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視線の先  作者: 芝谷鈴嘩
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鈴木 太一の場合

 俺、鈴木太一は割と世渡り上手な、某公立高校2年生だ。

 同学年では男女問わずダチは多いし、帰宅部にも関わらず違う学年の人とも交流がある。

 もちろん、教師とも上手くやっている。

 仲良くしておけば、多少の校則違反は見逃してくれるし・・・。




 いろんな人と話をするのは楽しいし、考え方も十人十色で世の中を上手く渡っていくには勉強になる。

 何をするにも味方は多い方がいいので、人見知りしない性格は得をしていると思っている。

 今のところ、誰かと対立することもなく、高校生活は順調だ。

 成績とあることを除いては・・・。




 俺には今、好きな子がいる。

 クラスメイトでサッカー部マネージャー、田中雪子だ。

 何でもズバズバいうキツめの性格で、本人は気にしているようだが、俺はそこに魅力を感じている。

 


 俺の周りにいる奴らは、仲間同士で言い合いやケンカをするのが面倒な奴らばかりだから、共感できない出来事にも、適当に合わせている。

 もちろん、自分自身もそんな感じだ。

 だが彼女にはそれが無い。

 嫌なものは嫌とはっきり言い、間違っている事はあやふやにせず、ちゃんと指摘する。

 たとえば、それで相手が怒るような内容でもはっきりと。

 

 

 空気が読めない人だと感じるヤツも結構いるようだが、俺にはこんな人とは出会ったことがなく新鮮だった。



 2年で同じクラスになった時、彼女の容姿に一目ぼれをしたが、今じゃ彼女の中身に夢中だ。

 



 雪ちゃんと呼んでもいいかと、本人に聞いたところ断られたので少しヘコんだが、もっと仲良くなり、名前で呼ぶ許可をもらう為、積極的にアピール中だ。

 話しかけすぎて、鬱陶しいと言われたことがあるので、その辺は気をつけながら・・・。

 

 幸い俺らのグループと彼女のグループは仲が良く、話をするチャンスは多々あるのでこれを利用しない手はない。

 ただ彼女はサッカー部のマネージャーをしているので、放課後一緒に遊びに行けないのは残念だ。






 実は、彼女の容姿だけに興味があった頃、冗談っぽく告白したことがある。

 笑いながら「俺ら付き合ったら、お似合いじゃね?」みたいな感じで。

 その時は「バカじゃないの!?付き合うわけないじゃん。」としかめた顔で言われてしまった。

 




 

 あの時はしょうがない・・・。

 まさに、その場のノリで適当にコクッたのだから・・・。

 その後は、話しかけても無視されることが多かった。

 俺には珍しく、後悔する思い出だ。


 


 ちゃんと会話してくれるようになってからは、彼女に嫌われないため発言には気をつけている。

 もちろん、彼女から発せられる一言一句も見逃さないよう耳を傾けているし、表情も注意深く観察している。

 思っていることが表情に出やすいようで、俺からの言葉で顔をしかめることはなくなってきた。

 順調に仲良くなれていると思う。




 だが、今はもう告白する気はない。

 また同じように言われるかも・・・と思うと、勇気がでないのだ。

 だた、彼女を見つめる毎日が続いている。




 これからも彼女を見続けるのだろう。

 彼女がこの視線に気づき、見つめ返してくれるのを期待しながら・・・。

 

 

 


 太一は静子の視線に気づいてません。

 静子が太一を好きになったやり取りも、静子をなんとも想っていないからこその出来事です。


 ちなみに、田中雪子の印象が静子(清楚な美人)と太一(キツめの性格)でだいぶ違いますが、同じ人物です。

 静子は表面的な部分しか知らないけど、太一は仲がいいので内面的な性格を知っているのでそうなりました。

 例で言うと、仲良くなる前は見た目で判断しておとなしい人かな・・・と思っていた人が実は好奇心旺盛で活発的だった、とか。

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