第113話 交渉と人質
宇宙歴4263年2月14日、『オレオン銀河』に派遣されていた星間軍が、亜空間ゲートの第二コロニーに到着。
しかし、第二コロニーには21隻の宇宙戦艦が囲むように配置されていた。
「ブルッケン隊長、コロニーを占拠した敵から通信が入っています」
「繋いでくれ。
……ああ、向こうの通信技術に合わせたつなぎ方をしてくれよ?」
「……わ、分かりました」
通信兵は、少し吹き出しそうになったが、空気を読んで我慢し通信を繋げる。
すると、艦長席から立ち上がったブルッケン隊長の前に、敵の姿が映し出された。
『初めまして、宇宙に住む知的生命体よ。
我々は、あなたたちの言う『オレオン銀河』にある『グラニド』とい星から来た。
まずは、交渉がしたい、応じてもらえるか?』
「交渉の前に、人質の解放が先ではないのか?
人質解放をするなら、交渉に応じるぞ」
そして、お互いのモニター越しの睨み合いが続く……。
▽ ▽
「さて、話し合いが始まったしこちらも動きます。
『コンスタンティン』の能力を使って『トリスタン』にも光学迷彩を張り、第一コロニーへ移動!」
『了解!光学迷彩を張ります………張り終わりました!』
光学迷彩を張り、二隻の宇宙船は亜空間ゲートにある第一コロニーへ向かう。
第二コロニーが占拠されているとして、第一がどうなっているのか確認するためだ。
それに、第一コロニーは第二コロニーの下側にある。
うまくすれば、第二コロニーへの潜入ができるかもしれない。
……時間をかけて、僕たちは第一コロニーへ向かった。
▽ ▽
『ブルッケン殿、ここは交渉に応じてもらえないだろうか?
私たちの命がかかっているのだ、あまり彼らを刺激するのはよくない……』
敵とのにらみ合いが続き、どうにも話が進まないと理解した奴らは、コロニーの代表者を連れてきた。
第二コロニーの代表者、町長のブライソン殿だ。
「それは分かりますが、人質を取って交渉とは……。
それは要求ではないのかといいたいんですよ?
しかも、我らのことを知的生命体などと……」
『そこは我慢してくれ、彼らとて我らの呼び名が分からないのだから……』
「ならば、名前で呼べと忠告していただきたい!」
画面の向こうで、町長と敵の代表が話し合う。
そして、話し終わると町長は引っ込めさせられ、代表が話し始める。
『失礼した、ブルッケン殿とやら。
改めて私も名乗ろう、私は、グラニド宇宙軍第14先行偵察部隊のクリアム大佐だ。
この部隊の司令官をさせてもらっている。
それと、交渉というのは簡単だ。
こちらからの質問に一つ答えてもらうごとに、捕虜を1人そちらに明け渡すというのはどうだろうか?』
捕虜?相手側は人質を捕虜として扱っているということか……。
……と言うことは、レオン君の情報通り人質に何をしているのか分からんな。
ここは、応じるしかないか?
「ニナ、第二コロニーにいたと思われる人数は分かるか?」
「資料によれば、第二コロニーはまだ完成しておらず、千人ほどしかいなかったようです」
「千人か……」
ということは、千回の質問に答えなければならないということか?
中には答えられない質問もあるはずだが……。
「こちらが答えられないときはどうなる?」
『答えられなければ、答えなくても構わない。
その時は、別の質問に変えるだけだ。私は軍人だ、機密がある事ぐらいわかっている』
……機密か、物は言いようだな。
私が知らないことは、機密で通せるが人質は帰ってこない。
だから、なるべく答えろということか……。
「いいだろう、その条件をのむ」
『そうか、では最初の質問だ………』
▽ ▽
亜空間ゲートの第一コロニーと第二コロニーとの隣接している場所に、僕たちは到着する。
ここから上を見上げれば、コロニーを占拠した奴らの宇宙戦艦が見える。
「相手の宇宙戦艦は、全部で何隻あるんだ?」
『相手の宇宙戦艦は、全部で25隻です』
『見えているのが21隻で、後の4隻はコロニーの中のドックにあるわよ~』
……なるほど、その4隻に乗り込んでいた連中がコロニー内にいるわけか。
で、情報収集をしていると。
「コロニー内に偵察機は出してる?」
『はい、バッチリ相手の位置も分かりますよ』
「第一コロニーはどう?相手が侵入している形跡は確認できない?」
『第一コロニーに侵入した形跡はありませんね、一応偵察機を何体か侵入させておきます』
アシュリーが、『コンスタンティン』から偵察機を第一と第二へ侵入させている。
これで、情報は筒抜けってことだろう。
そして、5分ほどで第二コロニーに侵入している敵の位置が把握された。
「ん~、コロニーの地図に照らし合わせてみると、この建物に人質のほとんどが集まっているようだね……」
『ここは、ドーム型のスポーツセンターですね』
コロニーの中の建物で、大勢の人を集めるとなると場所は限られてくる。
スポーツセンターはうってつけってことか……。
でも、こっちの建物にも人がいるんだよね……。
「ここにも人が多いけど、ここは?」
『えっと、ここは図書館みたいですね。記憶脳媒体で管理している本を、いくつか紙媒体で読めるようにしているみたいです』
今の時代では、紙媒体はごく一部でしか使われない。
しかし、中には本を紙媒体で読みたいといったマニアの人が存在する。
その人たちのために、紙媒体が存在しているのだ。
どうやらこのコロニーにも、そんなマニアの人がいたようで、人工脳を使った記憶脳媒体から情報を取り出し、本にして読んでいたようだ。
「……そういえば、彼らは記憶脳媒体なんて知っているのかな?」
『知らないでしょう。それどころか、どうしてこんなところに脳みそがと……』
これは、争いの火種になるかもしれない……。
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