第134話 出立のごたごた
無事許嫁との顔合わせが終わり、その後、いろいろ用意があるとかで会長さんと帰っていった。
その二日後に行われたのが、僕の誕生日パーティーだ。
もちろん、そのパーティーにも許嫁のオーリーは、お付きのユリアさんと一緒に尋ねてきた。
誕生日プレゼントを持参してね。
プレゼントの中身は、オーリーが好きな本が三冊入っていた。
もちろん、お礼を言って暇なときに読んでいる。
まだ一冊目を読み始めたばかりだけど、まだ面白いかどうかは分からない。
また、誕生日パーティー終了の次の日、僕の管理している星のこともあり家族と別れ軌道エレベーターに乗って宇宙を目指した。
この時、母さんが別れを惜しんで抱き着いてきたのは、しょうがないのだろう。
父さんはそんな母さんの行動に苦笑いだ。
ルーシーは、少しだけ寂しそうに見えたが泣くことはなかった。
亜空間通信でなら、いつでも会えるからかな?
宇宙歴4263年5月7日、僕たちは宇宙港で手続きをおこなっていた。
するとそこへ、許嫁のオーリーがユリアさんと一緒に現れる。
「やっと追いついたわ、レオン君。
ユリア、私たちの手続きもお願い。その間に、レオン君に例のことを話しておくから」
「分かりました、お嬢様」
ここにオーリーがいるということは、僕たちが乗った次の便で上がってきたってことか?
それに、例の話って何だろう。
「えっと、昨日ぶりですねオーリー。僕に何かご用ですか?」
「ええ、お爺様からレオン君に渡したいものがあるの。レオン君の宇宙船に空きはあるかしら?」
「空き?貨物室なら、空きはあると思うけど……」
「それはよかったわ。それじゃあ、お爺様からの誕生日プレゼントを積み込んでもらえるかな?」
あの会長さんからの、誕生日プレゼントか……。
何だろうか?と、想像していると手続きを終えたユリアさんが大きな箱を二つ大型カートに乗せて運んできた。
大きさは、大型冷蔵庫が1台ずつ入る木の箱。
でも、おそらく中身は冷蔵庫ではなくアンドロイドだろう。
ロージーが僕のもとに来た時も、こんな木の箱から出した記憶があった。
それに、木の箱の表面に『リニシィ』とロゴが書かれてあった。
「これ、アンドロイドですか?」
「ええ、最新型のアンドロイドみたいよ。
レオン君に誕生日プレゼントとして受け取ってくれって言っていたわ」
「新型か……」
「それと、私たちもこれからレオン様にお世話になるようにと……」
「へ?」
僕にお世話になるように?
ってことは、ついてくるってことなのか?
言葉の意味を考えて、僕は驚いていた。
「驚いているわね?私もお爺様から、許嫁の話を持ってこられた時から驚きっぱなしよ」
「そうですね、お付きの私もいっしょに行くように言われましたから……」
「……とりあえず、僕の宇宙船まで行きますか」
「お願いしますね」
「お世話になります……」
こうして、僕の帰還には大きなお土産が付いてきたのだった……。
▽ ▽
宇宙港から宇宙船への通路を通っていると、宇宙港の桟橋に泊めてある僕の宇宙船が見えてくる。
黒一色の宇宙に、青空のような全身が青い宇宙船が目に飛び込んできた。
「あれが、レオン君の戦闘艦なんですね~」
「……すごくきれいな色をしています」
『そうでしょう~、そうでしょう~』
と、何故か僕の宇宙船を褒められたのに、エリーが嬉しそうに頷いていた。
そして、僕たちが宇宙船にたどり着く頃、貨物室の扉が開けられ例のアンドロイドの木の箱が搬入されている。
「どうやら、無事に、搬入が終わりそうだね」
「レオン君、あの船体横の紋章は何?」
オーリーが指さす先にあるのは、白い文字で書かれた紋章。
青い下地に白い文字だから目立ったようだ。
「あれは、星の管理人になった時に紋章が必要だったんで作った僕の紋章だよ」
「へぇ~、アレがレオン君の紋章なんだ……」
「なかなかカッコいいですね……」
『そうだよね~、私もあの紋章は気に入っているんだよ~』
「エリーさん、船内を案内してくださらない?」
「お願いします」
エリーが僕の顔を見て来たんで、僕は頷いておいた。
エリーが船内を案内しているうちに、出発の準備を始めておこう。
『それじゃあ、こっちからね~』
エリーは、宇宙船の中に入ると、さっそくオーリーたちを案内していった。
その間に、僕は出発準備っと……。
▽ ▽
宇宙歴4263年5月8日、レオンが管理する『青い星』の衛星軌道上の宇宙船『ハルマスティ』のブリッジでは、アシュリーとロージーがレオンからの亜空間通信のことで話し合っていた。
『ロージー、さっきの若旦那の通信、どう思います?』
『許嫁を連れて帰るとか言ってましたね。
……若旦那も大人になったものです。出会ってすぐに連れて帰ってくるとは』
『ロージー、若旦那は8歳になったばかりだよ?
そんなお持ち帰りってわけじゃないんだから、何か理由があるんじゃないの?』
『……冗談です』
『もう、私に冗談言ってどうするんですか~』
そうですね、私としたことがちょっと動揺してしまいました。
若旦那が、許嫁を連れてくるというより、許嫁が付いてきたという方が正しいでしょう。
マーティン家、なかなかやり手のようですね。
それに、若旦那の許嫁の紹介は、ここにいる他の嫁候補にどんな刺激を与えるのか楽しみです。
シャロン様も、何かしらの行動があるかもしれませんし……。
『そういえば、アンドロイドが増えるみたいなことも言っていたよね?』
『ええ、確か一体は許嫁に付ける方向で調整しているとか?
また、私たちに後輩が増えるようで教育が必要ですかね……』
第134話を読んでくれてありがとうございます。
次回もよろしくお願いします。




