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転生先は宇宙船の中でした  作者: 光晴さん
きっかけは時空乱流
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第1話 プロローグ




宇宙歴4255年5月5日、宇宙船『ハルマスティ』の船内で僕は生まれた。

人類が宇宙に進出して早4000年以上が経っているらしく、このことを知った時は驚いたものだ。


何故なら僕は、前世の記憶を持って生まれてきたからだ。

始めは喜んだ、転生物の物語はよく読んでいたし、転生物では異世界で活躍する話が多かったから僕も魔法を使うぞ!と意気込んだが魔法なんて使えるはずもなかった。


なぜなら、ここは宇宙船の船内だったからだ。


母さんが僕を空中遊泳させた時は、浮遊魔法か!と驚いたが、なんてことはない重力装置を切り宇宙遊泳させただけだった。

魔法なんてものは一切なく、それならばSFの世界で無双をと思ったが僕の乗っている宇宙船にそんな力はなく、只々、前世の地球より科学文明が発達しただけの世界だったのだ。


世の中思うようにはいかないものである……。





宇宙歴4261年7月7日、今僕たちの宇宙船は惑星『ハーベマ』からの荷物を載せて105光年先の惑星『ニッキ』へ移動しているところだ。


僕の父さんが、宇宙運輸業を始めてすぐに仕事にありつけているのは、大手の会社の傘下に入っているおかげだ。

そうじゃなかったら、今の世の中、仕事があるわけがないのだ。


なにせ人のできる仕事の大半がロボットにとられ、人のできる仕事といえば戦争ぐらいかと笑い話になるほどだ。

その戦争も、ロボット兵が中心になっていて終わりの見えない戦争を繰り返すことになり戦争を始めた国は資金難により破滅すると言われるようになった。


お金かかるんだよね、戦争するにも……。


それはともかく、今この宇宙船『ハルマスティ』には僕の両親はいない。

一つ前の中継惑星『ゴールン』で降りたからだ。父さん曰く、急な親会社からの配達を頼まれたとか言ってうちが所有しているもう一つの宇宙船『ハルマスライン』に母さんと乗って出発してしまった。


『家族が増えそうですね、若旦那』

「……ロージー、それって僕に通じる冗談かい?」

『失礼しました。 しかし、人の行動心理は読みやすいですね』

「……」


今、僕を子ども扱いせずに話してきたのがアンドロイドのロージー。

女性型にもかかわらず、真面目で冗談があまり通じない彼女は最新のアンドロイドだ。


金髪碧眼で、スタイル抜群のモデル体型。

親会社が出資しているアンドロイド制作会社『リニシィ』からプレゼントされたそうだ。

で、下請けのうちに来ているっているのは親会社から派遣されたってことらしい。


親会社にいるアンドロイドたちから、下請けに回すべきとの進言によりうちに来たのだ。


「要するに新参者は、下請けから始めろって追い出されたのね……」


『……若旦那、何を言っているのですか?』

「ああ、航行日誌を読んでいてね、つい声に出しちゃった……」


『航行日誌に、私のことが載っているのですか?』

「うん、ロージーが来た日の日誌を読んでいたからね」

『………まあ、いいでしょう』


ロージーは、ブリッジから出て行く。

艦内点検の時間だろう。彼女の行動は時間に正確だ。



さて、自己紹介がまだだったね。

僕の名前はレオン・オーバス。前世の高坂隆という日本人の記憶を持って生まれた地球人だ。

この転生先が僕の前世から何千年後かは分からないが、地球から巣立った人類であることは間違いないらしい。


この前、ロージーの歴史の授業で習ったから間違いないだろう。


僕の歳は、今年で6歳。

周りに同世代がいないから、友達はいない。昔なら寂しい奴と言われそうだが、今の世の中はこれが当たり前のようだ。


ロージーと同型のアンドロイド、エリーに聞けば惑星で暮らしていない子供はネットワークを使って友達を作るか、旅先で友達を作るしかないそうだ。


……旅先って言っても、中継惑星しか通ったことないから友達作れないんだよね。


中継惑星っていうのは、宇宙港がメインであまり人が住んでいない惑星だ。

アンドロイドが中心で、ロボットがすべてを任されている。

たまに、人間が派遣されることもあるがすぐに別の惑星に移動してしまうそうだ。


寂しいんだろうね、周りに人間がいない環境って……。


僕の容姿は母親に似ていて、金髪の青い目をしている。

髪は短髪、今は料理に凝っていて毎回暇なときは僕が料理をしている。



『若旦那、小惑星大群を発見。

回避行動に移ります、到着時間が少し遅れますがご了承ください』


「了解。エリー、ハルマスティの船体シールドをレベル5に上げて」


『万が一のためですね、了解です。船体シールドをレベル5へ上げます』



この宇宙船『ハルマスティ』の全長は2キロあるから万が一の策を講じておいた方が良いんだよね。

勿論、宇宙海賊に対する防衛も完璧だ。


対宇宙海賊用艦隊『ブリュード』を亜空間ドックに7隻保管してある。

これを宇宙海賊が襲ってきたときに放出して、撃退すれば勲章ものだろう。


この世界には魔法はないが、SFの超兵器がゴロゴロ転がっていた。

それをかき集めては、亜空間ドックで修復したり造り上げていったりして完成させた7隻の戦闘艦。


さあ、来い宇宙海賊!





『……若旦那、小惑星大群、無事通過しました』


「あ、そう? 船体シールドのレベルを2へ戻しておいて」

『了解、シールドレベル2へ戻します』



今日も宇宙は平和かもしれない……。








第1話を読んでくれてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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