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転生先は宇宙船の中でした  作者: 光晴さん
オレオン銀河の片隅で

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第121話 戦力格差




現在、グラニドの宇宙戦艦10隻から攻撃を受けているが、全くの無傷だ。

こちらの宇宙戦闘艦に搭載されている『シールド』が攻撃のことごとくを防いでくれている。


「隊長、敵からの攻撃が止みました。迎撃しますか?」

「……ん?いや、まだ何かしてくるみたいだが……」


宇宙戦闘艦『ミーミル』のブリッジから外を見ると、敵の宇宙戦艦が何か行動を起こしているのが見えた。

宇宙戦艦の後部甲板をモニターでズームしてみれば、蓋が開いてミサイルの上部が視認できた。


「……あれは、ミサイルか?」

「えっと、確認しました。どうやら『核ミサイル』のようです、形状や内包熱量から過去の兵器と照らし合わせた結果分かりました」


「ブルッケン隊長、もしかして、アレが相手の最終兵器というわけですかな?」

「おそらくそうだろう、今までの攻撃が効かないとなれば、そうでてくるのが普通だな……」


しかし、核兵器とは……。


もしかして、兵器開発が進んでいないのか?

ということは、防御開発も進んでいないということか……。


「……他の宇宙戦艦は、この宙域から離れたのか?」

「はい、現在、二度目のワープに入りつつあります」


ワープ航法が開発されているのに、兵器開発や防御開発ができていないとは、宇宙をなめているとしか思えないな……。


でも、地球から巣立つ我々も、初めはそうだったのかもしれないな……。

宇宙史の本には載ってなかったことだけど。


「……目の前の10隻は、見捨てられたというより足止めと見るべきか?」

「たぶんそうでしょうな、我々が邪魔をしないように」


私たちを信用しろとは言わないが、信じては欲しかったな……。


「敵宇宙戦艦、核ミサイル一斉射!」

「格納甲板の射撃兵に通達、通常弾からショック弾へ変更せよ!」

「通達了解!」



ブリッジからも分かるように、目の前の宇宙戦艦の後部からミサイルが一斉に発射された。

いったん戦艦の上に発射され、一定の距離を進んだ後こちらに方向を変えて向かってくる。


「着弾まで、10秒!」

「全戦闘艦に光学フィルタを!」

「了解!」


光学フィルタ、これは外からの光を調節して強すぎる光を遮断するものだ。

通常は自動で行われるものなのだが、急に強い光が入ってくる場合は間に合わない可能性を考慮して搭載された言わば手動の安全装置のようなものだ。


通常は必要ないのだが、今回は目の前での核爆発が予想されるので万が一のための策をとらせてもらった。



「着弾!」


その言葉がブリッジに響き渡ると同時に、ブリッジは強い光に包まれた。

私は一瞬であるが、目を瞑り光りの直視を避けた。


そしてすぐ、微弱な振動を感じた。

おそらくこれが、核爆発の衝撃波だろう。抑えに抑えられた衝撃波を、振動で感じる程度になったのは、シールドのおかげだろうな。


「核爆発の影響、本艦含め全艦影響なし!」

「上部格納甲板を開け!射撃兵、ショック弾への交換は終わっているか?!」

「……ショック弾への交換、終わってます!」




▽    ▽




我々は、信じられないものを目の当たりにしている。

我々の最終兵器である『核ミサイル』が命中したのにもかかわらず、目の前の敵は無傷なのだ。


「か、核は全弾本当に命中したのか?!」

「間違いありません、全弾命中した……はずで……す……」


観測兵の言葉尻が、小さくなる。

それだけ、我々の中でショックが大きかったのだ。


「核が効かない………馬鹿な!ありえん!次弾装填を急げ!」


私の横で、副艦長がクルーに向かって命令する。

核ミサイルを受けて無傷の相手に、次が効くのか?


「ジョセフ副艦長、やめろ!宇宙人に核は効かなかった、無駄弾を打つな!」

「しかし!核が効かない相手なんて……」


「敵戦艦に動きアリ!上部甲板が開いていきます!」

「敵の攻撃か?!回避運動を急げ!」


敵宇宙人どもの攻撃?核が効かない宇宙人どもの攻撃とは一体何だ?



「開いている敵の上甲板をモニターに映せ!」

「は、はい!」


こちらの宇宙戦艦が回避航行に入る中、敵宇宙戦艦の上部甲板を拡大してモニターに映し出した。

すると、そこには長い銃のようなものを持った、スマートな宇宙服らしきものを着た人が映し出される。


「あれはロボットか?それにあの銃は何だ?」

「……計測の結果、あれは宇宙人の身長と同じと判明!どうやら宇宙人が宇宙服を着ているようです」


「では持っているのは銃、しかもあの長さからして狙撃専用のものか?」

「まさか、あの銃でこちらを攻撃する気か?!」


馬鹿にしている行動だと、ふざけているのかと、文句が飛び交っている。

しかし、私は冷や汗が止まらない。

核ミサイルが効かない相手だ、あの銃が私たちが考えているような銃であるはずがない。


もしかしてと、考えている間に宇宙人たちは銃を構える。


「弾幕を張れっ!!」


「チャールズ艦長……?」

「え?……」


私の命令と同時に、モニターに映された宇宙人の射撃は同時だった。

一筋の光が、宇宙人の構えた銃から射出される。


着弾地点は……本艦から二艦前の『第21先行宇宙戦艦 ハーメル』。

ハーメルのブリッジのすぐ下に着弾、それと同時に私たちの目の前で弾き飛ばされた。


宇宙戦艦が、バットで打ったボールのように弾き飛ばされたのだ。

私たちの目の前で起きたこの現象に、ブリッジは静まりかえっていた……。







第121話を読んでくれてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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