恩人と父さんの記憶
初めて知ることが沢山あるアルダートの生活は、マカンに取って、とても新鮮なものだった。毎日一生懸命働き、1ヶ月が過ぎた。ある程度お金が貯まったので、マカンは食料を買い、村に戻ることをトロスに伝えた。話を聞き終わると、トロスは言った。
「ああ。分かった。じゃあ、出発前にラムスラートというと男を訪ねてみると良い。もしかしたら手を貸してくれるかもしれない。」
「分かりました。行ってみます。」
1ヶ月間、マカンは1日も休むことなく働いていた。だが、不思議と嫌ではなく、新しい学びが増えていくため、自ら望んで仕事をしていた。
『アルダート』の街は広く、トロスに教わった通りに進んだが、ラムスラートの家にたどり着いたのは、夕方だった。昼頃に出たため、相当歩き回ったことがわかる。やっとの思いで着いたラムスラートの家。中には顔の整った青年が居る。窓越しに誰かいるのを確認し、家の扉をノックした。
中にいたラムスラートと話すこと30分。マカンは家を後にした。話をしている最中にマカンは気付いた。このラムスラートという男の目は、光の反射によって異なるが、淡く金色に光っていた。ウーラン村は首都からだいぶ離れており、常識を知らないことも多いいが、これだけはマカンも知っていた。
『金の目を持つものは王の血を持つもの』
つまり、ラムスラートという男は、純血ではないとしても、王族だということだ。だが、ラムスラートからは王族や貴族特有のオーラなどはなく、どちらかといえば、庶民のような感じだった。
マカンはラムスラートに村のことを全て話した。すると、ラムスラートは、「なるべく支援が多く届くように王に伝えておくよ。」と言ってくれた。
《出発当日》
「トロスさん、今までお世話になりました。」
マカンは深々と頭を下げ、トロスに感謝を伝えた。
「おお。もう、1人で来るんじゃねぇぞ。一般人には危険すぎる山が多いいからな。気をつけて帰れよ。」
「はい!」
トロスの言葉に、はっきりとマカンは返事をした。
昼頃。整備された道が途絶え、山道へと入った。マカンの隣には2人の冒険者がいた。両者ともB級の冒険者で、この世界でのB級はかなり強い方だ。雇うのにもかなりのお金がかかるが、山道を1人は危険だと言ってトロスが雇ってくれた。どちらも体が大きく、頼りになる。と、マカンは心の中で思った。
山に入って数分。冒険者に違和感が芽生えた。2人の冒険者の荷物は3キロほど。マカンの荷物は村への土産や、植物の種などなどたくさんのものが詰まっており、5、6キロはあるはずだ。しかし、マカンは平然と冒険者を置いていくぐらいのスピードで山を登り始めた。数々のクエストで山を登り、山登りと体力には自信がある冒険者が息を切らす中、マカンは全くペースを落とす気配はなく、進み続けていた。
「ちょっと…待って…もらえませんか。」
「あ、はい。分かりました。そろそろ休憩にしますか。」
全く息を切らしていないマカンを見て、冒険者の2人は、「農民って凄いんだな」と感心した。
冒険者にペースを合わせて山道を進むこと2ヶ月後。ウーラン村に到着した。
半年間。マカンが貰ってきた食べられる植物(野菜)などを育てていて、食料問題は、まだ解決はしていないものの、以前よりはだいぶ良くなった。村の人々にも少しずつ笑顔が現れ、全てがうまく進んでいった。あれが来るまでは。
ラムスラートは、マカンの考察通り、王族です。が、王にはなりたくないと親に反発し、城を飛び出してきています。今はラムスラートの弟、イムスラートが王の座についています。
次回「アサシンの能力」




