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転生先は宇宙船の中でした  作者: 光晴さん
オレオン銀河の反乱

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第161話 奇襲とその後




宇宙歴4264年3月26日、襲撃を受けた翌日だというのに、月の宇宙港は人が行き交っていた。


この場所には、外宇宙へ行く定期便の宇宙船があり、惑星『ローフ』から人が軌道エレベーターに乗り衛星軌道上の宇宙ステーションへ行き、そこから月へ行ける定期便に乗って月の宇宙港へ。


そして、月の宇宙港から外宇宙へと、旅立ってたのだ。

あるものは宇宙旅行、あるものは里帰りと、その目的は千差万別だ。

その中に、外宇宙からくる定期便の宇宙船もある。


この惑星『ローフ』は、新しくできた都市惑星なれど、すでに重要な都市惑星となっていた。




その月宇宙港の衛星軌道上にある、監視のための宇宙ステーションにて爆発があった。


爆発したのは、職員がいた重要区画ではなく倉庫として使っていた区画。

しかも、内側からではなく外側から爆発したものだ。


月宇宙港から守備艦隊の一部が、月宇宙ステーションに集まる。

そこへ、月宇宙ステーションの真上に、『オスティア軍』の宇宙戦艦11隻が出現した。


完璧な奇襲だった。


守備艦隊に、宇宙戦艦の攻撃は効かなかったが、月宇宙ステーションには攻撃は効いていた。

何発も攻撃をくらい、月宇宙ステーションは機能を停止するまでに至った。


そして、その月宇宙ステーションには、シャロンやケニーが防衛について銀河をまとめる先輩の兄に相談するため、亜空間通信を使用する目的でいたのだ。


今回は、運が悪かったのだ……。




「シャロン様!」

「分かったわ!」


そう言って今までしていた通信を切り、その場から避難する。

爆発はあちこちで起こっており、さらに運が悪ければ巻き込まれてしまっただろう。


だが、今回は運が味方してくれた。


「シャロン様!こちらです!」


そう言って、ケニーがシャロンの手を取り引っぱると、緊急脱出用の脱出艇の中に入れたのだ。


「……もう安心です、このまま脱出艇はシャロン様の宇宙船『エリザベート』に収容されるはずです」

「よかった……。それにしても早かったわね、『オスティア軍』の動きは」


「この襲撃が、『オスティア軍』のものだと?」

「ええ、避難するときに、外が見える窓から確認したから間違いないわよ」


「しかし、昨日の襲撃から早すぎませんか?」

「おそらく、近くの惑星の影にでも隠してあった部隊なんでしょうね。

昨日の襲撃艦隊の結末の報告のために、とかね」


「それでは、さらなる部隊も?」

「そんなにポンポンと艦隊を送り込むことはできないでしょう。

この襲撃が失敗すれば、しばらくは大丈夫でしょうね……」


「それなら良いのですが……」


ホッと肩の力を抜くケニー、相変わらず心配性である。

しかし、ある事を思い出したシャロンによって再び、警戒してしまう。


「あ!」

「ど、どうされました?シャロン様!」

「レオン君に助けを求めたままだったわ……」




▽    ▽




『オスティア軍』の奇襲から1時間後、惑星の影に残った最後の宇宙戦艦では、再び通信がされている。


『そうですか、衛星軌道上の施設の一部破壊にとどまり全滅ですか……』

「申し訳ございません」


艦長は深々と頭を下げる。

モニターに映る女性の少将。その隣には、艦長の上司が困った顔をしていた。


『閣下、やはり数が少なすぎですよ。

11隻の宇宙戦艦で、今回の奇襲の成果は上出来でしょう』

『……そうですね、あなたの今後の活躍に期待します。

では、無事に、母星への帰還を。奇襲の方法などの報告は母星で受け取りましょうか』


「ハハッ!」


そして、通信モニターは切れ、艦長は椅子に座ってため息を吐いた。

ドッと疲れが出たのだ。

やはり、上官、それも階級がさらに上の少将までいるとは……。


「お疲れ様です、艦長……」


副艦長が、おしぼりを持って艦長に声をかける。

副艦長だけではなく、ブリッジにいる乗組員全員が、艦長を心配しているようだ。


「聞いての通りだ、帰還するぞ!」

「「「ハハッ!」」」


副艦からのおしぼりを手に取り、帰還の命令を出した。

これで、無事に帰還できれば、しばらくは休みがとれるだろう……。


犠牲は多かったが、今後に活かせれば無駄な犠牲ではないはずだ……。




▽    ▽




惑星『青い星』の宇宙ステーションから飛び立った戦闘艦『マーリン』は、順調にシャロンのいる惑星『ローフ』を目指していた。


「アシュリー、惑星『ローフ』で何か起こってないか確認してくれる?」

『了解、若旦那。亜空間ネットワークに接続して、惑星『ローフ』の情報を調べてみます』

「よろしく~」


アシュリーに頼みごとを終えると、ブリッジの艦長席に座るレオン。

すると、ブリッジの出入り口からオーリーとユリアさんが入ってきた。


「あ、レオン君、あとどのくらいで目的地に到着するの?」

「えっと、今この位置だから目的地まであと1時間ってところだね」

「1時間もかかるのね……」


「お嬢様、通常宙域の航行はこのくらいが普通ですよ。

お嬢様が考えている航行は、通常宙域では使えませんよ?」

「あら、そうなの?」


というか、オーリーってどんな航行手段を考えていたのかな?

まさか、ワープを使うとかかな?


宇宙では、いろんな航行手段があるけど、その宙域で最も理想の航行手段を使わないと、事故のもとなんだよね。

それに、宇宙には索敵やレーダーでは分からないものが漂っていることがあるし。


こうしてブリッジが全面モニターで、外の宇宙の様子を映しているのだって、航行中に何か物が当たって事故が起きないようにしているわけだし……。


確か『スペースデブリ』って言ったかな。


地球人類が外宇宙に出て行くようになって、惑星の周りだけに留まらなくなったんだよね、ゴミ問題が。


前世の時代でも、問題になっていたし、いつの時代でもゴミは問題なんだな……。








第161話を読んでくれてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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