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アルガ帝国の歴史上最も長い5分間(中編)

(あと少し…)

アルガ帝国の正門まであと200メートルを切っていた。結局、武力で解決したが計画は順調に進んでいた。奴が来るまでは。



アルガ帝国の正門に向けて走るマラン一行の前に、一人の片手剣を持つ兵士が現れた。その兵士は他の重装の兵士と違い、必要最低限の鎧をつけた軽装だ。片手剣や軽装から、他の兵士とは明らかに何か違うことがわかった。そして、この兵士の強さに気付いたのはラムスとマランの二人だけだった。

(こいつ、相当強い。おそらくスキルを使っても互角に持ち込めるかどうか…)

マランは感覚でこの兵士の強さを見抜いた。

(身体から立ち昇る闘気が極限まで練り上げられている…。)

ラムスは闘気の流れを見て、その強さを悟った。

「逃しては来れないよな」

マランは目の前の兵士に聞いた。

「ああ。当たり前だ。お前たちがやっていることは帝国への反逆だからな。」

その問いに兵士は答えた。

「俺はマラン。お前は?」

「俺はバルトル。アルガ帝国騎士団一番隊隊長だ。三番隊がやられたらしいな。俺たち一番隊とお前たちが戦えば多くの犠牲が出てしまうだろう。そこで提案だ。私としても殺し合いはしたくない。だから、俺とお前たちの代表者で決闘をするのはどうだろうか。」

「決闘をして、こちらに利点はあるのか?」

「お前たちが勝てば我々はお前たちに攻撃しないことを誓おう。」

「『盟約』を結んでもらうぞ」

「ああ。構わない。ただ、俺が勝ったら大人しく捕まってもらうぞ。」

「ああ。その決闘、このマランが受けよう。」

「交渉成立だ。」

【盟約】

何かを与える代わりに何かを得る等価交換を魔法を使い具現化させたもの。種類は自身と他者の間で結ぶ契約と、自身に課す縛りがある。





「ここにしようか。」

決闘場に選ばれたのは、大きな広場だった。移動する間、マランは何度も逃げようと試みたが、バルトルの監視下では一切逃げる隙がなかった。

「さ、構えて。」

バルトルは円形に広がる広場の中央に立ち剣を抜いた。

「君が攻撃をしたら決闘開始だ。」

「分かった。行くぞ。」

マランはスキルを使った。全体的に筋肉量が増え、体から立ち昇る闘気は普段のマランと比べ物にならないほど跳ね上がっていた。マランは足に力を溜め、バルトルとの距離を一瞬で詰め、剣で切り掛かった。スキルを使った時のマランはドラゴンを圧倒した。そう、ドラゴンと戦ったことがあるマランだから分かる。

(このバルトルとか言う男…ドラゴンよりも強い。ドラゴンが可愛く見えるほど威圧感が半端ない…)

マランの最速の一撃。ドラゴンにすら効いたこの技は、バルトルには効かなかった。スキルを使い剣の一撃もだいぶ重い。それにも関わらず、バルトルはマランの攻撃を剣で受け止めた。

「まぁまぁやるじゃん。」

「そっちこそ。片手で防がれるとは。」

すると、バルトルは剣を構え直し、言った。

「では、行くぞ。」

盟約により逃げることができないマカンたちは、マランが勝つことを祈り続けることしかできませんでした。


次回「アルガ帝国の歴史上最も長い5分間(後編)」

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