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暗殺者と盗賊団

「ふざけるな!」

「出ていけ!」

などと集められた村の住民が口々に叫ぶ。すると、前の男は手を前に突き出し言った。

「やれ。」

その声と同時に四方の物陰から面で顔を隠した集団が出てきた。おそらく盗賊だろう。そして、状況が飲み込めず動けない住民を無視し、盗賊の1人はまっすぐシェンラーの元へ向かった。盗賊は、シェンラーの手を掴みどこかへ連れて行こうとした。幼かったシェンラーにとって、それは泣くに値するほど怖く思えた。周りでも何人かの子供が同じように手を握られ、連れていかれそうになっている。これが普通の日ならよかった。今日は村の文化の一つで、成人した男性が全員村から離れた場所にある洞窟で祈りを捧げる日だ。場所は成人した男性しか知らない。つまり、今、この盗賊に立ち向かえる人がここにはいない。

「ママ、助けて…」

シェンラーは言った。それを聞いて、我に返った母は、震える右手を左手で押さえ、唱えた。

「炎の息吹」

シェンラーの母は炎の魔法陣を宙に作り出した。

「は?」

目の前にいるのはただの村民のはずだ。だが、目の前の魔法陣は明らかに冒険者の、選ばれし者の魔法。シェンラーの手を引く盗賊は、その時初めて恐怖を覚えた。咄嗟に盗賊は防御魔法を発動したが、すぐに分かった。

(こんな薄い盾じゃ意味がない。)

防御魔法は、受けるダメージと同等の質量の盾ではないと防ぐことができない。

シェンラーの母が盗賊に向け魔法を放とうとした時、背後から首に何か刺された。

「いたっ、」

だが、シェンラーの母は気にせず魔法を拡大させた。次の瞬間、目の前の魔法陣が割れ、宙に消えた。

「え?」

そのままシェンラーの母は意識を失い、地面に倒れた。

盗賊の目には何が起こったか分からなかったが、シェンラーの母が倒れると、後ろから姿を現した為、誰がやったか分かった。

「よくやった。サガン。」

サガンと呼ばれたのはまだ幼い青年で、シェンラーと同い年くらいだ。そして、サガンと呼ばれた少年は、トロスによく似た顔をしていた。

次回「盗賊団・サガン」

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