第18話 オークション 2
僕が商業ギルドに売った宝石類は、オークションですべて高値を付けた。
「全部で金貨4200枚か……」
『痛い勉強代だったのう……』
確かに、出品という形を取らなかった僕の落ち度というわけだな。
今回は、時間がないというわけで参加のみとなったけど、次回は出品もしてみたいね。それと、いろいろな僕オリジナルのものを出品してみたい。
「今回は時間がありませんからね、しょうがないです」
『……ん?次からの出品は人……奴隷じゃな』
僕とアルがいろんな考えを巡らせているうちに、アクセサリー類の出品が終わりいよいよこのオークションの目玉商品の奴隷が出品される。
「さっきそこでオークション関係者に聞いてみましたが、今回魔道具のオークションは見送りだそうです」
『何か問題でもあったのかのう?』
「いえ、それが出品数が少なくオークションにかけれる種類がなかったようですよ」
ロージーたちへのお土産は何がいいかなと、オークションを見ていてふと魔道具なんかを持って帰れば研究材料が来たと喜んでくれないかなと楽しみにしていたんだけど、魔道具のオークション自体が中止とはね~。
「仕方ないから、今あるお金で買えそうな奴隷でも買ってみますか……」
『奴隷でも、ロージーたちなら喜びそうじゃの』
「ですね」
こうして僕たちは、気合を入れて奴隷オークションに参加していった。
『エントリーナンバー223、元冒険者、ランクは中級、得意武器はありませんが治癒魔法が得意とのこと。前組んでいたメンバーが依頼を失敗、それに伴い違約金が発生したものの払えず借金奴隷に落ちたそうです。
では、まずは金貨1枚からスタートしましょう!』
冒険者の依頼には違約金制度があるのか……。
どんな依頼を受けていたんだろうね、違約金で借金奴隷って。
「……結構金額が上がるね」
『治癒魔法の使い手というところじゃろうな』
「札を上げている人たち、ほとんどが冒険者みたいだね」
おそらく治癒魔法の使い手をパーティーに加えて、ランクを上げようということだろう。
『129番、金貨477枚で落札です!』
金貨1枚からのスタートとしては、かなりの高額だったみたいだな。
会場からの拍手が鳴りやまないよ。
『それではどんどんまいりましょう!エントリーナンバー241、白ネコ獣人の少女です。
勿論処女、戦闘経験はないようですが家事全般ができるようです。
今だ14歳と成人まで1年ほど待たなくてはなりませんが、それまでに彼女の心をつかんではいかがですか?
金貨1枚からスタートです!』
いよいよこれぞ奴隷といっていいような一般の人たちが出てきたな。
戦闘経験も無し、魔法も微妙な性奴隷向きっていうのかな?そんな少女がステージの中央に上がっている。
『性奴隷向き、といったところかの?』
「でしょうね、ここからは一般奴隷が出てくるようですから」
『レオンは大丈夫かの?』
「いい気はしませんが、奴隷がいる惑星は他にもありますから……」
『気持ちの整理はできていると?』
「一応は、ね」
『やれやれ、この子は本当に6歳の子供かのう?』
外見は6歳の子供ですよ、地球に生まれて30年以上生きて転生でしたから精神は大人なんだよね……。
『お待たせいたしました!今回のオークションの目玉の一つの登場です!
エントリーナンバー277、妖精種のエルフ、美の体現種族の登場です!
ご覧ください、女性とはこうも美しくなれるのでしょうか!しかも見た目だけではありません。皆様もご承知の通りエルフは魔力においても世界一の種族です!
さあ、もう何も語る必要はありませんね?金貨100枚からスタートです!!』
ステージの上からこちらを見回しているエルフの女性。確かに綺麗な女性だけど、誰かを探しているみたいだ。
それにしても、どうして彼女が奴隷になったのか不思議なんだよな。
『レオンは札を上げんのか?』
「無理無理、すでに金貨3000枚になってるもん」
『お金がないとは、厳しいのう……』
結局、エルフの彼女は金貨1万7600枚でどこかの貴族が落札したみたいだ。
お金って、ある所にはあるんだよね……。
『さて、次で今回のオークション最後の商品となります。エントリーナンバー300、ダークエルフです!』
! なんだ?会場中がすごいどよめいているぞ?
『皆様、落ち着いてください。知っての通り、ダークエルフはダンジョンエルフと言われダンジョンから外に出ると生きていくことができないとされてきました。
戦力、美貌、ともにエルフに負けてないにもかかわらず、呪いともいえるダンジョンから出て生きていけない身体』
なるほど、エルフに匹敵するダークエルフを味方に、しかも奴隷にできればってことか。
いつの間にか会場中の参加者の雰囲気が変わった感じがするな。
『その呪いをどうにかできないかと研究したものがいました。そして、研究の結果ダークエルフをダンジョンから連れ出すことに成功したのです。
ですが、皆様にはここで謝らなければなりません。
なぜなら、研究は失敗したとしか言えないからです。
確かに、確かにダークエルフをダンジョンから連れ出すことはできました。しかし、能力は一般の人種と変わらない能力しかなかったのです』
会場中が落胆したみたいだ。
それと同時に、罵声や怒号が会場のあちこちから聞こえてきた。
「……罵声とかも聞こえるな」
『ダークエルフの魅力の戦力が無くなったのじゃからな……』
「客が帰っていくみたいだ……」
「やはり帰っていく人が大半か……。
仕方ない、最後のオークションは今残っている人でおこなおう。商品の引き渡しやお金の受け取りなど頼むぞ」
「分かりました」
司会者は、会場に残っている客を相手にダークエルフのオークションを再開する。
『今までの説明を聞いても残ってくださった方、ありがとうございます。
では、金貨1枚からスタートいたします!』
静かなオークションだ。それもそのはず、今会場に残っている客は僕とアルだけなんだから。だから、最初に札を上げて……。
『166番、金貨1枚で落札です!』
ということになる……。
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