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転生先は宇宙船の中でした  作者: 光晴さん
許嫁騒動

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第124話 銀河をまとめる者




「ふむ、シャロンも苦労しているようだな……」


初老を迎えたような男性が、目の前のモニターに映し出される映像を確認しながら呟いた。

先の惑星『グラニド』の先行部隊が起こした事件を、報告した映像だ。


『こちらとしても、見守ることしかできずオーバス家の嫡男殿にはご迷惑をおかけしたと……』

「何、構わんだろう。我がロスティック家の娘と友人になったのだ。

これぐらいのことに巻き込まれたぐらいで、こっちに文句を言うほど小さい者たちではなかろうて……」


この初老の男性、名をアンドリュー・アブル・ロスティックといいロスティック家の現当主なのだ。

シャロンの父親だな。



現在、ロスティック家が守護している銀河、所謂まとめている銀河は20にも及び、いずれの銀河にもロスティック家の血筋の者が代表になっている。

中央政府も、ロスティック家を無視でないほど銀河同士、太陽系同士の貿易などの経済で助けられていた。


また、一つの銀河をまとめるのは何もロスティック家だけではない。

他にも、ロスティック家と同じく20の銀河をまとめたマーティン家。

地球から巣立って、最初に一つの銀河をまとめ、今は二つの別れ14の銀河を持つスミス家。


スミス家から分かられて10の銀河をまとめているウォーカー家。

そして、まとめた銀河は6と少ないものの、中央政府の惑星を持つベイリー家。


以上の五家が有名どころだ。

もちろん他にも、いろんな家があるがそんな者たちが支持して参加しているのが中央政府なのだ。


また、星間軍にも出資しているため、今回のシャロンのまとめようとする銀河に星間軍の一部隊がついていることも当たり前ということになる。



「それより、シャロンの『オレオン銀河』は良いとして、隣の銀河はどうなった?」

『そちらは、スミス家にまとめるようにと中央政府から通達があったそうです』

「スミス家か、あそこは二つに分かれてから力押しが多いからな……。

また、知的生命体が流出しなければいいが……」


『100年前の流出は、酷いものでしたね……』



100年前、スミス家の血筋の者がまとめようとしていた銀河では、力押しによる統一のため各地で戦争が絶えなかった。

しかも、こちらが一歩も二歩も技術面でリードしての戦争だ。


各地で虐殺に近い戦争が起き、知的生命体の住む惑星では宇宙への難民が後を絶たなかった。

そのことを知った中央政府は、他のまとめ役の家の者たちの介入を認め一つの銀河をいくつにも分けての支配が何年か続いたという。


戦争終結とともに、中央政府が銀河のまとめ役を担い、平和になったところでスミス家と別れたウォーカー家にまとめ役をしてもらったという。


その後、スミス家から抗議があったが他の家たちがなだめて、抗議を取り下げさして今に至る。

だから、今回の再びの銀河のまとめ役には、かなり力を入れているそうだ。



「銀河を1つにまとめるのに、全面戦争を起こさせるなど……」

『そういえば、銀河を1つにまとめるという思想は『天の川銀河』のことがあったからでしたな……』


「我ら地球人類系の子孫の生まれ故郷、地球のある『天の川銀河』……」



地球人類が外宇宙に進出して、ほどなく訪れた試練が宇宙人たちとの会合だ。

地球以外にも、知的生命体は存在する。

宇宙に出たら、出会うこともあるだろうと覚悟していた。


おそらく、地球人のような人型ではないだろう。

おそらく、科学技術などは我々の方が劣っているだろう。

おそらく、話し合うことで分かり合えるのではないだろうか?


いろんなことを想定していたが、見事に裏切られ銀河間の戦争に巻き込まれる形となってしまった。

そこから何とか脱したのは、別の銀河から来た宇宙人たちの力あってこそだ。



宇宙は本当に広い。

我々が、予想もつかないほど、そして気が遠くなるほど広いのだ。

地球のような惑星から太陽のような恒星、それらが集まった銀河、そして銀河がいくつも集まり銀河団を形成する。


我々を助けてくれた別銀河の宇宙人のように、我々もなるべきではないだろうか……。

祖先たちはそう決意し、銀河をまとめていくことを始めたのだ。


最初は苦労の連続だったが、銀河をまとめていくうちに地球人類系統がまとめた銀河と別の宇宙人たちがまとめている銀河という構図が分かってきた。


もちろん、平和的にそういう銀河とも交流を持っている。

地球人類系統が持つ銀河は100に満たないが、他の宇宙人たちが持つ銀河は100を超えるところもあるみたいだ。




「この宇宙は、本当に広いな……」

『旦那様、他の銀河を見ていてもキリがありません。

今、私たちの持つ銀河を平和に導くことができれば……』


「そうだな、あの頃の祖先たちを救ってくれた宇宙人たちのようになれるだろう」


そして、モニターに映る報告の最後に娘のシャロンから、今回のお見合いに関しての丁重なお断りメッセージがついていた。


「……報告のついでに、見合いの断りを紛れ込ませるとは……」

『シャロン様にとって、今回のお見合いは急でございましたから……』

「気持ちの整理が、出来てなかったか?

う~ん、そうとは思えんな、この断りメッセージを見ると」


モニターに映る、娘のシャロンはどこか呆れているようだった。

……もしかして、すでに意識している異性がいるのか?



「そういえば、オーバスの嫡男も、見合いがあるらしいな」

『お見合いというより、許嫁を合わせるといったものらしいですね。

調べたところによりますと、親会社の会長の孫娘とか』


………待てよ。


「オーバスの親会社って、確か……」

『はい、マーティン家のご子息がされている輸送会社でございます。

その会長ですから、マーティン家現当主ということに……』


いかん!マーティン家に遅れをとるなど!

シャロンの話では、星の管理人になれるほど優秀な人材とか。


「……オーバスの嫡男にうちも許嫁を用意できないだろうか?」

『旦那様?』








第124話を読んでくれてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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