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支配の魔法

「マランさん、これで全員です。」

村全員の診断リストを見て、マランは衝撃を受けた。診断リストには村全員の腹部に魔法陣があるか調べるもので、結果は赤子以外全員に発現していた。マランは考え込んだ。いざとなれば自分だけなら魔力の鎧で守れなくはないが、周りの者は魔力が少なく、魔法を防げないだろう。


【支配の魔法の対策】

支配の魔法から逃れる方法は3つ存在する。

1、気合いで押し切る。

戦士などは精神力で支配の魔法を打ち消すことが稀にある。

2、魔法で防ぐ。

精神攻撃に特化した防御魔法の場合、相手の技術次第で支配の魔法を無効化できる。

3、聖域。

聖職者の使う魔法の一つで、術者を中心に作られる結界。その中では魔法を阻害できるため、支配の魔法を防ぐことができる。

※そもそも聖職者に精神攻撃はあまり効かない。


真実に戻ったマランは目の前の書類を見て、頭を抱えた。

「どうするべきかな…。」

マランはペンを置き、目を閉じ、考えた。

要求を受け入れた場合、村の労働力が足りなくなり、村が崩壊する。要求を受け入れなかった場合、支配の魔法で何かしらの罰を受けるだろう。

「あいつを頼ってみるか。」




「で、どうしたんですか?急に呼び出しだなんて。」

夕暮れ時、1人の男がマランの寝室に呼ばれた。

「すまないな。急ぎの用事でな。この村で唯一魔法が使えるお前の意見を聞きたい。」

「俺にわかる範囲なら協力しますよ。」

マランに呼ばれてきた男の名は『ハルア』。

【ハルア】

この村に1人だけいた僧侶の養子で、ウーラン村がこの地に来た時期辺りから持病が悪化し、数年後に他界した。ハルアは養父から習った魔法を活かし、村を支えながら農業を営んでいる。


「突然なんだが、お前も気づいているだろうが、腹部の支配の魔法陣について聞きたい。」

「これですか。えーっと…、結論から言うなら、俺には何もできません。術者が強力すぎて俺の魔法では歯が立ちません。」

「そうか…、この魔法どうにかならないか?」

「無理ですね…魔法を解除するとなると高度な魔法が必要になります。私は魔法は使えても、実際の聖職者には劣ります。」

「分かった。呼び出して悪かったな。又何かあったら頼む。」

ハルアに感謝を伝え、退出を促そうとした時、ハルアは閃いた。

「…あ!一つ、支配の魔法を逃れる方法があります。」

ハルアは自身の脳内に浮かんだ仮定を全てマランに伝えた。


「……なるほど。つまり、この支配の魔法は術者が常に魔法を唱えているわけではなく、魔導書を経由して魔法を使っていて、その魔導書さえ手に入れば、この支配の魔法を自在に操れると言うわけか。」

「はい。まぁ、魔導書がどこにあるか見当もつきませんが。」

「いや、十分だ。ありがとう。」

この時のマランは思った。村を守るためなら盗みでも何でもやってやると。

次回「首都に向けて」

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