表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生先は宇宙船の中でした  作者: 光晴さん
続・緑の星の戦争

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

141/181

第141話 近づく星たち




宇宙歴4263年12月26日、宇宙船『ハルマスティ』の艦長室で報告書を片付けていると、許嫁のオーリーが飛び込んできた。


「レオン君!こっちに小惑星が近づいているわよ!」

「小惑星?数は?」

「分からないわ、詳しくはブリッジで!」


僕はすぐに立ち上がり、ブリッジへと急ぐ。

艦長室に飛び込んできたオーリーと一緒に、ブリッジへ入るとすぐにロージーに質問する。


「ロージー、小惑星だって?」

『はい、若旦那。小惑星が5つこちらに近づいているようです』

「どこから来たものか分かる?」


『私たちが今いる太陽系の8番目と9番目の惑星の間にある、アステロイドベルトから流れてきた可能性が93パーセントです』


8番目と9番目の間にあるアステロイドベルト。

僕たちが今いるこの太陽系には、12の惑星が存在する。

その中で、8番目の惑星と9番目の惑星はガス惑星だ。濃密な大気のみで大地が存在しないようだ。


そんな大気の惑星に、アステロイドベルトからよく小惑星が8番目か9番目の惑星の引力に引かれ落ちていた。

おそらく今回こっちに近づいている小惑星は、引力に引かれながらも惑星に落ちることなくこっちに流れてきたのだろう。


『……軌道計算が終わりました。モニターに出します』


アシュリーが、小惑星の軌道を計算しモニターに表示する。

僕たちの目の前のモニターに、5つの小惑星の軌道が表示された。



「……これを見ると、1つが『青い星』に、残りの4つが『緑の星』に落ちることになるね」

「レオン君、防ぐ手立てはあります?」


ここでよく、破壊するなんて答えが出ると思うけど、そんなことをすれば小惑星がさらに細かくなって2つの星に襲いかかってしまう。

うまくいけば流れ星ですむけど、大きければ大気圏突入の摩擦に耐え、隕石として地上に落ちてしまう。


そうなれば、どこに落ちるかで大きな被害が出てしまう。

ここは慎重に、軌道を変えるぐらいがちょうどいいはず……。



「こういう時は、軌道をずらして避けるのが最善かな」

「あら、破壊しないんです?」

「へたに破壊すると、さらに細かい小惑星になるからね。

ここは、軌道をずらした方が安全だよ」


『若旦那、小惑星の大きさはそこの椅子ぐらいのが2つ、後は島ほどの大きさがあります』

「島か………となると、限界点はどこらへんになるかな?」

「限界点?」


「軌道をずらす限界点だよ。ここを過ぎてずらしても星の引力に引っぱられて落ちてしまうからね」

『モニターに表示します』


モニターに限界点が表示された。

しかし、そこには小惑星それぞれの限界点が表示され、中には間に合わなかったものもあった。


「……2つほど間に合ってないな…」

『大きさも大きすぎて、回収すら困難ですね……』

「となると、細かくするしかないね……」


5つの小惑星のうち、一番大きいものが36キロ、なかなか大きなものだ。

2番目が21キロで、3番目が11キロ。4番目が1キロで、残りが2つとも2メートルほど。


1番目と2番目の小惑星の限界点が、間に合ってなかった。

気づくのが遅れたか、それともアステロイドベルトの位置を知って、安全と思い込んでいたかだな。


「『青い星』に向かっている一番大きい小惑星を破壊せよ!」

『了解!『青い星』の近辺をパトロールしているブリュード艦隊を向かわせます』

「ミサイルは使わないように注意喚起しておいて」

『了解!』



「ミサイルはダメなの?」

「ミサイルは飛び散るからね、レーザーやビームとは破片の数が違ってくるんだよ」

『破片が多いと、それだけ星の引力に引っぱられて落ちてしまいますから』


ロージーが僕の説明の補足をしてくれる。

オーリーは、こういうことにはあまり詳しくないようで質問が多いようだ。




指示を出してから10分ほどで、ブリュード艦隊が小惑星に接触した。


『ブリュード艦隊、一番の大きい小惑星と接触、攻撃を開始します』


いよいよ破壊活動だ。

うまく細かくしてくれればいいんだけど……。


僕らの見ているモニターには、小惑星に攻撃するブリュード艦隊が映っている。

何度もビームで攻撃し、小惑星を傷つけていく。

そして、何度かの攻撃で小惑星は2つの割れた!


『小惑星、2つの分離。でも、どちらも『青い星』への衝突圏内です』

「さらに細かく破壊を!」

『了解、さらなる破壊を命令します!』


2つに分かれたとしても、まだ20キロからなる大きさがある。

この大きさの小惑星が星に落ちたら、とてつもないクレーターが出来あがるだろう。

もしかしたら、人類の絶滅すらありえる。


何としても、さらに細かく破壊しなくては……。



『ブリュード艦隊、さらなる攻撃に移ります!』

「『緑の星』に向かってる小惑星には、アーサー艦隊とランスロット艦隊を向かわせて」

『了解です!両艦隊ともに破壊活動を命じます』


これで、小惑星も細かくなって被害もなくなるだろう……。

軌道をずらすだけで終わらせられるかと思ったけど、結局破壊することになったな……。




僕たちの見ているモニターには、小惑星が破壊されるたびに小惑星の軌道が事細かく表示されていく。

甚大な被害が予想された小惑星は、この1時間で無害な大きさにまで破壊された。


そして最後に、被害予測が表示されると、そこには被害ゼロの表示が。

その表示を見て、僕たちはようやくホッとした。








第141話を読んでくれてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ