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転生先は宇宙船の中でした  作者: 光晴さん
青い星を発見して

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第21話 操るものと操られるもの




宇宙船ガラハッドを発信させようという時、警報が鳴った。

どうしたのかと原因を調べると、出入り口のハッチに何かが引っ掛かっているらしい。


僕は、走ってハッチに行くとそこには丸太が一本挟まっていた。


「……丸太?どこからこんなのもが……」


僕の声が聞こえたのを聞いてたのだろうか、そのタイミングでハッチの外から大きな声が聞こえた。


『その金属の中にいる奴、出てこいっ!』

『そうだ、出てこい!』

『俺たちのアジトから、さっさと出てこい!』


そんな声が聞こえる、それも複数だ。

俺たちのアジト?外にいる連中は何を言っているんだ?


そこへブリッジにいるアルから通信が入った。


『レオン、ブリッジの窓から外に複数の人を目視しました。どうやら盗賊のようです』


……と言うことは、ハッチの向こうで声をあげているのは盗賊の連中か?

一体どこから僕たちを狙っていたんだ?



『お頭、出てきませんね……』

『このままだと、ホルケス男爵にどんな目にあわされるか……』

『貴族を敵に回すなんて、俺たちはゴメンですよお頭……』


『うるせぇ!俺だって分かってるよ!……チッ、女を攫って子どもと年寄りを殺すだけの簡単な仕事と思ったら、何だ?この金属の建物はよっ!』


お頭の最後のセリフと同時にガン!という音がしたから、おそらく蹴ったか叩いたのだろう……。お頭の痛みを我慢している声も聞こえた。


しかし、狙いはダークエルフのクレアか。

……ならば、戦う必要はないな。


「ブリッジ、メインエンジン起動、地面から3メートルほど浮かべてくれ」

『了解』


僕はすぐにハッチの開閉を手動に切り替え、その場に待機する。

すると、船全体が少し揺れた後浮遊感を感じると外の連中の驚いた声が聞こえだす。


『な、何だこりゃっ!!』

『金属の塊が、浮かび上がった!!』

『浮遊魔法か?!』


『全員戦闘準備!魔法使いども、詠唱を始めろっ!』



おっと、この世界には魔法があるんだったな。


『ブリッジ、シールドレベルを2へ』

『了解』


浮遊感が無くなると、僕はハッチを開けかませてあった丸太を下へ落した。

そして、すぐにハッチを閉じていく。


『うおっ!あぶねぇ!』

『噛ませておいた丸太が、落ちてきやがった。魔法使いどもっ!一斉に攻撃だっ!さっさと地面に落としやがれっ!』


ハッチが完全に閉まると同時に、地上の魔法使いたちが魔法での攻撃を開始する。

船全体に衝撃が走るものの、シールドのおかげか船体は無傷だ。


僕がブリッジに帰ってくると、ブリッジの窓から下の様子が見てとれた。


「……囲まれていたのか」

『レオン、反撃はしなくてよいのか?』

「アル、今さら口調を戻さなくていいよ。ロージーたちが聞いたら笑われるよ?」


『むむ』

「それよりも、反撃は無しで。このまま宇宙へ飛び立とう」

『了解』


ブリッジの僕の席に座るとき、大人しいクレアを見ると目を瞑って固まっていた。

どうやら、予想だに出来ないことが連続で起こって、もう何も見ないことにしたんだろう。

……仕方ないか。



僕は自分の席に座ると衝撃吸収ベルトを装着。


「アル、衛星軌道上のハルマスティへ向けて発進!」

『了解!』


ガラハッドは空中でハルマスティのある方向へ船首を向けると、8つのブースターノズルを点火!

8つのブースターの青い光とともに、空高く高速で飛び立って行きすぐに見えなくなってしまった。




▽    ▽




盗賊団の全員が、青い光とともに飛び立っていった方向をいつまでも眺めていた。

俺たちにとって、今日の出来事は生涯忘れることはできねぇだろう。


「嘘だろ……」

「……あれ、飛行魔法か?」

「いや、飛行魔法のはずないだろ。あんなデカイ物を飛ばすってどれだけ魔力がいるか……」


盗賊団に協力した魔法使いたちが、口々に飛んでいったもののことを話し合っている。

ホルケス男爵から、用心のためとか言って付いてきた魔法使いたち5人。

結局、何の役にも立たなかった。


「……お頭、ホルケス男爵に何て言えば……」

「知るかっ!ありのままを言うしかねぇだろ!今回は魔法使いって証人もいんだからよぉ」

「……そうですね、あの魔法使いたちも証言してくれますよね」


俺たちは何の成果もないまま、町へ帰還。

その足で、ホルケス男爵のもとへ報告に行った。


幸い、魔法使いたちの証言もあってかお咎めなしになった。

俺たちはホッとして、アジトへ帰っていく。


「しかし、あの金属の中にはどんな女がいたんでしょうかね」

「さあな、貴族様のご執心の女だ。さぞかし美人でスタイルのいい女なんだろうよ」



その後、盗賊たちはアジトへと帰るがそこにはホルケス男爵が通報した騎士団が待ち構えていた。

すぐにホルケスの裏切りと分かったが、多勢に無勢、盗賊団は壊滅した。


盗賊のお頭の最後の言葉は、『貴族なんて碌な奴がいねぇ』だった。




▽    ▽




貴族の屋敷の2階の窓から、町を見渡す男が1人。

仕立てのいい服を着て、派手過ぎない宝石をその身につけて笑みを浮かべて外を眺めている。


「ダークエルフをこの手で味わいたかったですが、またの機会にしますか……。

今度は、ダンジョンの外に連れ出した後は私のもとに連れてきてくださいよビニー」








第21話を読んでくれてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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