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転生先は宇宙船の中でした  作者: 光晴さん
神に触れて

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第173話 ファンタジーの世界へ




宇宙歴4264年4月24日、捕まえた惑星『グラニド』の連中は、無事シャロンに引き渡しておいた。


惑星『グラニド』の連中を、どう助けるか、それとも、見放すのかはシャロンが決めることでいいと思う。

『オレオン銀河』をまとめるという目標に、今回の件は大いに役に立つだろう。



僕たちは、今、ようやく『青い星』と『緑の星』のある太陽系に帰って来た。

このまま進めば、『青い星』を目視できるだろう。

が、僕たちは発見してしまった。


この太陽系の10番目の惑星側に、宇宙船が待機していることに。


すぐに、アシュリーに亜空間ネットを使って艦影を照合。

すると、『ダイダネール』という宇宙貨物運搬業者の宇宙船であることが判明。


どうやら、ここで休憩していたようだ。


通信で呼びかけると、『青い星』へ荷物を輸送し終わった後で、この場で宇宙船の点検を兼ねて休憩していたと、話してくれた。



簡易とはいえ、宇宙港があるんだからそっちで休めばと、薦めると、どうやら宿泊施設がなかったようで、荷物を届けてすぐに引き返したといわれてしまった。



「レオン君、どうやら肝心なものが無かったようだね……」

「うん、反省してる……」


僕たちは、運搬業者さんにお礼と労いの言葉をかけると、その場を後にした。




▽    ▽




宇宙歴4264年4月26日、この日は、シャロンの救援から戻ってすぐに報告書と格闘を始めた頃だ。

このところ、いろいろと事件が起きて僕は報告書をため込む癖がついてしまった。


今、宇宙船『ハルマスティ』の艦長室には、ロージーとエリーと僕の三人で報告書の確認作業中だが、この量は本当にどうにかしないと、見終わらないぞ……。


「お、さっそく計上しているね……」

『若旦那、何か気になるものでも見つけましたか?』


「この前の運送業者の宇宙船の件だよ。宿泊施設がなかった奴、さっそく、オーリーが宿泊施設建設のための予算を計上しているんだ」


『『青い星』のコロニー『薬園』に造ろうとしているものですね』

『そういえば、外から来る人用のものってなかったね~』

「だから、どんな宿泊施設にするか考えているんだろうね~」


僕は、計上された予算に間違いが無いかよく見て、了承する。


これで、『青い星』の衛星軌道上にある宇宙ステーションのコロニー『楽園』に、外からの人を泊めることのできる宿泊施設が建設されるはずだ。


……それにしても、今もって足りないものってあるんだな。


モニターに向かい、報告書を一つ一つ読み、確認しながらそんなことを考えてしまった。




▽    ▽




1時間ほど、報告書と格闘していると、艦長室にアシュリーが入室してきた。


『若旦那、シンシアからナオミさんたちの基礎教育が終了したと聞きましたけど、今後はどうされるんですか?』

「今後は好きにさせるよ、この世界の基礎教育が終わったなら、詳しい専門知識は自ら勉強するなり、睡眠学習するなりして学べばいいんだからね~」


『そういえば、若旦那も睡眠学習で勉強してましたね』

「あれは便利だよ、寝て起きたら知識が頭の中に入っているなんて……。

でも、すぐにその知識を使わないと、一月で忘れちゃうんだよね」


『そんなものですよ、アンドロイドじゃあるまいし。

人は忘れることで、精神的苦痛を和らげている生き物なんですから……』


さすがロージー、考えていることが一味違うな~。



「……ん、エリー、この報告書は『ホリック』に送ってあげて」


紙にコピーして、エリーに手渡すと、エリーはそのまま扉の前にいたアシュリーに渡す。

渡されたアシュリーは、困惑顔だ。


『はいアシュリー、拠点の町『ホリック』の代表者のセーラに渡してあげて~』

『わ、私が?』


「ゴメンねアシュリー、その報告書は、拠点の『ホリック』のまとめ役であるセーラさんが必要としている情報だからさ。

僕の代わりに、届けてもらえる?」


僕がお願いすると、アシュリーは、仕方ありませんと艦長室を出て行った。

アシュリーには、後で何かお礼をしておこう。

それよりも……。


「エリー、報告書整理が忙しいとはいえ、頼むときはちゃんと頼まないとダメだよ」

『は~い、気をつけます~』


本当に、分かっているのかな?

……まあ、ロージーがエリーに鋭い視線を送っているから、後はお任せしておこう。


それにしても、『青い星』に住む人たちは元気だね~。



「ロージー、『青い星』に住む人たちの信仰ってどうなっていたかな?」


『『青い星』では、三つの信仰が存在します。

まず、女神信仰。

この世界の創造主たる女神アシュレアを、頂点に様々な神を祀る信仰。


次に、精霊信仰。

この世界には大精霊が神のごとく存在し、この世界を創造したとして祀る信仰。


最後に、創造神信仰。

この世界を創造した神ホルランは、人族を頂点にしたという信仰ですね。


主にこの三つで、それぞれ教会がありその地その地で信じられている宗教が違います』



なるほど、女神信仰や精霊信仰はまだ理解できるけど、最後の創造神信仰は、人族至上主義が掲げたものだろうな……。


『青い星』で人族がどれ程優れているのかと、問いただしたくなるんだけどな……。

こういう宗教は、差別を生むことになりかねないんだけどね……。







第173話を読んでくれてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。


新作『駅前に冒険者ギルドが出来ていた』もよろしくお願いします。


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