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視線の先  作者: 芝谷鈴嘩
3/4

田中 雪子の場合

 


 

 私、田中雪子はオシャレが好きな、某公立高校2年。

 学校に行くにはもちろん、夜、コンビ二に行くだけでも、化粧は欠かせない。

 寝る前の肌の手入れは1時間かけてるし、朝1時間の化粧を見越しで早めに起きる。

 サッカー部のマネージャーをやってるから、朝練がない日は6時に起きれば充分間に合うのに、ある日は4時には起きないといけないから結構大変。

 




 でも、手を抜く気はサラサラない。

 なぜなら私には今、好きな男がいるから。

 サッカー部の部長、沢口雄大先輩だ。

 寡黙で自分に厳しく、他人には優しい人。

 




 っていうか、先輩目当てでこの学校に入学した。

 もちろん、サッカー部も先輩目当て入った。

 あんな汚くて、汗臭い場所は本当なら我慢できない。

 部室は臭うし、ユニホームは泥だらけになるし・・・、なにより化粧はハゲそうになるし。

 もちろん、先輩にいつでも綺麗な姿を見せたいので、1時間かけているナチュラルメイクに見える化粧を崩すようなヘマはしないけど。







 先輩との出会いは、中学3年の時のオープンキャンパス。

 高校内を案内してくれる教師についていき、説明を受けていた。

 私立の金持ち学校ならまだしも、公立のどこでもあるような高校見学は、設備も環境もどこもたいしてそうかわらない。

 はっきり言って学校に対する興味は全然なかった。

 でも、今の偏差値ではこの高校がベストだったので、志望理由を作るためとりあえず・・・ということで参加していた。

 



 ダルい気持ちを隠しつつも、教室や食堂など見学させられ、最後に校庭に案内された。

 そこで練習していたのが、サッカー部だった。

 ちょうど2,3年の対抗試合をしており盛り上がっていた。

 高校見学に来ていたみんなもそちらに目線がいき、白熱した試合に視線が集中していた。

 



 だけど、私はコートの隅でボールを磨いている一年が気になった。

 10人前後いる一年生は、全員ボールを磨いていた。

 ある人は試合を見ながら、ある人は周りと話しながら、中にはイヤイヤやっているのが伝わってくる人もいた。

 その中で一人だけ黙々と磨いている人がいた。

 無表情なはずなのに、すごく楽しいことをしているように見える。

 ボールを磨いているだけなのに、その人が輝いて見えた。

 



 同時に、その輝きが羨ましい・・・絶対欲しいと思った。


 


 その日から、成績は受かる範囲内だったけど、万が一ってこともあるし、必死で勉強した。

 



 そして見事合格し、入学したその日にサッカー部マネージャーになるため、入部届を出した。

 1年の時は、サッカーの邪魔をしない程度にアピールし、仲のいい後輩兼マネージャーのポジションを早々とゲットし、順調だった。

 でも最近は、クラスメイトの鈴木太一がやたらと絡んで来る。

 正直、ウザい。

 


 先輩に誤解されたくないので、絶対に二人っきりにはならないようにしてる。

 クラスの友達で鈴木のことが好きな子がいるので、さりげなくその子を会話に混ぜるようにしている。

 一石二鳥でちょうどいい。

 毎回そういうこともできないので、女友達には私が雄大先輩が好きなことを伝えて、鈴木と二人っきりにならないよう協力もしてもらっている。







 彼を絶対手に入れてみせる・・・。

 あの輝きを手に入れるため、視線はいつも彼のもとへ・・・。

 





 





「鈴木のことが好きな子」は静子ではありません。別の子です。

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