魔法の才
「おしっ!あと数体!」
「おう、押し切るぞ!」
トロスの声にシェンラーが返した。ゴブリンはあと9体。シェンラー達は順調に敵の数を減らしていった。
「あと何体だ?」
「あと、六体だ。」
「了解。」
トロスはアサシンの固有能力で敵の数を把握することができる。敵に囲まれている時には役に立つ能力だ。シェンラーとトロスが戦う中、後方では…
「クラストさん、シェンラーさん達勝てそうですね。」
「あぁ、俺たちは強いからな!」
はははっ、と笑ってみせてくれたクラスト。だが、クラストの戦いはまだ終わっていない。クラストが今使っている能力の影響で、動きが半分の速度になっている。その為、防御する場合は、素早く行動を始めなければ間に合わない。クラストは戦いが始まってから神経を集中させ続けている。おそらく、相当集中力が必要で、体力も削られ続けているだろう。早く戦いが終わらなければ、クラストはが持たない。
剣と剣がぶつかり合う。あと3体のところまでやってきた。
「うおおおおおおおおおおっ!」
シェンラー渾身の一撃がゴブリンに叩き込まれる。
「トロス!」
「おう!」
シェンラーの背中側からトロスが飛び出した。トロスは空高く飛び上がり、炎を纏う剣で切りつけた。トロスとシェンラーが同時に走り出す。
「「あと!一体!」」
と思ったが…
煙を抜け、ゴブリンの元に向かう。しかし、誰も見当たらなかった。ふと、後ろから気配を感じ、振り返った。
視界に映ったのは、前を防御するクラスト。そして、その後ろに隠れているフラン。そして、フランを狙っているもの。そいつの正体は、ゴブリンだった。しかも、魔法に特化したマジックゴブリン。そのゴブリンは容赦なく火玉をフランに向けて飛ばす。
クラストは、能力の副作用で動きが半減している為、間に合わない。
(くそっ!間に合わねぇ!)
ティラは今降りてきている。が、まだ全然遠い。私には、ヤバい。という感覚が頭をよぎっていた。
バンッ!
衝突音がした。
衝突音の正体。それは、自分の作り出したシールドにより、ゴブリンの攻撃が弾かれた音だった。
この日初めてフランは魔法を使い、魔法の才に目覚めた。
フラン初体験魔法は、防御魔法でした。これからフラン達はどうなっていくのか。乞うご期待!