第163話 友情とアンドロイドのお願い
惑星『ローフ』の月の衛星軌道上にある、修理中の宇宙ステーションの側に、簡易の停泊ステーションが出来ていて、シャロンの宇宙船『エリザベート』がそこに停泊していた。
それを見つけた僕たちは、宇宙船『エリザベート』の隣の停泊所に、戦闘艦『マーリン』を停泊させる。
そして、宇宙船『エリザベート』と戦闘艦『マーリン』の乗組員出入口を連結させて、出入りが自由にできるようにした。
すると、すぐに宇宙船『エリザベート』からシャロンとケニーさんが、戦闘艦『マーリン』へ乗船してきた。
僕たちは、ブリッジで待っているとすぐにシャロン達が姿を現した。
「オーリー!」
そう言って、シャロンはオーリーに飛びつく。
「シャロン!」
オーリーもまた、シャロンを受け止めて抱き合って友情を確かめ合っているようだ。
僕たちは、そんな二人を温かい目で見守るだけである。
ケニーさんは、僕を見つけると側に寄ってきて、お礼を言ってくれた。
「レオン君、この度は救援に駆けつけてくれて、ありがとう」
「シャロンやケニーさんとは、知らない仲じゃないし友達と思っていますので、救援要請があれば駆けつけますよ」
ケニーさんは、僕の返しに笑顔で答えてくれた。
「私も、レオン君たちがかけつけてくれて、感謝しているよ。
本当にありがとうね」
「シャロン、私たちは友達なのよ。
友達のピンチには駆けつけたいじゃない、ね?」
オーリーの言葉に、シャロンは満面の笑みで答えてくれる。
「それで、外の宇宙ステーションはいつぐらいに復旧しそうなの?」
「それが、当分は無理みたいなの。
宇宙ステーションの製造・修理をしている業者が、遠出しているみたいですぐに修理ってわけにはいかないみたいなの」
僕は、外の宇宙を映すモニターを見ると、そこには襲撃で一部が破壊された宇宙ステーションが映し出されている。
確かに、修理などがおこなわれている感じじゃない……。
「じゃあ、当面はあのままで放置?」
「そういうわけにもいかないのよ、オーリー。
この月の宇宙ステーションは、検問にもなっていたの。
だから、宇宙ステーションで検閲とかできないと、月の宇宙港でということになって、大変なのよ」
そうか、検閲は何が荷物に紛れているか分からないから、宇宙ステーションの様な隔離された場所がいいのか。
それに、何かあった場合、特に爆発物だった場合は宇宙にポイで、解決というわけか……。
「それなら、簡易の宇宙ステーションを作るのは?」
「それも考えたんだけど、人手が足りなくてね。
すぐのすぐってわけにはいかず、時間がかかるものは却下しているわ」
「難しいわね……」
「惑星『ローフ』は、この『オレオン銀河』で唯一の外宇宙と繋がっている場所だからね。
宇宙船の出入りも多いのよ。
だから、早急に何とかしないとね……」
外宇宙と繋がっている惑星か。
……そういえば、僕の管理している『青い星』や見守っている『緑の星』のある太陽系は、『オレオン銀河』に在るんだったな。
まあ、『オレオン銀河』の端も端だから、入っているって言えるかどうかは分からないが……。
『シャロン様、先ほど『お掃除宇宙船』から人が運び出されていたようですが……』
ロビンが、シャロンにこの停泊所に泊まるときに見た光景を話している。
停泊ステーションに、戦闘艦『マーリン』を近づけている際に、別の停泊所で『お掃除宇宙船』から、人が何人か担架に乗せられ運ばれていった光景だ。
「さっき報告がきていたわね、ケニー」
「はい、生存者を5名発見したと、報告がありました。
今は、月の宇宙港近くにある病院へ運び込まれたはずです」
「あれ、ここには病院はないの?」
「それが、ここは停泊用ステーションだから宇宙船を泊めること以外は何もないのよ、オーリー」
ケガをしているとはいえ、襲撃してきた軍人だ。
警護は大丈夫なのかな?
逃げ出して、報復とかされたら……。
「レオン君、その顔はケガをした人たちの心配?それとも、警護に当たる人たちの心配?」
「ん、両方だよオーリー」
その言葉に、シャロンが反応した。
「大丈夫よレオン君、月の宇宙港の側の病院は、隔離された病院なの。
月の町とも、月のあらゆる施設とも隔離してあるからね」
「それなら、心配いらないわね」
オーリーも、シャロンの説明に安心したようだ。
そこへ、ロビンがある提案をしてきた。
『シャロン様、私、その『オスティア星』の人に会ってみたいのですが……』
「会いたいの?どうして?」
『実は私は起動してから、地球人類以外の人にあまり会ったことがありません。
……つまり、宇宙人にあってみたいのです』
「宇宙人って……」
「オーリー……。
でも、ロビンはレオン君と一緒に『青い星』に住む人には会っているんじゃないの?」
確かに、ロビン達アンドロイドも、『青い星』で生まれた人や『緑の星』に住む人と会っているけど、ちょっと違うんだよな。
「シャロン、ロビンはファンタジーの住人じゃなくて、SFの住人に会ってみたいんだよ」
「……なるほど、そういうことか!」
シャロンは納得したようだ。
魔法とかエルフとか、ファンタジー感の世界からSF世界に生きている他の星の住人が見たいんだよね。
……でも、僕たち地球人類とそう変わらない気がするな。
今まで発見、あるいは出会った宇宙人は、僕たち地球人類系と変わらなかったし……。
「いいわよ、私たちもいっしょに確認に行きましょうか」
「「『オーッ!』」」
………君たち、軽すぎないか?
第163話を読んでくれてありがとうございます。
次回もよろしくお願いします。
明日の更新は、メンテ終了後になる予定です。




