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転生先は宇宙船の中でした  作者: 光晴さん
続・緑の星の戦争

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第150話 新興宗教勢力




宇宙歴4264年3月7日、『緑の星』にある『フリューバル王国』と『ジルバ帝国』の国境に近い町パーセルの端にある地下施設。

ここは、もともと商人が使っていた地下倉庫だったが、帝国にある町との交易が無くなり使われなくなって放置されていた。


「エイブリー様、『ジルバ帝国』の砦への襲撃、成功いたしました」

「よくぞ成功してくれました、ジェイコブ!これも黒い星様の加護でしょう」

「ハッ!」


全身を黒い服装で固め、覆面をしている者たちが跪き頭を下げている中、リーダーと思われるものが、壇上の女性に報告をしている。


女性は、黒いローブを着て、黒いショールを被り壁にかけてある黒い流れ星の絵に祈りをささげている。

祈りの後、黒い服装で固め、跪く者たちに向き直ると次の命令を出す。


「次の標的は南の『スプリード王国』の国境沿いの砦です。

黒い星様は、いずれ地上に降りてこられます!その時までに地上を我ら『黒き流星』のものに!」


「「「ハハッ!!」」」




▽    ▽




新興宗教が起こした、『ジルバ帝国』の砦襲撃。

しかし、それにしては武装などが最新のものであり、まだ国にも出回っていない試作段階のものまであった。


となれば、新興宗教の後ろで武器を提供しているのが誰なのか、どこの国なのかは一目瞭然だろう。


そう、新興宗教に武器提供をしている国こそ、西の王国『ロストール王国』だった。


しかも新興宗教勢力は、『フリューバル王国』に現れた『黒き流星』だけではない。

『スプリード王国』にも、新興宗教勢力は現れていた。

活動は、闇に紛れて行われているが、『黒き流星』と同じように、帝国と王国の国境にある帝国の砦が狙われ、襲撃を受けていた。


また、南の『バンガー王国』にも新興宗教勢力が現れ、ここでも『黒き流星』と同じく帝国の砦への襲撃を成功させていた。



「……まったく、最初の砦襲撃からどこの思惑かと調べさせてみれば……」


玉座に座ったまま、鬱陶しそうに報告書を読み、呆れている女帝スカーレット。

その目の前で跪き頭を下げているのは、報告書を持ってきた観測院のブレイデンという男だ。


「新興宗教と名乗ってはいますが、その教祖の正体は『ロストール王国』の関係者とみて間違いないでしょう」

「ふん、こ奴らの目的は、やはり戦争か?」


「現在、『ロストール王国』では、海に沈んだ天空要塞の技術を引き上げ、研究し、開発をしております。

戦争が目的というよりは、実験のための襲撃、と観測院は見ております」


「……そういえば『ロストール』は技術バカの集まりだったな。

戦争を助長するよりは、開発中の兵器の実験場としたいと、そういうわけか?」

「おそらくは……」


「……ギャヴィン!国境にある砦に『飛行戦艦』を配置しろ!

これ以上砦を襲撃されて、兵士たちを傷つけられるわけにはいかん!」


今まで控えていた宰相のギャヴィンは、女帝スカーレットの命令を受け頭を下げる。


「畏まりました、すぐに手配いたします」

「観測院は、引き続き新興宗教勢力の動向を探るように!」

「ハッ!」


宰相ギャヴィンとブレインは、そう返事をして謁見の間を後にした。

一人にあった謁見の間で、女帝スカーレットは、玉座に座ったまま報告書を再び読んでいた。


「黒い星、ね。空中要塞が浮かんでいたころも確認できたが、あれは何だろうな……。

観測院でも、正体をつかめんとはな……」




▽    ▽




『ロストール王国』の王都にある倉庫街の一角に、一人の女性が誰かを待っていた。


人気がない場所に、金髪碧眼で肩まである髪、スタイルは出るとこ出て引っ込むところ引っ込んでいてある種の色気を帯びていた。

だが、ここは倉庫街の一角、人気がほとんどなく襲われれば助けに来るものなどいないような場所。


そんな危ない場所に待っていた女性の後ろから、誰かが近づいてきた。


「お嬢様、お待たせいたしました」


執事服に身を包んだ、一人の初老の男が声をかけてくる。

女性は、その声に反応し振り向くと一回頷き、会話をすることなく女性は執事について行く。




女性が連れてこられた場所は、倉庫街にある倉庫の一つ。

執事が、倉庫内への扉を開け中へ入ると、続いて女性も中へ入っていく。


倉庫の中には、一頭の馬につないだ馬車が用意されていた。

馬車の前には、執事とは別の男が立っていた。


「お久しぶりですお嬢様、今回も、私どもの実験にお付き合いいただき、ありがとうございます」

「気にしないでいいわ、私たちも助かっているんだから。お互い様ね」


そう言いながら、女性は、御者席に座り込む。


「またご入用の時は、ご連絡ください」

「ええ、今回も支援、ありがとう」


そのタイミングで、倉庫の大扉が執事の手で開けられていく。

大扉が開き、馬車が出れるスペースがとれると馬車を発進させた。




倉庫から馬車が出て行くと、執事が大扉を閉めて男のもとへ近づいていく。


「旦那様、これで今回の実験分は出払いました」

「しかし、宰相様もうまい手を考えつくものだ……」


「おや、この実験は陛下の案ではなかったのですか?」

「フッ、陛下はこの実験のことなんか知らないさ。

あの方は空中要塞からの技術に夢中だからな、実質、『ロストール王国』を動かしているのは宰相殿だよ」


「では、この実験案も宰相様が?」

「ああ、将来の戦争で、『スプリード王国』『フリューバル王国』『バンガー王国』の三カ国へ兵器を売りつけるためにな」


「……先を見通して、ですか」

「実際、宰相殿が実権を握ってからは『ロストール王国』から出る開発資金が、二倍になったからな」


男は、ニヤリと笑った。








第150話を読んでくれてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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