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魔物以上の悪

「!!」

いちばん早く反応したのはクラストだった。

「フォルティード」

洞窟の入口方面から魔法が飛んできた。

クラストが土魔法で壁を生成したおかげで、何とか回避できた。クラストが使うのは上位魔法。だが、向かうから飛んできたのは一般魔法だった。普通ならば防げる。だが、飛んできた一般魔法は、土の壁を突破った。

(一般攻撃?いや、魔法の威力がおかしい……)

ティラは思考をめぐらせたが、結論には至らなかった。すると、2発目が飛んできた。狙いを定めて打っているのか、魔法の軌道はとても綺麗だった。

(軌道の先には……!!)

ティラは、全力で駆けだした。

「フラン!逃げて!」

だが、気付くのが遅すぎた。このままでは魔法耐性のないフランに魔法が当たってしまう。仕方ない。

ティラは覚悟を決めた。


「フラン!逃げて!」

声を聞き、思わず振り返った。すると、目の前に飛んでくる魔法から私を守るため盾となったティラが見えた。

「ティラさん!」

ティラの体は中を舞、数メートル先に落ちた。フランは急いで駆け寄った。

「!!」

ティラの身体中に張り巡らされた防御魔法がフランには見えた。本来防御魔法は体外に生成するものだが、体内に生成することで、魔法耐性を上げることができる。これを利用し、盾となったのだ。

「お前ら…何もんだ?」

洞窟の奥から顔を出した。一人は坊主の、もう一人はフードを被った男だった。

「B級冒険者、シェンラーだ。」

「何だ、B級かよ。まぁ、いい。俺の狩場を荒らしたんだ。覚悟はできてるよな?」

坊主の方の気迫が重くのしかかる。

「この重圧感… S級冒険者の気迫に近い…」

次の瞬間、シェンラーは吹き飛ばされた。

「な、何が起こった…」

「生きてるのか。丈夫だな…いや、お前が何かしたな?」

「バレていたか。」

シェンラーが攻撃を受ける直前に、ティラは防御壁を生成し、直接攻撃を防いだ。ティラは直接的な攻撃も得意ではあるが、防御に関しても抜群の才能を発揮する。なので、ティラについた異名は『防御の魔法使い』だった。

【〇〇の魔法使い】この世界には、それぞれの分野で、最も優れた者に〇〇の魔法使いという名がつけられる。

「一つ聞きたいことがある。」

ティラは言った。この隙にトロスはシェンラーの救出に向かった。

「狩場とはどう言う意味だ?ここはギルドが管理しているはずだ。」

「は、そんなことか。もう後ろの奴は気づいてるな?まぁ、どうせ死ぬんだから特別に教えてやろう。そこのドラゴンは、生きている。瀕死の状態で。」

「?なぜそんなことを?」

「簡単な話さ。毎朝ポーションをかけて、皮を剥ぎ取る。この作業を繰り返すことで、ドラゴンと戦うことなく皮を回収できる」

「!?生きたまま皮を剥いだのか?麻酔は?」

「瀕死だから変わんないだろ。麻酔は何も入れてない。」

「皮を剥がされるのがどれほどの痛みか、考えたことはないのか?」

「無いね。俺はそこのドラゴンのおかげで毎日遊んで生きているんだ。」

「そうか…良かったよ。おまえを殺す理由ができて」

「は、やってみろよ」

ダンジョンの入室許可を取るために来たシェンラーは、大きな問題に気づいた。ダンジョンの入室には、それぞれのダンジョンで決められたランクの冒険者がいないといけない。今回はB級のダンジョン。シェンラーがB級のため、良いのだが、シェンラーが気づいた問題は、フランが冒険者ギルドに登録していないことだ。ダンジョンの入室条件は、1,ダンジョンごとの指定ランク以上の冒険者の同行。2,冒険者ギルドに登録していること。の2点である。

「フランは登録して無いじゃ無いか!」

なので仕方なく、ギルドマスターと相談し、長い手続きを終え、今回だけ特別に入れるようになった。

次回「蘇生」

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