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転生先は宇宙船の中でした  作者: 光晴さん
オレオン銀河の片隅で

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第115話 救出作戦




第二コロニーの夜は、太陽からの光を取り込む窓を閉めて疑似的に夜を作りだしている。


この日も、自動でコロニーは夜を作りだすため、窓を閉めた。

人がいなくても、自動でコロニーのシステムは起動する。

時間通りにである……。



大佐の秘書であるナタリーは、今日の交渉で得た知識をまとめていた。

自分たちの知らない知識、宇宙人たちの知識を母星に送り研究して外宇宙への進出の足掛かりにする。


ふと、秘書室にしている部屋の窓から、コロニーの町の景色を見ることができた。


「こんな偽物の町にも、夜は来るのね……」


自分たちが、どんな相手と交渉しているのか改めて意識した瞬間だ。

理解できない歴史、年月を得て宇宙に進出していった宇宙人たち。


捕虜にしている宇宙人たちを見たが、私たちと変わらないような容姿だった。

ならば、これから先、私たち人類と宇宙人たちが手を取り合っていく未来があるのだろうか?


そんなことを考えていると、眠気に襲われる……。



「ふう、明日も交渉は続くのだし、今日はここまでね……」


ナタリーは、服を着替えるとベッドに入って寝てしまう。

この眠気が、人工的なものとは気づかずに……。




▽    ▽




『ロージー、どのくらい充満してる?』

『現在、90パーセントです。作戦開始しても問題ありません』

『よし!人質救出開始!』


僕たちは、地下通路から飛び出すと、まずは人質のほとんどが集められているスポーツセンターに乗り込んだ。


その建物の周りには、大勢の相手兵士が武装したまま寝ている。

うつぶせ、座ったまま、あおむけと多種多様だ。



『睡眠ガスは効いているな…』

『時間がない中用意したものでしたが、効果は絶大でしたね』


僕は宇宙服のフルフェイスで、充満する催眠ガスを防いでいる。

ロージーも同じだ。


アンドロイドとはいえ、ロージーは人とほぼ変わらない構造をしているアンドロイドのため、催眠ガスなどにも効くことがある。

そのため、宇宙服のフルフェイスを被っているのだ。



スポーツセンターの建物の中に入り、奥に進むと広い場所に出る。

ここは『柔道』などのスポーツをする場所のようだ。

床には、畳というイグサという草でできた床マットみたいなものが敷き詰められている。


『ここに、集められていたようだな』

『すぐに運びだしますか?』


『それじゃあ時間がかかる。

まず僕の亜空間ドックに運び込んで、『トリニティ』に着いたらドックから運び出そう。

その方が、宇宙港までの距離が短縮できるはずだよ』


『では、時間もありません。片っ端から運び入れましょう』


僕は頷き、亜空間ドックからドワーフロボを召喚し手伝ってもらうことに。

僕たちが、スポーツセンターにいる人質を救出している間に、アシュリーが『コンスタンティン』の索敵能力を使ってこの場所にいない人質を探し出す。




▽    ▽




宇宙船『トリニティ』のブリッジでは、エリーが星間軍と敵宇宙戦艦の動向を見守り、アシュリーが『コンスタンティン』の索敵能力を生かして、コロニー内にいる人質の位置を探していた。


『アシュリー、人質は全員生きているよね?』

『ん~?生きているけど、いろいろやられた人がいるみたい……』


『はあ、やっぱりそういう連中はいるんだね~』

『自分たちが優位に立つと、ってやつでしょうね。心理的余裕が、そうさせるのよ』


その時、アシュリーは人質全員の位置を把握し、救出に向かったレオンとロージーに情報を送った。


確実に、傷ついた人もいるだろうけど今は、命があっただけましだろう……。

それと、レオン若旦那には、無事に帰ってきてほしいものだ。




▽    ▽




スポーツセンター内の人質と思われる人たちを救出し、建物の外へ出た時、アシュリーからのメッセージを受け取る。


『……次は、隣の建物の中だ。

この中に三人捕まっているみたいだから、助け出そう』


ロージーは頷き、僕と一緒に隣の建物に侵入する。

そして、人質がいるであろう部屋に入ると、そこには手足を縛られた裸の女性が三人と床に倒れた裸の二人の男がいた。


五人とも寝ているのだが、ベッドの上に女性が、床の上に男性が寝ている。

おそらくこの状況は、教育上よくないことがあったのだろう。

これからあるのか、それとも、すでにあった後なのか……。


残念ながら、詳しくは確認できなかった。

なぜなら、部屋に入って裸の五人を確認したところで僕の眼はロージーの手によって隠され何も見えなかったのだ。


ロージーも、僕の教育上よくないと判断してくれたのだろう。

とにかく、ドワーフロボを召喚し女性だけを救出。

ロージーの説明では、部屋に武器や敵の軍服が二人分あったみたいなのでこうした。



さて、次はここから100メートルほど離れた建物の中に五人だ。

ロージーを連れて、建物を出ると次の人質の場所へ急ぐ……。




▽    ▽




宇宙船『トリニティ』のブリッジに、星間軍から通信が入る。


『……アシュリー、星間軍の偉い人が作戦の進行状況を聞きたいって~』

『分かった、こっちに回して』


『コンスタンティン』の索敵操作をしていると、星間軍に今回の救出作戦の進行状況の確認の連絡が入った。


実は、今回の催眠ガスによる人質救出作戦は一応星間軍にも連絡しておこうと若旦那が作戦を説明し許可をもらっていたのだ。


普通なら、私たちのこんな危ない作戦何て相手にしないだろうが、シャロンが若旦那に全幅の信頼を置いていることもあり、許可が下りたのだ。

どんな繋がりが、どう役に立つか分からないものである……。



さて、今の状況を説明しておかないとね。

コロニー内の夜が明けるまで、あと数時間ほどね……。







第115話を読んでくれてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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