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光の少年  作者: 古賀大和
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エピローグ

「ひかる先輩、相談いいですか?」

 人から何かをお願いされるときの目が苦手だ。緊張するから、不安になるから。

「いいよ、どうしたの?」

たぶん俺がこうなったのはあの夏、あの少年との出来事が関係していると思う。


 強い日差しの下で俺は海沿いを歩いていた。遠縁の親戚の家に遊びに来たもののどうも空気感が合わず、家を飛び出して散歩していた。しばらく歩いていると公園でブランコに座る少年と目が合った。あっ、と思った。助けを求める目、俺に懇願の視線が向けられる。無視はできなかった。少年のもとへ駆けていき横のブランコに腰掛ける。どうやって声をかけようか、しばらく考えた後に出てきたのは

「なんか悩んでんのかよ」

だった。あぁ、恥ずかしい。なんでこんな口調になっちゃったんだろう。

「母さんがね、遊びに行ってくれるって言ってたの。でも、おなか痛いからやっぱ無理なんだって。僕が男の子だから、女の子の方が大事だから」

何を言っているのか分からない。「男とか女とか関係なくないか?」「おなか痛いからって言ってるじゃん」とかいろいろ思ったけれど、いい返答が思いつかなかったから

「ふーん、大変なんだな」

と言った。お悩み相談なんて無理だと思ったから話題を変えた。

「名前はなに?俺は橘ひかる」

「ひかるくん、僕は基井律だよ」

「律くんっていうんだね」

あぁ、そんな目で見ないでくれ。俺は君が求めているような立派な人ではないから。しばらく二人で話していたがこれ以上話を続けると生気を吸い尽くされそうになったので立ち上がってひかるくんのほうを見た。そして、

「じゃあな、そろそろ行かなきゃだから。応援してるから頑張って生きろよ」

と言ってその場を去った。


 なんだよ応援って、俺の応援が何になるっていうんだ。生きろってあんな小さい子にいうには重すぎだろ。はぁ、思い出すだけで寒気がするよ。人からのSOSに俺は上手く応えられないから、そもそもSOSを俺に出さないでほしい。ごめんな、ひかるくん、あんな言葉しかかけられなくて。でも、俺はちゃんと君の幸せをほんの少しだけど祈っているよ。

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