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転生先は宇宙船の中でした  作者: 光晴さん
続・緑の星の戦争

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152/181

第152話 宇宙の神秘




宇宙歴4264年3月13日、この日は、『緑の星』の衛星軌道上に浮いている宇宙ステーションへ来ていた。


どうやら、去年の終わりごろの小惑星の事件の影響は、この宇宙ステーションには無かったようで、僕たちはここで、避難民を収容するためのコロニーの内側の街並みを決めることにした。


『緑の星』の地上の街並みを参考に、造り上げていこうとしていたのだが、その過程であることに気付いた。


それは、地上の『ジルバ帝国』に空を観測する者たちが現れたことだ。



僕たちは、戦闘艦『マーリン』のブリッジで話し合いをおこなっている。

宇宙船『ハルマスティ』は『青い星』の衛星軌道上に泊めてあるので、今回『緑の星』へは戦闘艦『マーリン』を使った。


「アシュリー、この映像の人物たちが、観測している人たちなの?」

『はい、若旦那。帝国の中心都市、皇都にある建物の側にある櫓にて観測行為を発見しました』


僕は、大型モニターに映される男女三人をじっと見る。

どこにでもいる若者三人が、木の筒を覗いてこちらを見ているようだ。


「……あの木の筒を覗いて、見えるものなの?」

『分かりません。ですから、声も拾えれるように盗聴器を飛ばしてみました』

「盗聴器って、虫型の?」


『はい、相手から分からないようにするには虫型が一番ですので』


確かに、気づかれない音声収集の仕方は、虫型の盗聴器を仕掛けることだよね。


「それで、何か分かった?」

『どうやら、特殊な能力持ちで『千里眼』という能力のおかげで遠くのものが見えるとか』

「特殊な能力持ち……」


これはあれか、ファンタジー小説なんかでおなじみの『スキル』とかいう神様からもらえるとかなんとか。

なるほど、『緑の星』も『青い星』と同様に魔法が使える惑星だった。


ならば、こういうファンタジーな『スキル』があってもおかしくはないか……。


「そういう能力が使えるってことか。これは魔法と同じようなことみたいだね」

『若旦那は、信じるのですか?』

「実際そういう能力を使ってこちらを観測している人たちがいるんだから、信じるしかないんじゃないの?」


アシュリーが、考え込んでしまったな。

科学の塊のアンドロイドに、ファンタジーの仕組みは難しかったかな?



しかし、何のためにこちらを観測しているのかな?

地上からこちらを攻撃なんてできないし、連絡だって取りようがない。

ん~、分からないな~。



大型モニターを見ながら、相手の意図を考えているとブリッジに、エリーが飛び込んできた。

かなり慌てた様子だけど、ロージーと連絡をとっていたから何かあったのかな?


『た、大変だよ、若旦那~』

「どうしたの?エリー、落ち着いて話してみて」


『ふぅ~、さっきロージーと連絡をとったんだけど、こっちの月の軌道がおかしいって!』


月の軌道?

僕は、ブリッジの窓から見える月を見てみるが、直接見ても、月の軌道なんて分からないよね。


「アシュリー、『緑の星』の月のこれからの予測軌道って出せるかな?」

『少し待ってください、今モニターに映しますから……』


ほんの10秒ほどで、大型モニターに月のこれからの予測軌道が映し出される。

それによると、月は予定の安定軌道を外れ、『緑の星』から離れていく軌道に入っているようだ。


「……離れていくのか…」

『ロージーは、このままだと『緑の星』だけじゃなくて、『青い星』にも影響が出るって言ってたよ~』

「ん~、どうすればいいかな……」


月が移動する………軌道を外れる………常識じゃ考えられない……常識……?


「アシュリー、ここ1000年ほどの月の動きって予測できるかな?」

『ここ1000年の月の動きですか?……少し時間かかりますけど、いいです?』

「ああ、構わないから調べてみて」


アシュリーは、不思議そうにしながらも、操作盤に向かい入力作業を始める。

もしかしたらって考えがよぎったんだよね。


『どうしたの?若旦那~』

「ちょっと、気になることがね~」


アシュリーの入力を待っていると、ほんの30秒ほどで、大型モニターに映し出された。

ここ1000年の月の軌道が……。



『若旦那、この軌道って……』

「……僕たちの常識は通用しないね、ここでは…」

「はぁ~、こんなことってあるんですね~…」


『緑の星』の月は、約800年周期で『緑の星』を離れ『青い星』の月軌道に合流するみたいだった。

1000年前から約800年前まで、『緑の星』には月が無かったようだ。


そして、約800年ごろから『青い星』の月軌道から、『緑の星』の月軌道へ移動してきていた。


僕たちは、今まさに、『緑の星』の月軌道から離れて、『青い星』の月軌道へ移動しようとしている月を見ていたのだ。


「アシュリー、この月の観測をお願い」

『分かりました、向こうのロージー達にもこのことを知らせて、観測をお願いしますね』

「うん、よろしく頼むよ。

それにしても、こんな月軌道が存在しているんだな……」


『これぞ、宇宙の神秘ですね~』


何が原因で、こんな月が誕生したのか分からないけど、『緑の星』はこれから月の無い周期が来るのか……。



何か衝撃が大きすぎて、地上からの観測なんて、どうでもよくなったな。

何が起きるか分からないけど、見守っていこう……。







第152話を読んでくれてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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