表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生先は宇宙船の中でした  作者: 光晴さん
青い星を発見して

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/181

第19話 ダークエルフの真実




「それではレオン様、この首輪にあなたの血をつけてください」


オークション会場の裏口で、商品の受け渡しをおこなっている。

その場所で、今僕はダークエルフの女性奴隷を購入した。

運営職員である商業ギルドの職員の人に、ダークエルフのつけている首輪へ僕の血をつける。


すると、首輪が一瞬赤くぼんやりと光るとすぐに消えた。


「ありがとうございます、これでこのダークエルフはレオン様のものとなりました。奴隷をもつものは、奴隷の生活を保障するのがこの国の法でございます。

くれぐれも、ご注意ください」


僕の側に、ステージ上からずっと元気のないダークエルフの女性が近づいてきた。


「……あ、あの、ダークエルフのクレアといいます。末永くかわいがってください」


最後は少し聞き取りにくかったが、僕に頭を下げて少し震えている。

怖がっているのか?



「クレア、よろしくね。僕の名はレオンだ」

『儂はアルじゃ、よろしくな』


クレアは頭を上げて僕の顔を見る。そして、再び頭を下げてきた。

このクレアとのやり取りの間に、僕は商業ギルドの職員にクレアの代金である金貨1枚を支払い受領書というものをもらった。


そして、引き渡し所から外へ出ると僕たちが最後だったのか辺りには誰もいなかった。


「では、次のオークションもまたよろしくお願いします」


そう言って頭を下げ、建物の中へ引っ込んでいく商業ギルドの職員たち。

僕たちは、クレアを連れて宿へ戻っていった。




宇宙歴4261年10月13日、ベッドから起きると僕の隣でクレアが静かにまだ寝ていた。

昨日、宿に帰ってきて追加の宿泊費を払ってクレアを僕たちの部屋へ入れる。

ベッドが二つしかなかったが、僕がまだ6歳児なのでクレアと一緒に寝ることに。


クレアはダークエルフ、ダンジョンエルフと言われる存在だ。だが、実際はエルフとそう変わらない。

褐色の肌は、ダンジョン内で暮らしていくうちに今のようになったらしい。


だが、もともとはエルフと見分けはつかなかったそうだ。

クレアの見た目は褐色の肌に、赤い髪、体の凹凸は実に女性らしく出るとこ出て、引っ込むとこ引っ込んでいる。


普通なら性奴隷として目をつけられそうなのだが、クレアは性奴隷となることを許しておらず王国の法に照らし合わせれば、望まない奴隷の性交渉は罪になるそうだ。


赤い髪は長く、肩まであり服装は簡単なワンピースだった。

靴は簡素なサンダルを履いていて、身の回りの物をそろえるのも主人となったものの義務だそうだ。



『起きたのか、レオン』

「おはようアル、相変わらず眠らないのか?」

『寝ることはできるんじゃが、慣れなくてのう……』


アルはもともとロボットだったんだが、この世界に降りる僕の護衛ということで色々つけられている。睡眠をとることもその一つだが、寝ても起きていても同じなのでこうして起きていることが多いようだ。


「そういえばアル、昨日司会者がクレアが本来の力が無くなったとか言っていたね」

『確か、ダークエルフはかなり強いとかじゃったかな?』

「その本来の力が、ダンジョンから出すことに成功したらなくなったとか」


アルは僕の答えに頷いた。


『それで会場にいた者たちは帰ってしまったからの』

「僕としては、散財しなくてラッキーだったけどね」

『それで、クレアのダークエルフとしての力がどうかしたのかの?』


おっと、本題に行かないとな。

僕の考えは、ダークエルフの力は無くなったわけではなく元に戻っただけだと思うんだよね。レベルで表現するなら、60レベルの強さをもったものが1レベルに戻る、みたいな。


昔、そんなゲームがあったなふと思い出したんだ。

クレアの状況はそれに似ている。もしかしたら、ダンジョンから出ないというのもレベルが元に戻るのを嫌ったから、とも言えなくはないのではと考えたのだ。


『……なるほどのう、もしかしたらそうかもしれんのう』


その時、クレアの寝ているベットから声が聞こえる。


「あの、よろしいでしょうか?」


僕とアルが椅子に座ったまま、視線をベッドに向けるとクレアが起きている。

どうやら、少しだけ僕たちの会話を聞いていたようだ。


「おはようクレア、どうしたの?」

『おはよう』

「おはようございます。私、ダンジョンの村にある石碑を思い出したんです」


「石碑?」

「はい、私の生まれる前からあるものらしいのですが、そこには『ダンジョンを出るべからず、出ればすべてを失う』と」


「すべてを失う……」

『クレアは、何故ダンジョンを出ようと思ったんじゃ?』


「……私は、ダークエルフの中では最弱でした。いつもみんなから虐められたりして強くなりたかった。それで、禁忌を冒せば強くなれるかと思って……」

「それでダンジョンを出てすべてを失ったと……でも、ダンジョンを出た後は?」


「ダンジョンを出た後は、私を手引きした研究者の女性と一緒に行動をしていましたが私が弱くなったと分かると、奴隷商に売られてしまいました」

「で、今に至るというわけか?」


「はい……」


その研究者の女性は、ダンジョンエルフの秘密を知って落胆してしまったんだろうな。

エルフと変わらないダークエルフと知って……。

で、今まで研究してきたことの無駄を悟り、怒りがクレアに向いたってところか。


「クレア、今日は君の服と靴を買いに行ってからこの町を出るから」


「……あの、ご主人様は私を捨てないんですか?」

「捨てないよ、昨日も言っただろ?よろしくって」


僕がよろしくというと、クレアは泣いてしまった。

きっと、いろんな人から落胆されてきたんだろうな……。








第19話を読んでくれてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ