首都に向けて
その日は朝から騒がしかった。
朝目覚めたサガンはいつもと違う街の風景に動揺した。当時7歳のサガンは、少し外が騒がしいだけでも感情が昂った。
「おはようサガン。」
玄関から外の様子を眺めるサガンに後ろから挨拶が飛んできた。
「おはようお母さん。」
声の主はサガンの母親、ケイル・モルドだった。
「そろそろね…。サガンもお父さんのお見送りに行きたい?」
「うん、行く!」
村の広場に着くと、大勢の人だかりがあり、その中心に5人の軽装の男たちが立っていた。その中には見覚えのある人が3人いた。横に並んだ5人の内、真ん中にいるのがサガンの祖父、マラン。その隣にいるのがサガンの父親、マカン、そして、マランの隣にいるのがサガンの幼馴染メルドーネの父マルシだ。
「お父さん達どこに行くの?」
「えーっとね…。村のために戦いに行くんだよ。だから応援しないとね。」
ケイルはサガンの手を引き、人混みを抜け、マラン一行の前に立った。
「お父さん、お爺ちゃん、頑張ってね!」
サガンは元気に手を振った。
数時間後〜
「だいぶ歩いたな。」
マラン一行の一人、緑の髪とオレンジの目が特徴の男性『マルシ・ティーラ』が言った。
【マルシ・ティーラ】
ウーラン村の出身で、マラン、マカンと同時期にアサシンの能力が開花している。何事にも精一杯取り組む性格で、ウーラン村の中でもかなりの働き者だ。
《アサシンスキル:吸着》
色々な物や壁、天井などにくっつくことが出来る。片手だけでも自身の体重は軽く支えられる吸着力があり、任意で解除できる。
「ああ。今のところは順調に進んでいる。このまま行けば来週辺りには着きそうだ。」
マルシの問いにマランが答えた。
「でも、こうやって自分たちで歩いていると、やっぱお前って凄かったんだな。」
自分たちは案内があってやっと前に進んでいるが、10年以上前に方角も分からない中、首都に到達したマカンに対し、マルシはマカンに対し素直に尊敬した。
「そう言えば、お前って10年前この道を進んでた時、だいたい2ヶ月かかったんだろ?その時食糧はどうしてたんだ?」
「食糧?そこにあるじゃん。」
マカンはマルシの足元を指差した。そこには森の中で自然と育ったキノコがあった。
「…これ、食べても大丈夫なやつ?」
「さぁ…まぁ、食べれば分かるよ。」
「俺は遠慮しとくわ…」
「美味しいのに…」
マカンはキノコを収穫し、肩にかけてある鞄に入れた。
《2ヶ月後》
「そろそろ着くと思うが…」
マカンは疲れ切った体を気合いで動かしながら言った。
「ほら、マルシ…しっかりしろ、もうちょっとだから。」
疲労で足が震え、フラフラしながら歩くマルシをマカンは肩を組み支えた。
「2部屋お願いします。」
マカンは十数年前にトロスももとで稼いだお金を宿の受付に渡した。
「俺とマルシは一緒でいいか?」
マカンはマランに聞いた。
「ああ。構わない。俺たちは3人で使うよ。」
マランは手を差し出した。その手にマカンは鍵を乗せた。
「じゃあ、また後で。」
2班に分かれ各自部屋に入った。部屋に入った瞬間、限界を超え少しずつ溢れかけていた疲労が一斉に押し寄せ、マカン、マルシを襲った。目の前には綺麗なベッドがある。後2、3歩歩けば届く。だが、マカンとマルシは睡魔に負け、床に横になり眠ってしまった。
ダンダンと、扉を叩く音がした。その後扉の向こう側から声が聞こえた。
「マカン、マルシ、起きろ。出発するぞ!」
目をこすりながらマカンは起き上がった。扉を開け、父親と顔を合わせる。
「おはよう、父さん。」
「お前…相変わらずの寝癖だな…。」
前髪が逆立っているマカンを見て、マランが言った。
「よし、お前らの支度が終わり次第出発するぞ。」
マランは言った。
(俺らが終わり次第ってことは他の奴らはもう支度が終わってるのか。)
「おい!マルシ!朝だぞ!」
マルシが起きるように大きめの声で呼びかけた。
「で、どこに行くんだ?」
「あぁ、言ってなかったか?まぁ、良いか。俺たちはこの後、王の元に行く。俺たちは争いは好まないから平和的に話し合おうと思ってな。」
マランは誇らしげに胸を張り言った。
(軽装備に短剣を持った体がデカい男が争いを好まないか…無理がある気がするな。)
すいません、先週間に合いませんでした!m(_ _)m
マカンとマルシは幼馴染で、31歳の同い年です。マカンにはサガンと言う息子がいますが、マルシにもサガンと同い年のメルドーネと言う息子がいます。二人が仲良く遊んでいるのを見ると、マカンとマルシはとても微笑ましい気分になります。
次回「アルガ帝国の歴史上最も長い5分間」




