表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖たちの頼み事  作者: 宙音
一章 中学編
6/38

六話 倖醒の頼み事4

意識を取り戻した禎道は目を開け身体を起こした。空が少し明るくなり(うっす)らとだが周りを見渡すと見慣れない場所に居ることに気付いた。

すると、後ろから声を掛けられ振り向くと男の子が立っていた。男の子は大丈夫かと聞いてきたが禎道は妖かと思い驚きの声をあげ、距離を開けるように後ずさりした。



悠月はその行動に少しショックを受け落ち込んだが、禎道に自身の名前を教え倖醒との出会いから今までの事、先程何をやったのかということを詳しく説明をした。

禎道はそれを聞き悠月にこんな危険な事をさせてしまい申し訳ないと謝った。そして悠月の隣に居る倖醒にも今まで酷い事をしたことを謝罪した。


「本当にすみませんでした。実は少し記憶が混濁していて倖醒に酷い事をしたこともあまり覚えていないのです。しかし、かなり酷い事をしたようだ。倖醒、本当に申し訳ない」

「いや謝るのは私も同じだ。すぐに助けてやることが出来ず申し訳ない」


2人は互いに謝罪をしたが、気持ちが伝わったのだろう。2人は嬉しそうに笑っていた。

その後倖醒と禎道は今後の事を話しあい、倖醒は禎道の元に戻らないことを伝えると、楽しかった思い出を思い出していたのだろう。禎道は少し寂しそうな表情をしていた。そして、数分が経ち覚悟を決めたのだろう。禎道は倖醒と別れることを決めた。


そして倖醒に別れを告げた禎道は悠月に助けてくれてありがとうと言った。悠月は最初謙遜したが助けたかったから助けたというと禎道はありがとうと言いながら深々と頭を下げた。

禎道は悠月たちの方を振り返り頭を下げ、帰っていった。


悠月は禎道を見送りながら倖醒に今後どうするのかを聞いた。


「私は森に帰り暫く休むことにする。」

「そうか。無理はするなよ」

「ああ。悠月もな。」


そう言って2人は笑ったが、急に倖醒が申し訳なさそうな顔をしたのだ。


「・・・悠月よ。すまなかったな。こんな大変な事を頼んでしまって。」

「・・・。いや、俺は倖醒の話を聞いて絶対に助けたいって思ったからやったまでだ。別に謝らなくていいよ」

「・・・ありがとう。悠月」


2人は微笑み、空を見上げた。空は明るくなり始めていた。

そして2人は別れの挨拶をし、倖醒は森へ、悠月は家へと帰った。


家へと戻った悠月は家の中は静かだった。まだ母は寝ているのだろう。悠月は静かに部屋へと戻りベットに寝転んだ。寝転んだその瞬間、眠気が襲い掛かってきた。

慣れないような事をしたせいで疲労が出たのだろう。すぐに眠ってしまった。


目が覚めた悠月は時間を確認すると朝9時を回っていた。悠月は慌てて下に降りリビングに行くと、丁度朝ご飯が出来上がったようだ。

悠月と母はお互いに挨拶をし、遅めの朝ご飯を食べたのだった。





あの出来事から数日経った頃、悠月は部屋で勉強をしていた時に窓からコンコンと音が鳴った。

顔をあげ窓を見ると、倖醒がいた。驚いた悠月は窓に駆け寄り窓を開けた。

悠月は倖醒に何か用か聞いた。すると倖醒は渡したい物があると言い首に掛けていた物を外し悠月に渡した。渡されたものを見てみると、何やら笛のような形をしている。


「これは何だ?」

「それは呼子笛という物だ。その笛を鳴らせば、私を呼ぶ事が出来る。まあお守りみたいなものだ」

「え、そんな物貰って良いのか?」

「ああ。遠慮せず使え」

「ということは何時でも呼んでいいのか?」


ニヤニヤ笑いながら訪ねると倖醒は少々呆れながら、


「呼んでも良いが、さすがに毎日は無理だぞ。それにその笛を渡したのには理由がある」

「理由?」


倖醒が言うには、この先あの時のような事が起こるかもしれない。もし悠月が窮地に陥り危険だと判断しどうすることも出来ない状態になった時に呼子笛を吹けば倖醒が助けるということらしい。


「なるほどな。じゃあその時は遠慮せず吹くよ。絶対に助けろよ?」


そうニヤニヤしながら悠月は言った。倖醒は大きく笑い、ああ。助けてやると言った。

悠月は笛の音が気になり少し吹いてもいいかと尋ね、倖醒はそれを了承し早速吹いてみることに。

その笛の音は心地が良く、優しくも力強い音が鳴った。

その後少し話をして倖醒は森へ帰っていった。悠月は倖醒を見送り窓を閉め、呼子笛をハツナから貰った薬が入っている大事な箱にそっと閉まった。


その箱には宝物と書かれいていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ