。この距離はいつロージーの唇が僕に当たってもおかしくない……。
しかし、そんなロマンチックな雰囲気でロージーが近寄っているわけではないのは分かっている。
「ひ、人が乗って操縦する戦闘艦だと、今の人手不足の僕たちでは無理だよね?でも、星の管理人となったからには守るための力がどうしても必要だ。
そこで、戦闘艦自体に考えて戦ってもらったらいいかな~なんて……」
『それで自立型というわけですか……。それで、若旦那の造った自立型に学習能力は?』
「勿論、搭載してあります」
『……ならいいでしょう、とりあえずこのことは社長たちには報告しておきます』
「……はい」
自立型で学習能力もある戦闘艦のどこがいけないのかな?
今の僕たちの人手不足を補うには、このアイディアしかなかったんだけどな~。
反省している僕に、通信席のアシュリーが声をかける。
『若旦那、ブリュードが宇宙海賊と接触!戦いが始まりました!』
僕は急いで、窓の外の宇宙を見るが光りが瞬くだけでよくわからない。
「戦いの様子はモニターしてる?」
『はい、今後の役に立つかもしれませんからあらゆる角度で記録中です』
「よし、その映像、この中央に回してくれる?」
『………準備完了、映像出ます!』
中央のモニターに大きくブリュードの戦いが映し出された。
▽ ▽
時間は少しさかのぼり、ブリュードが宇宙海賊の船6隻を確認するところから始まる。
――――敵、宇宙海賊の船6隻確認。
――――これより、威嚇攻撃をしま……敵発砲確認!
ブリュードの威嚇攻撃より早く、宇宙海賊の攻撃が襲い掛かってくる。
攻撃はミサイル14発。
ブリュードは、すぐに7隻の艦艇を攻撃位置に動かし迎撃。
ブリュードの目の前で、ミサイル14発が一斉に爆発!迎撃に成功するも視界がゼロの状態になってしまう。
――――敵の位置を再確認!
――――4隻はいまだ動いていないが、2隻の船が左右に展開。
宇宙海賊船団の一番両端にいた船が、そのまま速度を上げてブリュードの脇をすり抜けるつもりのようだ。
――――目標はあくまでも、マスターのいるステーションってことか!
――――!船体シールドレベル5で展開!
2隻の海賊戦艦が通り過ぎるその時、前方に展開している4隻の海賊戦艦から一斉に攻撃が始まった。
――――これでは、マスターが危ない!
――――エネルギーシールド展開!展開後は艦の横を前方の戦艦に見せろ!
ブリュードの中央艦をはじめ、前線に展開している4隻の艦は半偃月状に展開されるエネルギーシールドを展開させ、艦を横に向けて攻撃をしのぐ。
――――後方の3隻で、横を抜けようとしている海賊艦へ攻撃!
――――シールド展開している前線艦も、前方の海賊艦へ向けて攻撃!
ここで一斉に前後の宇宙海賊船に向けて、攻撃が開始された。
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