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転生先は宇宙船の中でした  作者: 光晴さん
星の管理人の仕事

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第108話 それぞれの道




宇宙歴4263年1月30日、今日も報告書とにらめっこだ。

何か大きなことがあるわけではないんだが、これが星の管理人の仕事なんだよね。

ほんとに、神様にでもなった気分になる。


「しかし、こうして報告書をチェックしていると自然災害って存在するんだね」

『若旦那?熱でもあるんですか?』


「いやいや、生体強化しているからそうそう病気なんてしないでしょ?

そうじゃなくて、ファンタジー世界の自然災害って本とかであまり見ないからね。

ついつい、そんな感想が出ちゃったんだよ」


『そういえば、魔法を扱った物語では自然災害はなかなか扱われませんね』

「だよね、やっぱり魔法で起こせるから自然災害か人為の魔法か分からないからかな?」


『どうなんでしょうね……』


自然災害、台風やハリケーン、日照りに飢饉、隕石とか地震とか……。

確かに、ほとんど魔法で起こせそうなことだから対処も魔法ってことなのかな?




ロージーとそんな他愛もない雑談をしながら報告書をチェックしていると、エリーが部屋に入ってきた。


『若旦那~、この間の確認調査が終わりました~』


この間の確認調査って3日前の地震のことか。

結構時間がかかったんだな……。


「エリー、結構時間がかかったんだね?」

『大変でしたよ~、まず地形から調査しましたから~』

「それで、何か分かったの?」


『地震災害の裏ってやつが分かりました~』


裏?誰かの思惑があった地震だってことなのかな?

……てことは、魔法による人災か?


エリーは僕の机の上にある端末の穴に、自分の人差し指を入れると鍵を開ける要領で右にひねる。

すると、僕の目の前のモニターにファイルが映し出される。


『これが、報告書です~』

「ありがと、今から目を通しておくよ」

『分からないことがあれば、すぐに聞いてくださいね~』


そう言って自分の机に戻ると、他の報告書整理を始める。

こんな報告書の渡し方、改めてエリー達がアンドロイドだって認識させられるよな。

見た目は、ぽやっとしたお姉さんなのに。



さて、目を通しておきますか……。




▽    ▽




コロニー『楽園』では、ある果物の収穫をおこなっていた。


「私たちが収穫に駆り出されたから、どんな大変なものかと思ったら『葡萄』とはおそれいったわ」

『はい優奈さん、口ではなく手を動かしてくださいね』


「分かってますオリビア先生。

でも、こういう収穫ってロボットを使わないんですか?」

『使ってますよ?ほら、あっちの収穫はすべてロボットがおこなっていますよ』


そう言って、隣のブドウ畑を指さす。

確かにそこには、10体の人型ロボットが器用にブドウを収穫する姿があった。


「優菜さん、ほらブドウ、美味しいですよ?」


私の近くでブドウの収穫をしていたローズが、一粒のブドウを口の中に入れてくれた。

口の中の一粒のブドウを噛んでみる。


「ん~~~!」


甘い!何これ、すごく甘い!

しかも瑞々しい!

私の知っているブドウとは違うものだ!


「……何これ、美味しい!」

「ね?だから皆さん、丁寧に手作業で収穫しているんですよ」


流石未来のブドウ、私の知ってるブドウがどこかに行っちゃった。

……でも、4000年以上未来になっても手作業って存在しているのね。



『はいはい、お喋りは良いけど、手を動かして~。

今日中に、半分は収穫してしまいますからね~』

「「「は~い」」」


多分これも授業の一環だろうね。

私みたいに、地球のことを知っている日本人からすれば驚きの事実だったし…。


それにしても直美、昔の仲間に会いに行ったっきり帰ってこないね。




▽    ▽




青い星の拠点の島、『ホリック』の町。


高い台にある大きなベルサイユ宮殿のような宮殿の執務室。

そこでは、勇者パーティーとホリックの代表を務めているセーラ。

他にも、セーラを補佐しているジャスミンとシャロットの姉妹。


後はいつものレオンの代わりとして、クレアにソフィアとセレニティーの三人。

以上のメンバーが集まって、話し合いをしていた。


議題は、勇者パーティーの今後について。


だけど、勇者パーティーはすでに事情も再開も果たし全員一致でホリックに住むことに決めているようだ。


「俺は、前々から勇者パーティーを解散したら自分の畑を持ちたかったんだよ」

「そういえば、昔、実家が農家だって教えてくれたわね」

「ああ、ナオミの言ったとおり俺の家は農家だ。

今はもうないけど、畑を耕すことが好きだったからな……」


「そう、ルークの実家は……」

「いや、実家は健在だぞ?勝手に親を殺さないでくれよ」

「はあ?さっきまでの言い方だと……」


「あれは、俺が勇者パーティーに入ったから稼ぎが良くなってな、村から引っ越して町に住むようになったんだよ。

今は、町で店やってるって聞いてるよ」


紛らわしい言い方をしないでほしいわね……。

でも、ルークは畑をもらって農家か。


「アレクはどうするの?」

「俺は、鍛冶師が副業だったからな。それを活かして、店を始める予定だ」


アレクは、自分で武器や防具の修理をしていたから鍛冶仕事ができるんだよね。

ダンジョンで手に入れた鉱石を武器にしたりしていたね、確か。


「冒険者にはもう復帰しないの?」

「……奴隷として過ごしていた時に無理をしてしまってな、盾役はもう無理だ。

かといって、戦士や剣士としても動けないしな……」


そうか、アレクはもう戦うことができない身体なんだ……。

勇者だった私も、生体強化受けたから元の世界には帰れないし……。


でも、生体強化するとこれ以上老けることが無いんだよね。

ヴィクトリアとトリニティはどうするのかな?







第108話を読んでくれてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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