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転生先は宇宙船の中でした  作者: 光晴さん
オレオン銀河の片隅で

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第111話 巻き込まれ体質




宇宙船『エリザベート』のブリッジの艦長席では、シャロンと侍女のケニーが緊急で入ってきた通信について話し合いをしている。


「亜空間ゲートのコロニーを占拠って、ゲートを破壊でもする気なの?!」

「シャロン様、落ち着いてください。

亜空間ゲートの大切さは、皆分かっております。おそらく陽動ではないかと」


陽動?つまり、囮ってこと?

だとするなら、本当の狙いがあるってことよね……。


「……ケニー、救援要請は主にどこに向けて流れていたの?」

「それはここ、『オレオン銀河』に向けてでした」


ということは、ゲートのコロニーを占拠した連中の狙いって……!

まさか、常駐している星間軍?!



『通信!星間軍第2656部隊隊長ブルッケン殿から、シャロン様へのメッセージが入りました!』


ブリッジの艦長席の下の段から、通信アンドロイドが声を上げる。

緊急時の通信アンドロイドは、こうして周りにも聞こえるように伝えるのが決まりだ。


「メッセージを読んでちょうだい!」

『読みます!『亜空間ゲートのことは任せられよ、シャロン殿はオレオン銀河の統一にまい進されたし』です!』


勝手なことを……。

星間軍が動いたら、惑星『コルハルド』に集まっている連中が逃げてしまう!

あの連中は、好戦的な連中だから星間軍で睨みをきかせていたのに……。



「今、星間軍に動かれるとまずいのに……」

「ブルッケン殿は正義感の塊のような方でしたから、今回の襲撃は許せるものではなかったのでしょう……」


それにしても、勢いだけで星間軍を動かすなんて……。


「そうだ!レオン君に緊急通信を!」

「シャロン様、レオン殿に救援を要請されるおつもりですか?」


「そうよ、レオンが持っている宇宙戦闘艦は、私たちの力になってくれるわ!

それに、亜空間ゲートからの救援要請の通信は、レオン君の宇宙域にも出ていたようだし」


ケニーが通信アンドロイドを見ると、アンドロイドは頷いて答える。

そしてケニーは、ため息を吐くのだった。



「あまり、レオン殿に頼るのも、考えものですよ?」

「何言っているの!使える者は何でも使うのが私のやり方よ!」


それを聞いたケニーは、もう一度ため息を吐いた。




▽    ▽




青の星の衛星軌道上から、亜空間ゲートに向けて進んでいる宇宙船『トリスタン』。


不細工な見た目は解消され、宇宙戦闘艦としても最適化がおこなわれ前にもまして力強くなっていた。

その『トリスタン』のブリッジの艦長席に、レオンが座って外の宙域を眺めていた。


「トリスタンの速度を落として、亜空間ゲートには明日の昼頃に確認できる位置に手停止ね」

『あら、奪還作戦ではないの?若旦那』


艦長席の側の席で、アンドロイドのロージーが僕に確認してくる。

今回、ついて来てもらったアンドロイドは三名。

ロージーとエリーとアシュリーだ。


ロージーは全体の指揮や軍師的な立ち位置で来てもらった。

エリーは、アシュリーに変わって通信全般を担当してもらうため。


では、普段から通信を担当しているアシュリーが何をするのか……。

それは、情報収集専用艦『コンスタンティン』を制御してもらうためだ。



情報収集専用艦『コンスタンティン』は、その名の通り情報収集をするためだけの宇宙船だ。

そのため、武装は一切積み込んでいない。


その代わり、光学迷彩や擬態をして姿を隠して情報収集する。

もちろん、防御のためのシールド装置は積み込んであるが、一般の宇宙船と変わらない程度だ。


大きさは、全長200メートルほどで宇宙船としては小さい方になる。


また、艦の半分に情報収集のための隔離センサーを積み込んでいて、どんな場所でも情報を集めることができるようになっている。

ただ、この宇宙船に人やアンドロイドが乗り込むことはできない。


そのため、遠隔操作で操るようになるため今回の僕たちと同じように、後方について遠隔操作し情報を集めるようになる。


将来的には、自立型に移行しようか検討中だ。



「ロージー、今は情報収集が先決だよ。

ここで集めた情報をシャロンに渡せば、うまく生かしてくれるはずだし、僕たちも今後気をつけることもできるだろう?」


『そうだよね~、ゲートを占拠した謎の軍隊が『青い星』に来ないとも限らないし……』

「そういうことだよ、エリー」


『あ、さっきそのシャロンからメッセージが届いたよ~』


エリー、通信士の席に座っているんだから仕事してよね~。

僕はエリーの仕事の評価をしつつ、シャロンから来たメッセージを確認する。



「え~と、『救援要請がそちらにも届いているはずよね?すぐにゲートに向かって!星間軍が動いてしまったの、何があるか分からないから警戒もよろしく!』って、丸投げだよねこれ……」


『さすがシャロン様、使える者は何でも使うつもりですね』

「ロージー、感心している場合か?」


……まずい、これは面倒ごとに巻き込まれてしまったかもしれない。

今日は2月12日、実家に帰るまであと二ヶ月ちょっとか……。



「アシュリー、情報収集専用艦『コンスタンティン』の把握はどう?」

『機能把握に時間を取りましたが、大丈夫です』

「それじゃあ、亜空間ゲートが通常モニターで確認できたら作戦を開始して」


『了解、若旦那』


「ロージーは、亜空間ネットワークで『オレオン銀河』について調べてくれ。

特に最近の出来事に、今回の事のヒントがありそうな気がするんだ」

『分かりました』


「エリーは、通信士としての仕事をきちんとするように」

『え~、私、ちゃんと通信士として頑張ってるよ~』

「それじゃあ、シャロンにメッセージを送っておいて、了解しましたって」


『任せて~』


……まあいいか、とにかく二ヶ月以内に終わらせよう。








第111話を読んでくれてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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