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転生先は宇宙船の中でした  作者: 光晴さん
オレオン銀河の片隅で

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第117話 人質救出作戦、成功




残った人質は五人。今、僕とロージーは、その五人のもとへ走っている。

ほとんどの人が捕まっていた、スポーツセンターから走ること5分のところにその建物はある。


元は病院だった場所。

見張りの兵士や、白衣を着た人たちが倒れて眠っていることから研究施設として使われているのだろう。


病院の中に入り、たくさんの人が倒れて寝ている所を進んでいく。

アシュリーから送られてきた五人の人質の場所を示す地図が映るモニターを、指でなぞると平面表示が立体表示に変わる。


『三階の一つの部屋にまとめているようですね』

『階段で行きましょう、若旦那』


ロージーが指さす先にある階段で三階へ。



三階に着くと、すぐに人質のいる部屋へ行き、そして入るとベッドに寝かされた人質が目に入った。


しかも、横に寝かされている人質は全員が包帯でグルグル巻きにされているほどの怪我を負っているようだ。


『……これはケガを負わされた?』

『おそらく、虐待を加えられたのでしょう。

敵から見れば、ここの人達は全員未知の生物、ということですから』


『未知の生物か……』


とにかく、この人たちをドワーフロボを召喚して亜空間ドックの中へ避難させる。

ついでに、医療処置をしておいてもらおう。



『……これで、全員を救出したことになるのかな?』

『アシュリーに確認してみましょう』


ロージーがアシュリーに確認をしている間に、俺を病室を出て周りを見渡してみる。

廊下で寝ている兵士や研究者たち、中には紙の書類だろうか、それをぶちまけている研究者もいる。


『若旦那、アシュリーに確認したところ全員救出を確認したそうです』

『よし、地下通路のまで戻ろう』


ロージーと一緒に僕は、侵入してきた地下通路まで戻っていく。

もうこのコロニーに用はないが、この後、ここは混乱が予想されるな……。


交渉に必要な人質がいないとなれば、敵はどう出るか……。


『そういえば、人質の人達に付けられていたチップ?は回収できるのか?』

『それは、『トリニティ』に収容するときに取り外すことになっています。

そして取り外した後は、宇宙港に放置して敵をかく乱させます』


僕たちが、どうやって人質を見分けていたのか。

それは、敵が人質に付けていた居場所が分かるチップのようなもののおかげだ。


おそらく、GPSの類だろう。

そのチップが出す電波を受信して、人質の救出に利用したのだ。


僕たちも、こんなものを人質に仕込んであるとは思わなかったが、人質から出ているおかしな電波に気付いてこの作戦の成功率が上がったのだ。


敵には、感謝しないといけないな……。




▽    ▽




人質救出作戦は、成功に終わった。

流石は若旦那だ、今だ7歳の子供とは思えない行動力だ。


『エリー、星間軍へ連絡して、人質救出作戦は成功したって』

『了解~。ねえ、連絡したら迎えに行っていい?』

『ちゃんと、連絡したらね』


エリーはいつも、最初に若旦那を迎えに行きたいみたいだ。

多分、エリーこそが若旦那の侍女アンドロイドという誇りがあるのだろう。


私が、初めて若旦那のもとに来た時には、すでにエリーは若旦那のもとにいたからね……。

ロージーも、エリーの後で若旦那の傍に仕えるようになったし……。


エリーのあの少しあっけらかんとした性格も、羨ましい所なんだよね……。



『それじゃあアシュリー、星間軍へ連絡しておいたから迎えに行ってくるね~』

『……行ってらっしゃい』




▽    ▽




宇宙船『トリニティ』の格納庫の広い場所に大きな簡易の建物が立っている。

急遽、ドワーフロボに建ててもらった大型テントだ。

前世でいえば、モンゴルの『ゲル』を大きくした姿をしてる。


だが、中身はホテルのロビーのような空間が広がっている。

少しは、気が休まるのではないだろうか?


僕とロージーが、その大型テントを眺めていると格納庫の中からの扉が開きエリーが飛び出してきた。


『お帰り~若旦那~』


そう言いながら、僕に抱き着いてきてギュッとする。

エリーは、いつまでも僕を子ども扱いするよな~。


「エリー、ただいま。でもいきなり抱き着かなくても……」

『何言っているんですか、若旦那が無事に帰ってきたんです。

この嬉しい気持ちの時に抱き着かなくていつ抱き着くというのです~』


……まあいいか。

隣で、ロージーが呆れているがいつものことだ。

それよりも、今はやることがある。


「エリー、今から捕まっていた人たちを出して行くから、その人たちから敵が取り付けたチップを外していって」

『了解、でも、外した後はどうするの?』


『私がまとめて、宇宙港に捨ててきます。

これで、敵をかく乱できるはずです』


「さ、コロニー内の夜明けまで時間がない、急いで外していくよ」

『『了解!』』



こうして僕とロージーとエリーで、人質にされていた人たちからチップを外していった。

外した後は、テントの中へ人質だった人たちをドワーフロボが運んでいき、外したチップはまとめられて袋の中へ。


そして、1時間ほどですべての作業を終えると、ロージーは袋にまとめたチップを宇宙港に捨て、全員乗り込んだ宇宙船『トリニティ』で第二コロニーを脱出していく。


もちろん、宇宙船『コンスタンティン』の光学迷彩付きでだ。



「アシュリー、コロニーのコントロール室で空調を作動させて空気の入れ替えを」


ブリッジに戻った僕は、入ってすぐにアシュリーに指示を出す。

これで、コロニー内の催眠ガスは無くなり、朝の光を取り入れるとみんな目が覚めるだろう。


そして、いるはずの人たちがいないことに気付く……。







第117話を読んでくれてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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