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転生先は宇宙船の中でした  作者: 光晴さん
星の管理人に

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第32話 星の影にて




宇宙歴4261年11月19日、星の影に隠れて3日目。

周辺に探りを入れながら『亜空間ゲート』の完成を待つ日々だ。


血気盛んな連中は、有り余る欲望を何とか抑えているがいつ爆発してもおかしくない状況らしい。

……まったく、情報収集もできんのか最近の宇宙海賊どもは!



例の星の管理の戦艦がどこに向かったのかは、すぐに判明した。

ここから、少し離れた場所にある生命惑星『青い星』の管理人を決めているそうだ。

斥候部隊の話じゃあ、青い星のさらに奥に緑の星があるらしいとか報告書にあったが今はいいだろう。


青い星を管理することになった連中の戦力はどうなんだろうな。


その戦力次第では、宇宙海賊としての仕事をしないといけないんでな。

斥候部隊には、その辺りの調査を命じておいた。



そう言えば、俺たちが一か月もかけてきたルートをたどっている馬鹿どもがいるらしい。

俺たちが用意周到に動いたことに、何かあるといって手柄の横取りを考えていたんだろう。

本国との通信でそれが分かった。


無事、たどりつければいいがな……。




宇宙歴4261年11月26日、星の影に隠れて10日目。

俺たちの後をつけてきた連中と合流した、が、準備不足のため何人か死んだようだ。


馬鹿な連中だ、こんな宙域に俺たちの文明のものがあるわけないだろうに。


そうそう、青い星の管理人が決まったそうで星の管理人リストにその名が載っていた。

レオンというまだ6歳のガキだった。


「お頭、このガキを殺せばあの星は俺たちが好きにできませんかねぇ?」


……アホなことを提案してきた手下が一人出てきた。

6歳のガキが管理人になったってことの意味を理解していない。


「お前何言ってるんだ?6歳のガキだけで星の管理人になれる訳ねぇだろうが!」

「……どういうことですかい?」

「ガキの後ろに何人かいんだよ!後ろ盾ってやつがな、ガキは傀儡だ!」


宇宙海賊だからって教養の無さは問題だぞ?

こんな連中しかいないから、海賊は低レベルに見られるんだよ……。



後『亜空間ゲート』は大体完成したらしい。

式典っていうのをして、本格的に稼働させるそうだ。





宇宙歴4261年12月10日、星の影に隠れて24日目。

とうとう若い連中が暴走した。

しかも、合流した連中を巻き込んで青い星の管理人を襲うそうだ。


「チッ、おい!向かった戦力は分かっているのか?」


「お頭…、へぃ!合流した10隻の宇宙船とうちの若い連中が持ち出した4隻の計14隻で向かいやした!」


14隻?てことは、今ここにあるのはたった2隻の宇宙船しかないのか?

……よく見りゃ、俺の乗っている戦闘艦と物資を積み込んでいた貨物船だけじゃねぇか。


「連中が飛び出して何時間たっている?!」

「へぃ、かれこれ6時間は経過してやす」


ダメだ、6時間もたっていたら向こうはもうすぐ戦場になる。

大体いつからこの計画を練っていたんだ?



「おい、合流してきた宇宙船は点検や修理はしているのか?」

「あ、いえ、使えるようにはなっていると思います。ただ、武器の修理や点検はしてなかったはずです……」


馬鹿だ!馬鹿だ!馬鹿だ!

うちの修理担当の連中が困惑してやがる。


あいつら、勢いだけで行動しやがった!

そんなにストレスを抱えていたのか?

……まあ一か月近く海賊行為は禁止していたからな、しょうがないんだろうが。


「お頭、どうしやすか?俺たちも後を追いやすか?」

「…………」

「お頭!」


「………放っておけ」

「お頭!あいつらを助けてやんねぇんですかい?!」

「俺だって助けてやりてぇ!」


「だったら!」

「だが、無理なんだよ……この戦力じゃあな……」


……やっと黙ったか。

俺が心痛な顔で、助けに行きたくてもできないって言えば黙ると思ったぜ。

……だが、本当に今の戦力じゃおそらく戦いにもならねぇだろう。


この一か月近く無駄に過ごしてきたわけじゃねぇ、情報収集は欠かさずおこなってきた。

そのうえで、俺たちでは勝てないと分かったんだ。

しかも、出て行った戦力を合わせてもだ。



「……お頭、どうあっても若い連中は見捨てると」

「そうだ、俺たちが………ガハッ………」


何だ?どうなってる?

手下が俺に近づいてきたと分かったら……クソッ、うまくしゃべれねぇ……。


「ガフッ……て、てめぇ………」


俺の口から血だと?

……こいつ、やりやがったのか!俺に傷をつけるとは……。


「お頭、俺にゃ無理だ。あの若い奴らを見捨てることは……」

「……なら……どう、グフッ………する気だ?」


くそ、血が止まらねぇ。

それに、もう足に力が入らねえ………。



俺はその場に崩れ落ちた。

それを見ていた手下は、俺をのぞき込むように話を続けてくる。


「お頭、休んでいてくだせぇ。あとは俺がうまくやりますんで……」


こいつ、最後に笑いやがった。

……いいだろう、好きにしな。俺はここまでのようだからな。

仲間だと思ってたやつに、殺されるとはな………。


「……好きにしろ………」


あの世で、てめえらを待っててやるよ……。




▽    ▽




……やっちまった、お頭を……。

あいつらを見捨てるなんて、俺にゃあできねぇ。

だから、お頭に……助けてもらいたかったのに……。


お頭が頼りにならないなら、俺がやるしかねぇ!


おれは、お頭の部屋にある通信ボタンを押して命令を発信する。


「伝令!お頭の命令だ!すぐに出て行った連中を追うぞ!」

『ブリッジ了解!メイン指導、貨物間のメイン指導』


「お頭が今回の件は俺たちに一任してくれた、総員気合いを入れろっ!」

『『『了解!』』』


これでいい、これで……次のお頭はオレダ……。









第32話を読んでくれてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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