第一話・テナンス王国の王子との出会い
鳴宮実里、32歳。
私はちょっと人が足りていない部署でちょっと働きすぎかもしれない人生を送っていた。
そんな私の口癖は「なんとかなる!!」
でも亡き母はよく「実里ちゃん、なんとかならないこともあるのよ…?」なんて眉を下げて困ってたっけ。
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「おぉ…!えっと…人間?………もしや聖女…か?」
可愛がっていた後輩に「うん、この案件ならなんとかなるわ!その仕事私がするから貴方は今日は帰りなさい。」「え、でも…」「明日からまた頑張ってもらうんだからね!だからしっかり帰って休むのも仕事の内よ!」といったやり取りをしたはず。
それで確か案件を終わらせて椅子から立ちあがろうとしたら視界が明るくなって…??
疲れた頭を酷使しつつ記憶を手繰り寄せて改めて目の前にいる人を見る。
「おい!聞いているのか??」
目の前で手を振る男性に心当たりは無い。
結婚願望も恋愛願望も無い私からしたらどうでも良いけど多分テレビで見る人気俳優イケメン(外国人ver)って感じの恐らく年下男性。
キャンキャン鳴くポメラニアンみたいな人。
「おい!!何とか言ったらどうなんだ!!」
「…えーと、まず貴方は誰?日本語、上手なんですね。」
目の前にいる金髪の中型ポメラニアン(仮)はキャンキャン本当に五月蝿い。
本来なら自身から名乗るべきだけどよく分からないところで先に自己紹介は良く無い気がして目の前にいる外国人(多分)に尋ねてみる。
ちなみに私は英語含め他言語はさっぱり分からない。
でも言葉は聞き取れているので日本語で聞いてみた。
まあ例え途中で通じなくなっても身振り手振りでなんとかなるさ!多分!
「何だ、話せるのか。ニホンゴ?とは何か分からないがまあ良いだろう。俺はカルロス・テナンス。テナンス王国第二王子だ!!」
目の前にいるポメラニアン(仮)は王子だったらしい。
仁王立ちでえっへん!と威張る姿を見ても威厳を感じられないけど王子ならちゃんと対応しないといけないだろう。
ここはどこなのかとかなんで王子がいるのかとかは一旦頭の隅に置いて私も自己紹介。
「こんにちは、カルロス・テナンス様。私は日本という国で事務職をしていました鳴宮実里と申します。先程急に周りの景色が変わり、疲れもあって、ぼーとしてしまい反応に遅れてしまいました。申し訳ございません。」
ぺこりと頭を下げた私は改めて自分の服を見る。
…うん、セールで安くなっていた服にぺたんこのパンプスだし普段通りで変わり映えしない。
じっとそのまま頭を下げ続けていたらテナンス様が偉そうな感じで頭を上げろ!と言ったので頭を上げる。
「…ところでいつまでここに居たら良いんですか?」
「は?お前は今日からテナンス王国で聖女になるんだよな?召喚されただろ!!」
足をジタバタさせたテナンス様はお腹が空いたのかご機嫌斜めらしい。
「……その聖女とか召喚とかはよく分からないんですけど、とりあえず今日はこのままなんですね?明日の業務もあるので寝れる時間確保の為、私が寝て良い場所まで案内してくれませんか?」
ゆっくりお風呂に浸かれたら最高だけど疲れから目はシパシパするし、骨はバキバキでまずは布団で寝てしまいたい。
さあ仕事終わりだ!お菓子と炭酸でも買ってダラダラ家でまったりするぞー!!とか考えてたけどもう無理、疲れたしコンビニ無さそうだし?
「えーと、テナンス様!私が使って良い部屋に案内してください。」
「えっ…あぁ、ハンナに案内させる。」
「…で、ハンナさんはどこに?」
「今からハンナの所まで連れて行く!」
「あーはい。分かりました。よろしくお願いします。」
「任せとけ!」
ずんずん歩くテナンス王子の後ろを付いて行く。
「あの、もう少しゆっくり歩いてください!」
「ん?あぁ、分かった。」
2人っきりだった部屋から出た私は辺りをキョロキョロ見渡しため息を吐く。
さて、ゆっくり寝られるかなぁ…
ご覧頂きありがとうございます。
特に問題なければ二話は明日の0時更新予定です。
【第二話・ハンナさんとお布団】お楽しみに♪




