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転生先は宇宙船の中でした  作者: 光晴さん
オレオン銀河の片隅で

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第122話 吠える




困惑は長距離射撃歩兵銃、所謂『光線銃』を撃ったウィリアムもしていた。

弾は確かに命令のあったショック弾だったが、敵の宇宙戦艦に当たるとあのような現象が起きるとは予想外だった。


あれで、グラニドの宇宙戦艦の乗組員は急激な横Gを受け衝撃を受けただろう。

もしかすると、あれで気絶した人がいたかもしれない。


また、打ちどころが悪くて……。


考えるだけで、気持ち悪くなりそうだ。

ウィリアムの一撃を見た他の兵士が、次々と敵の宇宙戦艦へ撃ち始めた。


こちらの攻撃を受けるたびに、宇宙戦艦が向きを変えたり、スライド移動をしたりと、通常の戦闘ではありえない動きをしていた。



「何であんな動きになるんだ?」

「……おそらく、ショック弾の衝撃がピンポイントのためだろうな」


「どういうこと?ダミアン」

「今、俺たちが使っている『光線銃』の口径と戦闘艦で使われるエネルギー砲の口径の違いが、この現象に現れているんだよ」


「……つまり?」

「つまりだな……えっと……今回使用しているショック弾は、通常鎮圧用の物だろ?

傷つけずに相手を気絶させるもの。

で、光線銃の口径は小さいからそこから打ち出される弾は、針みたいなものだから……」


「ますますわからないぞ?」

「う~ん、デコピンと平手打ちの違い?……いや、タックルか?」


……ダミアンの説明は、よくわからないな。

多分、当たる面が小さくて衝撃が集中するから宇宙戦艦の向きを変えるほど動いてしまうってところかな?


目の前で、敵の宇宙戦艦に俺たちの撃ったショック弾が当たると、面白い様に向きや位置がずれていく。

これは、敵の宇宙戦艦の空間固定力が低いためだろう。


現に、核爆発を受けた俺たちの戦闘艦は位置がずれたということはないし。



「全員、撃ち方止めー!」


後ろから、ルーカス上官の命令が聞こえたため構えを解き椅子に座る。

すると、どっと疲れがウィリアム達狙撃兵を襲った。


どうやら、精神的に疲労していたようだ。




▽    ▽




「敵宇宙戦艦、すべてが停止しました」

「すぐに潜入部隊を突入させて、敵兵士全員を捕まえるように!」

「了解、突入部隊を突入させます」


射撃兵が、攻撃している間に戦闘終了とともに突入させる部隊を編成しておいて正解だったようだ。

これで、目の前の敵戦艦10隻は拿捕できたというわけだ。


この戦艦を調べれば、相手の戦力が分かるし今後の交渉にも役に立つだろう。


「ブルッケン隊長、第二コロニーの住人はどうしますか?」


……そこが問題なんだよな。

あんなことがあった者たちを、戻すわけにもいかないから第一コロニーに移ってもらうしかないだろう。


まあ、その前に入院が必要だとは思うが……。


「第一コロニーに連絡して、住人たちのケアを頼むしかないだろう」

「そうですね、第二コロニーの人達に対して私たちができることはないですからね……」

「レオン君に連絡を入れてくれ、第一コロニーに届けるようにな」


「了解です」



それにしても、核兵器とは……。

外宇宙へと進出する者たちが、核兵器を使っているとはやはり、宇宙をなめているとしか思えない……いや、もしかしたら何も知らないだけなのかも……。


我々人類も、地球から巣立った直後は大変だったらしいし、グラニドも今、そんな時期なのかもしれんな。




それから10分ぐらいで、突入部隊から連絡が入る。


「では、全員捕虜として捕まえることができたのだな」

『はい、宇宙戦艦の方も操縦系統を掌握、我々で操縦することも可能です』


「……では、第二コロニーの宇宙港に集めろ。そこで捕虜の手当てもおこなう」

『了解!では、全艦第二コロニーへ向かいます』



「ブルッケン隊長、何故第二コロニーへ引き返すように?」


ブリッジの艦長席に座っている私に、側で仕えていたアンソニーが質問してくる。

どうも、分かっていないようだな。


「アンソニー、もしかして、このまま星間軍が仮の拠点にしている惑星に戻ると思ったのか?」

「違うのですか?」


「いいかアンソニー、私たち星間軍第2656部隊はまだ、相手のグラニドと戦争中だ。

向こうがちゃんと使者をたてて、休戦または終戦にするまではな」

「それで、第二コロニーへですか?」


「第二コロニーの住人は、第一コロニーにケアをお願いした。

これで、第二コロニーは無人となったわけだ。ここを利用しない手はないだろう?」

「……確かに、そうですね……」


「……まだ不満そうなら、もしもの時のことを考えてということだ」


もしも、捕まっていないものがいたとしたら……。

もしも、自爆をしようとしたら……。

もしも……。


考えだしたらきりがないが、信用できない者たちを活かしておくには、この第二コロニーを利用しない手はない。


撤退していった15隻の戦艦が、母星に帰ってどんなことを話すか、そして、今後はどうするのか。

後は、シャロン様に任せようじゃないか……フフッ。




▽    ▽




「……ブルッケン殿からのメッセージは、何だったのです?シャロン様」


シャロン様は、さっきからモニターの前で震えてらっしゃいます。

怖い映像でも見ているのでしょうか?


「それにしても、レオン君から人質救出の成功のお知らせが来てよかったですね」

「……」

「……あの、シャロン様?」


「やってくれたわねぇ!あとの処理をこっちに丸投げするなんてぇ!」


シャロン様が、吠えていらっしゃる!







第122話を読んでくれてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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