表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
167/169

13.勇者の終焉




13.勇者の終焉





「フレミアっ!」

「アギト……」

 全てから解放されたアギト、そして、鳥篭の様な牢獄から解放された『フレミア』。

 二人は初めて、ここにきて始めて、その電子化された肉体で直に触れ合った。抱きしめ、アギトは囁くように彼女の耳元で言ってやる。


「助けたぞ」


 その瞬間、フレミアの瞳からは涙が溢れた。それも、大量の。

 初めて、フレミアがちゃんとした感情表現を見せたのだ。アギトは何も言わず、そんなフレミアを抱きしめてやる。

 ――「お願い……。魔王の手下達を倒して、エラーを閉じて、力を集めて、ディヴァイドを救って。そして、出来れば……、」

 ――「そして、出来れば……?」

「私を、助けて。だろ? お前が言いたかったのは」

 アギトの優しい言葉に、フレミアは更に涙を流して、何度も何度も、首肯した。うん、うん、と何度も泣きながら頷くフレミアは、今や使命を果たすだけの存在ではなく、ただの、少女だった。

 暫くして、フレミアが泣き止むまでアギトは待ってから、フレミアを優しく離した。

 そして、言う。

「俺にはまだ、やらなきゃならない事がある。当初の目的だ。世界を、シグマサーバーの電脳世界を救う」

 アギトの言葉に、フレミアは静かに頷く。そして、アギトの背中を何も言わずに見守るのだった。

 アギトは数歩進み、魔王が残した遺産に触れる。魔王が魔王で合った時に残していた報酬だ。その中身は当然、技術者アーキテクトとしての力と、魔王が言った通り、『あの戦い』で失った、自身の手で殺した仲間達を蘇らせる方法。

 アギトはそれを取り込む。

 そして、宣言、顕現する。

「全部、終われ。全部、始まれ。そして――、」アギトは振り返り、呆然と立ち尽くすフレミアへと優しい視線を向けて、最後の言葉を置く。


「待たせたな。フレミア。俺が助けてやる」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ