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転生先は宇宙船の中でした  作者: 光晴さん
続・緑の星の戦争

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第142話 星の流れる夜に




宇宙歴4263年12月27日、『緑の星』の帝国との国境線にある砦で、見張りに立っている一人の兵士のジャックは空を見上げていた。


日にちが変わったばかりの夜遅く、空を見上げると満天の星空が見える。


ぼ~っと、星空を見上げていると仲間の兵士に注意される。


「ジャック、夜空を見てないで周りを警戒しろよ」

「ん?あ、ああ、ただ、ほらあれ見ろよ……」


ジャックが指さす夜空には、いくつもの流れ星が流れている。

その数は多く、異常な数だということは分かった。


「流れ星か……それにしては、数が多いな……」

「ああ、こんなに星が流れるなんて、初めてだよ……」


しばらく二人で、夜空の天体ショーを見ていると、流れ星の一つが帝国のどこかに落ちたようで一際明るくなり、火の手があがっているのが確認できた。


「トリスタン!あれ、帝国の領地に落ちたんじゃないか?」

「……確か、あの方角に村があったはずだ」

「じゃあ、あの揺らめく明かりは、火の手が上がっているってことか……」


敵国領内とはいえ、自分達にはどうすることもできないことを嘆くジャックとトリスタン。

だが、流れ星はまだ終わっていなかった。



「……あ!また落ちた!」

「これでは、王国領内にも星が落ちているんじゃないのか?!」


見張り台になっている砦の頂上から、ぐるりと周りをよく見れば案の定、王国領内にも星が落ちていた。


「トリスタン!あれ!」

「……あれは…『ホーネットの町』の方角だ!」


ジャックはすぐに見張り台から降りて行くと、砦内にある隊長室の扉を叩いた!

気の扉は、ジャックが叩くたびに大きく音を出した。


「隊長!起きてください!隊長!!」


ジャックは怒鳴るように叫び、この大事件をすぐに知らせないといけないという使命感だけで行動していた。

少しして、隊長室の扉がゆっくりと開く。


「……なんだ?騒々しいぞ?」


眠そうな顔で、睨みつけるように起こしに来たジャックを見る隊長。

そんな隊長の顔にひるむことなくジャックは、今起きていることを伝える。


「……星が落ちてきた?」


こいつ何を夢みたいなことを言っているんだ?という疑わしい眼差しを向ける隊長を、どうにか説得しようとジャックは現状を必死に伝える。



「先ほど、流れ星が帝国領地へと落ちました!

それだけではありません!続いて、王国領内にも星が落ちた模様です!

場所は、方角しか分かりませんでしたが、『ホーネッとの町』付近だと思われます!」


ジャックの必死な報告を聞くうちに、事の重大さに気付いた隊長。

隊長服を羽織ると、すぐにその足で他の兵士たちが寝ている部屋に走った。


そして、部屋の前まで来るとすぐに気の扉を叩き大声で起床させる。


「起床っ!起床っ!全員着替えてすぐに中庭に集まれっ!」


さらに、ついてきたジャックに他の部屋へも同じように起床させるようにと言い渡した。




▽    ▽




20分ほどして、隊長服に着替え終わった隊長が砦の中庭に出ると、兵士の全員が夜空を見上げていた。


隊長もそれにつられて、夜空を見上げると今だ流れ星が数多く流れている光景を目にする。


「……確かに、この流れ星は異常だな……」


「隊長にっ、啓礼っ!」


隊長が中庭に出てきたことに気付いた誰かが号令を出し、敬礼する。

その敬礼に敬礼で返し、隊長は全員を見渡せる一段高くなった場所に立った。


「休め!こんな夜遅くに申し訳ない!だが、今お前たちが見ている流れ星は異常だ!

これは何かあると見ていいだろう。

そこで、何体かに分けて、近くの村や町へ行き被害状況を把握してこい!


それいかんでは王都に報告し援軍を出してもらうことになる。

それと、出来るだけギルドへの報告も忘れるな!何があるか分からんのだからな!」


「「「ハッ!!」」」


「よしっ!では、副隊長、すぐに砦に残る班と出発する班に分けて出発させろ!

あと、出発する班は多めにな!」

「了解!」



隊長はすぐに、砦内部に入り作戦室へ行く。

そこには、王都にある中央司令と繋がっている通信の魔道具が置いてあるのだ。

それを使って、今起きている流れ星のことやそれによって起きた被害の報告などをする予定だ。




▽    ▽




『緑の星』の地上で、流れ星によって被害が出ているころ、宇宙にある宇宙船『ハルマスティ』のブリッジにも、被害報告が届いていた。


報告には、『緑の星』だけではなくて『青い星』にも被害は出ていたのだ。

『青い星』に向かった小惑星は1つだけ。

だが、その大きさが問題だった。全長36キロ。


ちょっとした島ほどの大きさだ。

そのため、ブリュード艦隊による破壊を試み、見事成功。


小惑星は、小さな小さなかけらになり、すべて大気圏の摩擦で燃え尽きるはずだった。



「『青い星』に続いて『緑の星』でも隕石を観測?」

「ロージー、小惑星はすべて燃え尽きるはずじゃないのか?」

『……若旦那、どうやら両惑星の摩擦係数が通常の惑星と異なっていたようです』


「摩擦係数が違うということは……」

『はい、燃え尽きないで地面に落下してしまいます』


これは予想外だな……。

通常の惑星なら、燃え尽きるところが『青い星』も『緑の星』も燃え尽きることなく地表にまで到達してしまったということか……。


「……被害報告を急いで」

『分かりました!』


アシュリーに、両惑星にどれだけの被害が出たのか調べてもらう。

だけど、あれだけ細かくしたんだから、そんなに被害は無いと願いたい。



「しかし、原因は何だと思う?ロージー」

『おそらく、通常の惑星になくて緑と青の惑星にあるもの……』

「『魔素』か!」


『はい、それが働いたため、燃え尽きずに地表に到達してしまったと……』


そういえば、魔法の中に星を落とすものがあったな……。

広範囲殲滅魔法『メテオ』だったか?

今回の事は、この魔法と同じ現象になったのかな?



……他の魔法が使える惑星では、その辺はどうだったのかな?

少し調べてみるか……。







第142話を読んでくれてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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