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「星降る図書館の彼方へ」   作者: お試し丸
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第1話 図書館の奥、星の扉

夜空に瞬く星が、まるで遠い記憶を呼び覚ますように煌めいていた。


「また、あの古びた図書館に行くんだ……?」


図書委員になって半年。学校の裏手にひっそり建つ旧校舎の一角、誰も寄り付かぬ古図書館はまるで時間に忘れ去られた小宇宙のようだった。夜月アカリ、16歳。今日も彼女は意を決してその扉をくぐる。


「……あの場所だけは、私だけの秘密だよね」


心の奥で誰かが囁く。現実の喧騒から逃れ、ページの重みに指先を沈める瞬間こそが、彼女の一番の安らぎだった。


しかし、そこにある一冊が、彼女の運命を大きく変えるとは、この時、微塵も思わなかった。


埃と紙の匂いに包まれた静寂のなか、アカリは無造作に並ぶ棚のひとつに目を留めた。ひときわ古めかしい革表紙の本。見覚えのないタイトル、金色で刻まれた文字が微かに光を反射する。


《星の海を渡る旅》――


何気なく手に取ったその本のページをめくった瞬間、かすかに熱を帯びた光が指先を伝い、全身を柔らかく包み込んだ。


「えっ……?」


思わず本を落としそうになったその時、図書館の壁が淡い光の波紋を描き始める。書架の間が揺らぎ、世界の重力がぐっと変わったような感覚。


「ここは……?」


目の前に広がったのは、見たこともない漆黒の宇宙。星々がまばゆい軌跡を描きながら、遥かな彼方へと延びている。


「こんな場所、現実のはずがない」


だが、鼓動は静かに高鳴る。胸の奥底に眠っていた何かが、しっかりと呼び覚まされるのを感じた。


「わたし……何かの選ばれた者なの?」


次の瞬間、そっと背後から声がした。


「よく来たね、アカリ。君こそが異世界の鍵を持つ少女だ」


振り向くと、そこには不思議な輝きをたたえた少女が立っていた。異世界の衣装を纏い、静かな笑みを浮かべている。


「失われた星々を—君と共に、取り戻す旅が今、始まるんだ」


その瞳の奥に宿る確かな絆と使命感に、アカリの決意は固まった。


「わたし……この手で、星の海を渡る旅をする」


青白い光の海が次のページへと繋がるように、彼女の冒険は幕を開けた。友情の芽生え、試練の謎解き、そして異世界の秘密。――ここから始まる物語は、ただの学園生活では終わらない。


夜空の星を追いかけて、少女は未知の未来へと歩き出す。

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