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転生先は宇宙船の中でした  作者: 光晴さん
勇者のその後

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第101話 神の一撃




宇宙歴4263年1月16日、港町『カルロー』から南の海上を二十隻以上の船が南下をしていた。

目的地は、南の先にある名もなき島。

そこには、造りかけの町が存在したくさんの奴隷が生活しているのだとか。


「航海士!海しか見えねぇが、方向はこれで合っているんだよなっ!」

「……間違いねぇ、目的地はこの先だ!」


航海士の男は、魔道具で確認すると堂々とした態度で言い切った。

海では、航海士を信用してほしいものだ。



「お頭、海の上は嫌ですねぇ~。航海士がいないと船も満足に動かすことができないとは……」

「俺たちは、こんなに長い距離を船で過ごしたことねぇからな。

不安になるのも分かるが、航海士をけなすんじゃねぇよ」


周りの景色は、ここ二、三日はずっと同じ景色だ。

手下たちが不安になるもの分かるが、野望があってここにいるんだからおとなしくしてろ。


目的地まで四日で着けるって言ってたからな、今日がその四日目。


潮の流れだの、風の向きだの、いろいろ理由はあるが、一日二日遅れても文句言うんじゃねぇよ。

俺たちだって、この依頼を受けるときにいろいろ調べてんだからよ。



「フッ、海賊に依頼する奴らが一番信用おけねぇだろうがよ……」

「お頭!何か言いましたか?風の音がうるさくて!」

「何でもねぇ!目的地までもうすぐだ!準備、怠るんじゃねぇぞ!!」


「「「へいっ!!」」」


まったく、返事だけは一人前だな!

こうして再び、気合を入れなおした俺たちだが、この直後視界が白くなる……。




▽    ▽




―――ピピッ、拠点の島に接近中の船を確認。数は24。


『これが若の言っていた、敵の船ですね。でも数が多いようですよ』

『完成していないとはいえ、町を作っている島ですからね。人数が多いと判断しての船の数でしょう。問題ありませんよシンシア』


宇宙船『ハルマスティ』のブリッジで、監視体制に入っていたロージーとシンシアが警戒情報を受け取ると、拠点の島周辺を探索し近づく海賊たちの船を見つけた。



『島に到着する時刻は、今から20時間後といったところですね』

『それじゃあ、島に影響がある前に焼却してしまいましょう』

『了解!軌道衛星から地上へ攻撃します』


青い星の衛星軌道上にある人工衛星を目的の場所に移動させ、攻撃態勢をとる。


『気をつけて、威力を間違えると島に影響が出るわ』

『ハルマスティとベディヴィアにも、威力計算させているから間違いありません』


そんな会話をしているわずかな時間に、両艦船から計算の答えが返ってくる。


『計算終了、両艦ともに誤差小数点です』

『では、発射』


静かにパネルに表示されているキーを押し、地上へ向けて一筋の光が発射された。

それは、ロージーやシンシアからしたら見慣れた一筋の光。


しかし、青い星に住む者から見たら神の天罰の光になる。



この日、海賊船24隻が航行する中に打ち込まれた光は、海面に直撃するや超大爆発を起こしすべての海賊船を海の藻屑としてしまった。


さらに、威力の影響で近くの無人島には津波をもらし、拠点の島にもちょっとした津波をもたらした。

しかし、被害が起きるような津波ではなかったため、誰も気づくことなく拠点の島は守られたのであった……。




『拠点の島に被害なし。作戦成功です』


『では、若旦那には私から報告しておきますね。

その後は、いつもの監視体制に戻りましょう』

『了解です』




▽    ▽




初心者ダンジョンを出て、王都に戻るため街道を歩いているとロージーから報告が入る。

それは、例の拠点の島に向かっていた海賊船の報告だ。


「では、海賊船はすべて海の藻屑に?」

『はい、攻撃後、確認しましたので間違いありません』


衛星軌道上からの攻撃がどんな威力になるか心配だったけど、どうやら心配するほどでもなかったようだ。


「それじゃあ、海賊たちの生き残りもいないんだね?」

『はい、すべて海の藻屑になったようです』


生き残りもいない威力になるんだな……。

これは、地上では使わない方がいいかもしれないな……。


「了解、海賊退治、ご苦労様、さすがロージーとシンシアだね」

『……』


「ん?どうしたの、ロージー?」

『いえ、何でもありません。では、私たちはいつもの監視体制に戻ります』

「よろしく」


一瞬、黙っちゃったけど、何かあったのかな?

まあ、上はロージーたちに任せておけば問題はないだろう。

ロージーとの通信を終えて、連絡用の端末を亜空間倉庫にしまうと側で聞いていたアルが話しかけてくる。



『海賊は海の藻屑か……』

「ロージーの話だと、生き残りもいないから作戦失敗の連絡も遅くなるね」


『これは、チャンスじゃのう』

「うん、だから今日中に王都に戻って明日の朝までに救出するよ」

『両方ともかの?』


う~ん、こういう時は両方いっぺんに救出したいんだけど、宿の方は監視がいるんだよね。

だから、まずは…。


「いや、明日の朝までに救出するのはヴィクトリアさんだよ」

『ふむ』

「そして、明日宿を後にするときトリニティさんを救出って流れかな」


それが、一番自然に二人を救出できるんだよね。

監視にも気づかれにくいし……。



『それなら、ダンジョンのことはいつ報告するんじゃ?』

「僕としては、このまま走って王都に着いた後報告した方がいいんだけど…」


アレクさんたちのことで、ギルドで所有者の探索者と揉めそうなんだよね……。

そこで時間をとられるのも避けたいけど、報告しないわけにはいかないよね。


「仕方ない、王都に着いて報告、時間があればヴィクトリアさん救出ってことで」

『まあ、焦ってもしょうがなかろうの……』


焦りは禁物か。








第101話を読んでくれてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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