第110話 星間軍
宇宙歴4263年2月10日、オレオン銀河の端にある太陽系。
そこの七番目の惑星こそ、オレオン銀河をまとめるために派遣されたシャロンの住む星だ。
惑星の名は『ローフ』といい、地球に酷似した生命惑星だ。
無論、大陸や海の形は違うが、今や移民の受け入れもあって全人口が10億人を超えた。
また、ローフの周りにある二つの惑星をテラフォーミングし、人が住める星へと変えている。
その星にも、移民を受け入れどちらの惑星も、人口5億人を超えていた。
そして、ローフにある衛星、月ともいうその衛星は改造し宇宙港としての機能を発揮している。
惑星『ローフ』の衛星軌道上にある宇宙ステーション。
そこに全長三キロはある宇宙船『エリザベート』が繋がれていた。
エリザベートの艦内の艦長室に、オレオン銀河をまとめるために派遣された10歳の女の子、シャロン・アブル・ロスティックは暇していた。
もうすぐ11歳の誕生日だというのに、することといったら『オレオン銀河』にある生命体たちの発見に、知能があるかどうかを調べて、知能があれば文明レベルを調べ、宇宙に出れる文明レベルなら仲間に引き込む。
これの繰り返しである。
部下に丸投げしているとはいえ、それでも、オレオン銀河全体の5パーセントも終わっていない。
「……ほんと、銀河って広大よね~」
「宇宙はさらに広大なんですけどね?」
私の教育係兼侍女のケニーが、いつものように一言多い。
宇宙が広大なのは、私でもわかっていることだ。
「オレオン銀河をまとめ上げることなんて、本当にできるの?」
「シャロン様の兄上様や姉上様は、自分たちの担当の銀河をまとめ上げていますよ」
「それも、すぐのすぐってわけじゃないでしょ?」
「そうですね、皆様10年ぐらいかかっておいででしたね。
戦いが長引けば、さらに10年ってところでしょうか」
……戦い、戦争か。
銀河を1つにまとめ上げるんだもの、反発する者たちだっているわよね……。
戦いたくないな~。
「戦いっていったら、惑星『ローフ』に移民が大量に入植したけど、地元の人たちは受け入れてくれてるの?」
「はい、地元の人達には十分に説明させてもらって許可を得ています。
それに、人手不足が解消されるとかで、喜んでいる人たちが大半のようですよ」
……地元の人たちの反発がないのはそのおかげか。
ちゃんと説明をして、ルールは守らせないとね。
他の惑星は、テラフォーミングで改造した星だから、問題はないけど、ローフは元から住んでいる人たちがいたんだ。
その人たちの理解がないと、移民なんて受け入れてくれないからね。
出来ないことは、出来る人に丸投げしているけど、責任は私がとるようになるんだよね。
……これは、一度『オレオン銀河』の統一状況を確認した方がいいかも……。
▽ ▽
青い星の衛星軌道上にある宇宙船『ハルマスティ』の艦長室。
今日も僕は、報告書を読み進めている。
ロージーとエリーが協力してくれたおかげか、ようやく報告書地獄から解放されそうだ。
今、僕が読んでいる報告書は昨日の日付になっていた。
「………確認終わり!ようやく終わった」
『ご苦労様でした、若旦那』
『お疲れ様~、若旦那』
本当に疲れた、時間も時間だし、少し仮眠を取ろう。
「今から、仮眠をとってくるよ。二時間ぐらいで起こして」
『分かりました~』
エリーが返事をしてくれた、ロージーはまだ報告書の整理が終わってないようだ。
大変だよな……。
これからは、なるべく報告書は溜めないようにしないとな……。
仮眠をとるため艦長室を出ようとすると、そこにアシュリーが入ってきた。
『あ、若旦那、大変です!救援信号です!』
「救援信号?救難ではなくて?」
『はい、『亜空間ゲート 第二コロニーが謎の軍隊によって占拠された。救援求む!』以上です』
「……なぞの軍隊ってどこの軍隊だろ……」
『詳しいデータは送られてきてないの?』
『はい、普通の通信でこの文が送られてきただけです』
暗号化とか無しで送られてきたってことは、切羽詰まっての行動かな?
情報が少なすぎて、すぐに行動できないな……。
「通信は、僕たちの宙域に対してだけ?」
『いえ、オレオン銀河に向けての通信が主です。向こうには星間軍の一隊が常駐していますから、その部隊に向けてなのかと』
星間軍の一部隊か。
中央政府が、銀河の守護・治安維持のために送りつける部隊。
時々、守護するべき銀河の星々と揉めてるってニュースを聞くけど、今回はオレオン銀河を離れて亜空間ゲートを守りに行くかどうか……。
「ロージー、星間軍は動くと思う?」
『あまりにも情報が少なすぎます、今は動けないのではないでしょうか』
『星間軍は、精鋭軍ですからね~』
てことは、僕たちで情報収集をしてみるか。
亜空間ゲートには、僕たちの方が距離的に近いしね……。
「よし、僕たちで動いてみよう。まずは、情報収集を第一に!」
『『『了解!』』』
情報収集専用艦『コンスタンティン』をお披露目する時がきたな!
待っていろ謎の軍隊、お前たちを丸裸にしてやる!
第110話を読んでくれてありがとうございます。
次回もよろしくお願いします。




