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転生先は宇宙船の中でした  作者: 光晴さん
続・緑の星の戦争

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第145話 王国の方針




210年以上かけて、この太陽系まで小惑星が飛んできて、しかも、アステロイドベルトに突っ込んで、他の小惑星を『青い星』や『緑の星』へ飛ばしてしまう。


自らは8番目の惑星にのみこまれて消滅。

飛ばされた小惑星たちは、僕たちの艦隊によって粉々となり流星となって『青い星』や『緑の星』へと降り注ぐ。


たまたま存在していた『魔素』のおかげで、摩擦で消滅することなく地表に落ちたのがいくつかあり、その直撃で死亡した人がいた。


「……考えてみれば、死んでしまった人たちはすごい運命だったということかな?」

『あまり考えない方が、いいでしょうね。

天文学的確率で起きた、宇宙の神秘ということでしょう』


「宇宙の神秘か……」

『この宇宙では、今もどこかで何かが起きていて、途方もない時間をかけてどこかに影響を与えているのでしょう。

それを、私たちは確認することができない……。


ならば、どうするのか、ですよ若旦那』


『そうです、分からないことは分からないんです。

ならば、今ある出来事を自分の出来うる力で解決していくしかないですよ』


ロージーもアシュリーも、アンドロイドなのに人間的だな……。

うじうじ考えて怖がるより、明日を信じて前へ進め、かな?


「とりあえず、今できることをしますか」

『『はいっ!』』


まずは、この太陽系の把握をもう一度考え直すことと、『緑の星』で起きている戦争を見守ることぐらいか……。

下手に介入すると、もっとややこしくなるからな……。




▽    ▽




宇宙歴4264年1月20日、『スプリード王国』の王都にある城の中の会議室に、女王リミニーをはじめ各大臣が揃っていた。

中には、貴族代表として公爵と辺境伯の姿も見受けられた。


「……頭が痛い連中だな、『フリューバル王国』の貴族派たちは……」



「女王陛下、連中が何を言ってこようとも相手にする必要はありません。

我らが王国は、公爵を王として推している者たちの支持に回れば……」


「それで、貴族派の連中がこちらに攻め込んできたらどうするつもりだ!

真っ先に被害にあうのは私の領地だぞ!」


「そのための『飛行戦艦』でしょうが!現在、王都周辺の護りに浮かべている20隻の『飛行戦艦』のいくらかを辺境に送れば……」


「そんなことをすれば、すぐに戦争の意思有りと見られ『フリューバル王国』は一つにまとまってしまうぞ!」


「今は、争ってもらった方が帝国の注意をそらせて都合がいいのだ。

『飛行戦艦』の製造や改良など、やることはいっぱいなのだからな」


「ならば、『フリューバル王国』からくる難民はどうするのだ!

今でも、内戦から逃れるために北の町や村は、難民でいっぱいだ!」


「そ、それは、辺境伯の領地なのだから、辺境伯が考えること」


「辺境伯では手に負えなくて、この王都にまで来たのだぞ!

中央の王都が、そんな考えでどうすればいいのだ!」



……やっぱり、最後は人の問題か。

大臣たちとこうやって、今後どうするのかをここのところ話し合っているが、答えを出すことなく責任の擦り付け合いだ。


北のフリューバル王国の王都に星が落ち、王をはじめその家族が死んだ。

次の王には、お腹の中にいる王の子供を!いや、公爵から王を!と貴族が二分して、話し合いから戦争へと発展する。


ちょうど、東西に分かれての戦争だそうだ。


西が、生まれていない王の子供を!

東が、公爵を次期王に!


普通は、将来より即戦力を求めるもの。次期王には公爵がなるのが普通だろう。


ところが、その公爵が問題だったらしい。

前公爵は、亡くなった王の弟で兄を助け、兄の王も弟を可愛がっていたそうだ。

ところが現公爵は、星が落ちたおかげで公爵になれた三男。


甘やかされ、おざなりな教育しか受けていなかったせいで性格に問題があるそうだ。


そんな奴を王にするわけにはいかないと、貴族の中から、まだ生まれていない王の子供の方がましだと、生まれていない王の子供を推す側に。


「はぁ、『フリューバル王国』の内戦で、いまだに飛行戦艦が出てきていないのが、せめてもの救いか?」

「……女王陛下……」



飛行戦艦は、三カ国で造りだしたものだ。

ということは、『フリューバル王国』にも飛行戦艦は存在するはず。

だが、いまだにその姿を見た物はいない。


「帝国は、『フリューバル王国』との国境に飛行戦艦と帝国軍を派遣し、帝国側に進出してこないように見守っているそうだな」


「はい、偵察兵からはそのように報告書が届いております」


「ならば、帝国からの介入はないということだろう。

私たち『スプリード王国』は、北からの難民のために新しい町を北側に造る!よいな!」


「女王陛下、その資金はどこから出すおつもりですか!

現在、王国の余剰財源は『飛行戦艦』の製造及び維持費へと消えております!

これ以上は、王国のお金は使用できません!」


「心配するな!私の私的財産から出せる額であろう?」


財務大臣は、その場で紙に書いて計算を始めると…。


「……確かに、陛下の私的財産からの出費とするならば……」

「私は、宝石類には興味なかったし、酒、服、男にも金はかけなかったからな」

「……それはそれで、問題ではありましたが……」

「んん?」


私が、ボヤいた大臣を睨むと、さっと目をそらす。


「無駄に私的とはいえ、お金を使っていなくて貯まる一方だったからな。

ここで、ドンッと出した方が都合がよかろう?」


先ほどボヤいた大臣や他の大臣を見回すと、いっせいに目をそらした。


「とにかく、これは決定だ。

北のフリューバル王国との国境近くに町を造る!難民を住まわせるための町をな!」

「「「ハハッ!」」」







第145話を読んでくれてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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