5.理想郷へ―16
「フン、私のは貴様のそれとは違う。使い道もな……」
苛立ちを抑えながら、ホープは吐き出した。「使い終われば、使用者に返すつもりでもいる」
そんなホープの言葉にスカーネフはつっかかる。
「使い終われば、って事は……、何か目的がるんだね? 例えば……私みたいな邪魔者を始末する、とかさ?」
言い終えたスカーネフは高らかな笑いを通路に響かせる。それは、出来るモノならしてみなよ、とでも言わんばかりの自信が含まれた、挑発の笑いである。
そんな興趣の色を見せるスカーネフの笑みにホープは歯を食いしばった。して、一歩、詰め寄るように踏み出す。すると、警戒を見せたアイリンがスカーネフの前に隔たった。して、ホープを止めてエルモアも踏み出す。アイリンとエルモアがフード越しに互いを威圧し始める。ピリピリとした空気が張詰める。互いとも、一歩でも動いてみせれば即座に戦闘を取ろうとする構えだ。
そんな二人を壁として、ホープとスカーネフは互いに向き合う。互いとも、相手を牽制しているようである。
「はぁ、下がれ、エルモア」
「下がっていいよ。アイリン」
痺れを切らすようにして声が続き、護衛の位置に立つ二人は大人しく身を引いた。
「こんな非生産的な事、してても意味はないでしょ?」スカーネフは得意げに言って、「話しがあったかあら、会いにきたんだけど」
「話しとは?」
訝る様な表情のホープとは対照的にスカーネフは謎の笑みを浮かべて、
「この前アマゾネス部隊から『逃げた』、エルダ部隊長の事だけど」




