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お姫様と軍人さん  作者: 塵芥
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これが王都?

少しだけ話が進みました

開拓村を出て5日。王都までまもなくってとこらしい。なにか情報を・・・と思い周囲を調べながら進む。王都王都と軍馬は進む・・・って俺は徒歩だけどね。


調べてから思ったけど、この国はあまりに開発が遅れていると。広大な平地があり、水源もある。それなのに農地が少ない。さらに東方には港もあるというのに、さらに言えば街道の整備も疎かで村と村との移動でさえ難儀なのである。蝦夷なの?北海道なの?(※昭和20年前後の認識です)


ま、答えは簡単なんだけどね。人口が少ないのだろう。元々数部族の人口で作られた国なのだ。増えてもたかが知れている。


しかも隣国は大国で文化水準も向こうの方が上だから移住してくることは少ない。さらに圧迫されれば軍事の比重を厚くせねばならず労働人口も減る。そしてさらに差が付く。亡国まっしぐらだな。


それをひっくり返すには方法は2つ。


1つは両大国のいずれかの属国になること。少なくとも片方は安全地域になるし、人の往来も増えるだろう。ただし使い潰される可能性も無きにしも非ず。


もう1つは軍事的大成功を収めること。成功ではない、大成功だ。ウルス侮りがたしとの認識になれば属国にこだわらないはずである。多少の不公平は目を瞑っても同盟を結べるはず。


さて、王都のお偉方はどうお考えなのかねえ。ぐ~


あ、腹減ったなあ。保存食も飽きてきちゃった、コルツのお母様ごめんなさい。と思ったらウスラさんがウサギを狩ってきてくれた。かっこいい、那須与一ですか?


ウサギって1羽2羽って数えるんだよね、耳が羽みたいだから鳥だねって。鳥だから生臭じゃないよね?って。さすがに無理があるでしょと昔から思っていた。ウルスでは普通に1匹2匹だし。


こんがり焼いてるとバトゥが嬉しそうに鼻歌を歌っている。うんうんもう全部食べちゃっていいよ、ウソだけど。こんなバトゥだけど弓の腕前は村の中でもウスラさんの次にうまい。馬術は苦手っぽいけど。逆にコルツは馬術は素人目に見てもうまいと思った。陸軍の閲兵式で見た騎兵の人よりうまいと思う。


そうこう考えながら王都王都と・・・ってさっきもこのネタ使っていましたね。2匹目のどじょうを狙うなど帝国軍人にあるまじき・・・なんて思ってたら


「にーちゃん、王都が見えてきたぜ!」

「やっとついたね~」


とコルバトコンビが教えてくれた。


これが・・・王・・・都・・・だと・・・?


はいどう見ても砦に毛が生えた程度です、本当にありがとうございました。

いやいやこれであなどってはいけない。信玄公は人は石垣と言っていたではないか。


王(カカン?)もそう思ってのことかもしれないな、うんきっとそうだ。


「いつ見ても貧乏な城だなー」

「ほんとだねえ。でもお金ないから仕方ないよ~」


ああ、財政的な問題ね、うん、わかってたよほんとは。


城外に天幕がいくつも張ってあり、各地方からの徴兵者がすでに集まっている。ざっと八千ってところか。元々騎馬民族らしく半数以上が騎兵ってのも少しだけ心強い。


ゴーリキさんとウスラさんが着任の手続きをしに大きな天幕に行った。その報告がないと村が罰せられるそうだ。赤紙は怖いよねー


その間手持無沙汰なので見てまわることにした。コルバトはゴーリキさんたちが戻ってきてもいいようにそこにいてもらうようお願いした。


少し注意深く見てみるが軍紀というものが存在しないように思えた。もちろん徴兵されたてだからということもあるけど危機感がない。


小競り合いなのかな?と思ったが小競り合い程度なら辺境の村にまで徴兵を掛けないであろう。少しまずいかな・・・と思案しながら歩く。と・・・ゴツン!痛っ


何かにぶつかってしまった。俺は何か考えだすと没頭し周囲が見えなくなってしまう。宇垣閣下にもよくそれで怒られたもんだ。


見てみると割と派手な鎧に身を包んだ女性が仰向けに倒れていた。パッと見端正な顔立ちで惚れ惚れするほどの器量だが白目を剥いて涎を垂らしているので残念なことこの上ない。


「あの・・・大丈夫ですか?すいません、ボーっとしていたもので・・・」

「う・・・うーん・・・」


軽い脳震盪だったのだろう、女性はすぐに目を覚ました。


「本当に大丈夫ですか?」


と手を差し伸べるが振り払われてしまう。


「無礼者が!」


と罵倒される始末。もしかするとこの方はお姫様で俺のような下郎が触れてはいけないのだろうか?


「起こすのならば後ろから抱きかかえるものだろうが!不作法者めっ」


何を言っておられるのかさっぱりわからないのでもう一度思案したがやっぱりわからない。わからないけど望んでおられるので後ろから抱きかかえて立たせてあげた。


「ふ・・・ふんっ。高貴な女性の扱いを少しは理解したかしら?あなたがおかしな服装してるから教えてあげただけだからねっ!」


訳がわからないよ。多分彼女の脳内では


服装がおかしい=田舎者=不作法者=不見識


となっているのであろう。まあ確かにこの国の常識や風習が理解出来ない俺は不見識な不作法者なのだが。


「私の名前はボルティ。オイラー氏族のボルティよ!覚えておきなさい!」

「はぁ・・・私はサトーアキオです、サトーとお呼びください」


どうやら本当にお姫様っぽいね。あと氏族を名乗るってことは蒙古みたいなものなのかね。あと職位と階級を言うのはやめた。だって誰も日本のこと知らないし意味ないし。


「サトーね!これから戦だけどせいぜいがんばって死なないように!」


と言い残して去って行った。やたら「!」マークの多い姫様だったな。コルツ並みだ。少しだけ悪い予感があったけど気にしない気にしない。


戻るとゴーリキさんたちも戻ってきた。どうやら今回の戦争はカラが国境を越えて侵攻の気配を見せているとのことだ。


国境に集結してるカラ兵は3万らしい。うわっ3倍以上だよ、どうしよう。と言っても一兵卒の俺には何も出来ないけどね。


俺たちの到着が一番最後あたりだったらしくすぐに部隊編成に移った。三隊に分けられ俺たち5人は中軍に振り分けられた。


指揮官はスベエタイ将軍という御年60歳のご老人だった。現代戦なら(太平洋戦争当時のことです)問題ないけど、前近代的な戦争でその年齢は大丈夫なのだろうか?と不安になる。


しかし唐の李衛公も相当なお年寄りにも関わらず匈奴を駆逐したし、良い言い方をすれば老練ってことなんだろう。


そして総大将はオイラー=ボルティ様とのこと。



マジですか?

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